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2020年10月の電力業界動向は? 電力の小売営業に関する指針の改定や容量市場メインオークションの評価と今後の対応についてなど、論点まとめ

電力自由化ニュース

2020年10月の電力業界の最新動向を、国内最大級の電気・ガス代の見直しサービスであるエネチェンジの専門家がわかりやすく解説します!資料を読み解きながら、電力の小売営業に関する指針の改定や次世代スマートメーターの検討方針、FIP制度の詳細設計など、注目すべき6つの議論についてまとめています。

電力の小売営業に関する指針の改定や次世代スマートメーターの検討方針、非化石証書制度の変更を踏まえた小売営業に関する指針の改定に向けた議論など、2020年10月の電力業界の動向を関係省庁の資料から振り返ってみましょう。

気になる電力業界のニュースのポイントや見ておきたい注目の資料について、エネチェンジを運営するENECHANGE株式会社の顧問である関西電力出身、元大阪府副知事の木村愼作氏に解説してもらいました。

関西電力出身、元大阪府副知事の木村愼作氏

電力の小売営業に関する指針の改定について

9月29日に、電力小売営業に関する指針を改定したことを経済産業省がプレスリリースで公表しました。

この指針は、需要家が安心して電気の供給を受けられることを目的としています。電力小売が自由化し、電力事業へ事業者が多数参入していることを踏まえ、電気事業法や関係法令の遵守・自主的な取り組みを関係事業者に促します。

今回、1つめの指針にあたる「需要家への適切な情報提供の観点から望ましい行為及び問題となる行為」の「一般的な情報提供」に、「電気料金に公益性の観点から含まれている負担金額の請求書等への内訳明記」が追記されました。そして、6つめの項目として「災害時連携の観点から望ましい行為」が新たに追加されています。

電気料金に公益性の観点から含まれている負担金額の請求書等への内訳明記


出典:望ましい小売電気事業の在り方について|資源エネルギー庁(以下、本章の出典はすべて同じ)

「電気料金に公益性の観点から含まれている負担金額の請求書等への内訳明記」では、公益性の観点から託送料金または賦課金により回収するものについて、小売事業者は、需要家への請求書・領収書などへの相当額の記載が望ましいとしています。

例えば、再生可能エネルギー発電促進賦課金や託送料金相当額、使用済燃料再処理等既発電費相当、賠償負担金および廃炉円滑化負担金の料金項目について、請求書などでの情報提供を推奨しています。特に、再生可能エネルギー発電促進賦課金・託送料金相当額については、今回のガイドラインにてきちんと記載をするように書かれることとなりました。

災害時連携の観点から望ましい行為

電気事業者などは、非常災害時の停電対応において、電気事業法第28条に基づいて相互協調が期待されています。

そこで、今回の「災害時連携の観点から望ましい行為」という指針に追加された新しい項目では、「要請を受けた場合にポータブル発電機、電動車等を保有する小売電気事業者は、余力の範囲内で、当該地方自治体へ貸し出し等を行うことは、小売電気事業者の望ましい行為として位置づけられる。」と明記されるようになりました。

電力需要の状況について

10月15日に、取引監視等委員会が令和2年7月分の電力取引の状況を公表しました。

出典:電力取引の状況(電力取引報結果)(以下、本章の出典はすべて同じ)

前年と比較すると、低圧電灯は+4.1、高圧は+1.4、特高は+2.8、合計で+2.8と、前年よりもシェアを伸ばしています。

新電力は負荷率の高い方が多く利用しているため、クーラーなどの冷房機器をよく使用する時期にシェアが増えます。今年も例年以上に猛暑が続くなかの熱中症対策として、多くの冷房機器が使用されたことがひとつの要因と見られます。

容量市場メインオークションの評価と今後の対応について

10月13日の総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会(第43回)にて、容量市場メインオークションの評価と今後の対応についての議論がありました。

出典:容量市場について|資源エネルギー庁
9月14日に電力広域機関が公表した容量市場の約定結果は、1kWhあたり1万4,137円/kWでした。価格はほぼ上限に達し、当初想定の1.5倍となりました。今回の約定結果に対する評価および今後の制度設計をどのようにしていくかが主題です。

約定価格が高くなってしまった背景は、日本全体で4年後に確実に稼働できる供給力の不足があげられます。需給ひっ迫時に備えた経年火力の存在、先行き不透明ななかでの火力の新設投資の見送りなどが要因です。

この時点では、まだ情報も整理されておらず、なかには理解度の低い方もいたことも予想できますが、特に小売事業者にとっては事業の継続が懸念される結果となりました。


今回は、はじめてのオークションであり、国民や事業者の理解と納得を得るためにも、情報の透明性をより一層高めることが求められます。

落札した事業者名や落札容量などについては、小売事業者に速やかに開示するとしていますが、個別発電所の応札価格は諸外国同様に事業者の競争上の利益保護の観点から非公開にしています。

経過措置・逆数入札・シングルプライスなど、多くの検討テーマはありますが、来年度のオークションに備え、12月に向けて制度の在り方の議論を行っていく運びとなりました。

実際にこの約定価格が適用されるのは4年後となります。今後、多くの意見が出てくると思われますが、落ち着いて世論の反応を見ていく必要がありそうです。

次世代スマートメーターの検討方針について

10月28日には、2回目となるスマートメーター仕様検討ワーキンググループが開催され、今後の検討方針についての議論がありました。

出典:今後の検討方針について|株式会社三菱総合研究所(以下、本章の出典はすべて同じ)

具体的な論点は、以下の4つです。

  • 低圧スマートメーターにおけるBルート欠損の改善策(案)
  • MDMSの次世代化に関する論点
  • 通信技術の進化を踏まえたスマートメーター通信システムの検討
  • 共同検針に関するニーズ

ユースケースの整理について

ワーキンググループでは、ユースケースについても新たに整理、追加されました。ヒアリングからスマートメーターのさまざまな使い道、ニーズがまとめられています。

議論のあったユースケース、技術的課題などをとりまとめ、11月11日に開催された第2回次世代スマートメーター制度検討会にて報告されました。検討会委員が内容を確認し、改めて議論が進められています。

また、3回目のワーキンググループは、11月下旬~12月上旬に開催予定です。今回の方針に基づき、ユースケース採用時の便益や、通信システム(FAN/WAN)と上位システムにおける技術上の課題・制約などの議論を深堀し、各方式のメリット・デメリットの整理、コスト最適化の方針などを議論する予定です。

FIP制度の詳細検討について

10月9日の総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会(第20回) 基本政策分科会 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(第8回)合同会議にて、FIP制度の詳細設計について検討が行われました。

出典:FIP制度の詳細設計②|資源エネルギー庁(以下、本章の出典はすべて同じ)

2022年度からのFIP制度の導入が決定し、前回の8月31日の会議では全体像について話し合われました。今回議論されたのは、主に以下の4つです。

  • 【論点2】交付対象区分等の決定及び入札を実施する交付対象区分等の指定
  • 【論点4】卸電力取引市場の価値の参照方法
  • 【論点6】バランシングコストの取扱い
  • 【論点9】オフテイカーリスク対策(一時調達契約)

特に「【論点4】卸電力取引市場の価格の参照方法」は、FIP制度の参照価格を算定するための要素に含まれています。(1)市場価格指標(参照する卸電力取引市場)について・(2)市場参照期間・(3)市場参照時期・(4)交付頻度についての4つの事項を中心に検討を深めました。


(1)市場価格指標(参照する卸電力取引市場)については、FIP制度の目的である市場価格の変動を踏まえた発電事業者の発電・売電行動を促すという趣旨から、より実需給断面に近いタイミングで取引が行われるスポット市場と時間前市場での価格の加重平均が適切ではないかとしています。

そのほかの部分では、FIT制度の目的や卸電力市場価格のより的確な反映、過度に不確実性を高くしない、シンプルな制度設計などの方針を踏まえ、(2)市場参照期間は全電源一律に1カ月、(3)市場参照期間は当期、(4)プレミアムの交付頻度は1カ月としてはどうかという提案がありました。

非化石証書制度の変更を踏まえた小売営業に関する指針の改定に向けて

10月20日の電力・ガス取引監視等委員会 制度設計専門会合(第51回)では、非化石証書制度の変更を踏まえた小売営業に関する指針の改定について話し合われ、需要家・消費への表示・訴求の点に関する電力の小売営業に関する指標が示されました。

出典:非化石証書制度の変更を踏まえた小売営業ガイドラインの改定について②|第51回 制度設計専門会合事務局提出資料|電力・ガス取引監視等委員会(以下、本章の出典はすべて同じ)

表示については、小売営業指針に追加することが先付けで決定しています。しかし、「再エネ」と「CO2ゼロエミッション」の表示をどのようにすべきかは現在議論されている段階であり、表示方法の決定までには時間がかかるでしょう。

小売営業に関する指針の改定内で示す表示例のイメージ

現行の小売営業に関する指針では、望ましい行為および問題となる行為を踏まえ、電源構成表示の具体例を示しています。

表示の具体例を示すのは、小売電気事業者の理解を深めることにも有用です。そのため、今後改定する小売営業指針に盛り込む表示具体例が5つあげられました。

(1)電源構成・非化石証書使用状況の一般的な表示例

電源構成・非化石証書使用状況の一般的な表示は、電源構成に加えて非化石証書の使用状況も開示することが望ましいとし、二重円グラフの例と、2つの円グラフを併記する例を示しています。

(2)再エネメニューの表示例(例.「再エネ100%」メニュー)

再エネメニューの表示は下記のとおりです。現行小売営業指針上と同様に、電源構成・非化石証書使用状況の説明を必要としています。

FIT電気については、現行小売指針上で求められる3つの要件である(ア)「FIT電気」であること、(イ)FIT電気の割合、(ウ)FIT制度の各説明を引き続き求めます。

(3)実質再エネメニューの表示例(例.「実質再エネ80%」メニュー)

「実質再エネ80%」など、非化石証書の使用により実質的に再エネとするメニューの場合の表示例は下記のようになります。

事業者の選択において「再エネ30%」「再エネ30%・実質再エネ50%」などの表示は可能、「再エネ80%」は不可となり、再エネ電源(FIT電気含む。)以外の電気に非化石証書を使用して非化石証書の訴求をする場合、近接した箇所に電源構成表示または主な電源種の説明をわかりやすく行う必要があります。

(4)CO2ゼロエミメニューの表示例(例.「CO2ゼロエミ100%」メニュー)

「CO2ゼロエミ電気100%」など、CO2排出量に係るメニューの場合の表示例は下記になります。

(5)非化石証書を使用しない場合の説明

再エネ電源や非化石電源の電気に対応する非化石証書を使用しない場合の説明の例は下記のとおりです。

こちらの例においても、再エネ電源や非化石電源としての価値がないことを、電源表示と近い箇所にわかりやすく示します。

電力業界の動向、次回は12月にお届け予定です

2020年10月の電力業界の動向を、まとめて木村氏に聞きました。さらに詳しく知りたい方は、紹介した資料を確認してみてください。

次回は、12月に最新情報をお届けする予定です。

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