【ケース別】高齢者のマイナンバー対策、徹底まとめ
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いよいよ始まったマイナンバー制度、あなたはちゃんと知っていますか?「し、知らなかった……」という人も実は多いのでは?それなりに物事の判断がつく年齢なら、これから知っていけばいいだけです。でも、お年を召していてなかなか難しい、というケースもあります。そこで、高齢者のマイナンバー制度対策について考えてみました。
マイナンバーがわからない高齢者が直面するトラブル
実は「知っている」人のほうが多いみたいです。一般財団法人・経済広報センターが行ったマイナンバーに関する調査では、「60歳代以上」の人の約65%が「マイナンバー制度を知っている」と答えていたとか。
参照:一般財団法人経済広報センター「マイナンバー制度に関する意見調査報告書」
もちろん、この調査は日本に住んでいる60歳代以上の人全員を対象にしているわけではありません。マイナンバー制度を知らない人だってたくさんいるはずです。特に、病気などで認知機能が弱っている=物事の分別がつかない人だったら、かなり怪しいでしょう。そこで、認知機能が弱っている高齢者とマイナンバーについて、考えられるトラブルを2つ挙げてみます。
大事な封筒を捨ててしまう
まず考えられるのが、マイナンバー通知書類をごっそり捨ててしまう、というトラブルです。マイナンバーを知らない人にとっては、「よくわからない書類だから、自分には必要ないのかも」と思われても仕方ないかもしれません。でも、通知書類がないとマイナンバー制度の恩恵は受けられないのです。
詐欺にあうことも……
非常に残念なことですが、すでにマイナンバー制度に関連した詐欺の報告が出てきています。今のところ、次の3パターンの詐欺があったとか。
- 劇場型
- 複数の機関から一斉に電話がかかってきて、強引に話を進めることで展開する詐欺。例)「マイナンバーが漏れている」→「取消料が70万円かかります」などの脅迫電話がある。
- 個人情報取得型
- アンケート調査などと称し、(M)個人情報を聞き出そうとする(M)。例)「マイナンバーを交付するので家族構成を教えてもらいたい」とウソのアンケート調査をする。
- 便乗型
- マイナンバー制度に便乗して、架空請求等の手段で(M)お金をだまし取ろう(M)とする。例)「マイナンバーのセキュリティ対策費用がかかるので払ってください」という架空メールが届く。
どれも、マイナンバー制度についての知識があれば「……んなわけないよね」と流せる話ではあります。しかし、知識がない、しかも嘘を嘘と見抜けない、となれば、だまされる可能性だってあるでしょう。また、これからマイナンバー制度が本格的に運用され始めると、ここで取り上げたパターン以外の詐欺が出てくる可能性もあります。注意が必要なのは言うまでもありません。
参照:読売新聞社「YOMIURI ONLINE(2015年10月9日) マイナンバー詐欺が多発、3つの手口に注意を」
わからない家族はどうすればいい?
同居している実親の場合
実のお父様、お母様=実親と同居している場合、対策は案外簡単かもしれません。(M)次のようなルール(M)を決めておくといいでしょう。
- 「郵便局の人(簡易書留での発送なので、手渡しが基本)からもらった封筒は大事なもの」と言い聞かせる。
- 「届いたものは、捨てる前に見せて」と一言言っておく。
同居していれば、このようなルールを実践するのも簡単でしょう。実際、マイナンバー通知書類が届いたら、本人の同意のもとで開封し、保存・管理を行えばいいのです。
同居している義親の場合
さて、実親の場合は割と簡単でした。しかし、パートナーのお父様、お母様=義親と同居している場合、どうすればいいのでしょうか。
冒頭のアンケートでも取り上げたように、マイナンバー制度は人によって認知度にかなりばらつきがある制度です。いきなり頭ごなしに「マイナンバーのことなんてわからないだろうから」とあれもこれもやる、というのは、人によっては気分を害する原因になりかねません。
まずは、パートナーに「お父さん(お母さん)はマイナンバーのこと、知っているかな?」と聞いてみることから始めましょう。知っていれば、そのまま届いたらどうするか、という話し合いに移ればいいのです。知らなければ制度を説明してもらうように頼みましょう。その上で、実親の場合と同じように、マイナンバーの保存・管理のルールを決めればいいのです。
別居している親の場合
実親でも義親でも、同居していれば、マイナンバーの管理はそこまで難しくありません。しかし、別居している場合はどうなのでしょうか。この場合、「親にどれだけ認知能力があるか?」がポイントとなってきます。
ある程度認知能力がある=物事の分別がつく状態なら、「マイナンバーの書類が来たら、連絡してね。捨てないでね」と一言言っておけば大丈夫かもしれません。しかし、そうでない場合、きめ細かいフォローが必要になります。
近所の人にも電話などで「マイナンバーの書類が届いたら、一声かけていただけますか?」と申し入れをするのも有効でしょう。また、「郵便局の人から受け取った封筒ない?」とこまめに聞くのもいいかもしれません。
施設にいる親の場合
認知症などで、継続的な介護が必要なため、施設でご家族が暮らしている、という家は珍しくないでしょう。しかし、施設に入所している場合でもマイナンバーは届きます。
実はマイナンバーに関する一連の手続きを管轄する総務省も、「介護施設入居者のマイナンバーの取り扱い」については、明確な指針を出していません。
そうなると、法律の条文から検証するしかなくなります。まず、マイナンバーに関する細かい規定を定めた「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(通称:番号法)」には次のような規定があります。
「番号法 20条 何人も、前条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報(他人の個人番号を含むものに限る。)を収集し、又は保管してはならない。」
つまり、施設のスタッフが勝手にマイナンバー通知書類を開封して、番号を見たりメモをとったりすることは許されないのです。では、書類の扱いはどうするべきなのでしょうか。
介護施設で生活する、ということは、認知機能が低下している状態にあることが考えられます。そのような人が、書類をきっちり管理するのはなかなか難しいでしょう。実際は、介護施設のスタッフがとりまとめ、鍵のかかるキャビネットなどに保管する、という対応になることが多いようです。
もちろん、この手続きをするにあたっては、家族の同意を得るのが前提になるでしょう。そのため、次の2点に注意してみるといいかもしれません。- 「マイナンバー通知書類は介護施設で預かります」という連絡が施設からあったか?
- 同意書の取り交わし、もしくはそれに準ずる手続きがあったか?
このあたりをチェックし、疑問点は施設に聞いてみるべきです。
マインナンバー制度の高齢者対策まとめ
- 認知機能に問題がない場合
- マイナンバー制度について解説し、理解を求める。
- 認知機能に問題がある場合
- 「届いた封筒は捨てないで」など、簡単なお願いをし、保管や管理に責任を負う。
この2つがポイントとなります。結局、何をどうするのが一番いいのか、というのは、その人の状態によっていくらでも違うのです。「うちの親、実際どうなんだろう……?」と少しでも不安や疑問を感じたなら、まずは話し合いを持つことを心がけましょう。
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