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高値を続けるエネルギー調達価格、電気料金への影響が避けられないワケとは【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

全国のレギュラーガソリン平均店頭価格が、11月22日時点で168.9円。石油、天然ガスなどのエネルギー調達価格の上昇が続いています。エネルギー調達価格は電気料金と連動しているため、電気の需要が増える冬を迎えるにあたって、電気料金の高騰も心配です。

石油、天然ガスなどエネルギー調達価格の高値が続いています。米国や日本など主要消費国は石油備蓄の放出で原油高に歯止めをかけたい考えですが、価格は高値にとどまったまま、放出規模に対する不満や新型コロナウイルス変異株の出現などで上下を繰り返し、先行きを見通せません。エネルギー調達価格は家庭で使う電気料金と連動しています。電力需要が高まる冬を迎え、電気料金の上昇に不安が残ります。

レギュラーガソリン177円に大阪の飲食店主が悲鳴

レギュラーガソリン1リットルあたり177円の高値がついた大阪市中央区のガソリンスタンド(筆者撮影)

「いったいどこまで上がるんや。こんなに高くなったらいくら金があっても足りんわ」。11月中旬、ミナミの繁華街に近い大阪市中央区のガソリンスタンドで乗用車に給油していた飲食店経営の男性(62)が頭を抱えていました。

電光掲示板が示すレギュラーガソリン1リットルあたりの店頭価格は177円。日本エネルギー経済研究所石油情報センターによると、大阪府のレギュラーガソリン平均店頭価格は10月に1リットルあたり160円台に突入し、11月になると170円を突破しました。

この男性は堺市西区の自宅から約30分かけて自家用車で店へ通っています。大阪府で今春、新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大して以来、電車をやめて自家用車に切り替えたそうです。「店は時短営業で大ダメージを受けたのに、ガソリン代まで爆上がり。もうたまらん」と怒りを口にしていました。

原油高の影響がガソリン価格に波及、先行きは読めず

日本エネルギー経済研究所石油情報センターがまとめた全国のレギュラーガソリン平均店頭価格も、大阪府と同様に高騰を続けています。1月4日には1リットルあたり136.1円でしたが、2月に140円台、3月に150円台を突破しました。その後、小康状態を続けたあと、10月に160円台を超え、11月22日現在は168.9円です。

ガソリン高騰の原因となった原油高は続いたままです。ENEOSホールディングスによると、市場の指標となる米国産WTI原油価格は年頭の1バレルあたり40ドル台から上昇を続け、10月に80ドル台へ。10月26日に84.65ドルの最高値を付け、現在は70~80ドルで推移しています。

米国や日本など主要石油消費国は近く、石油備蓄を放出し、協調介入に踏み切ります。第一報が伝わった米ニューヨーク市場は、原油の先物価格がいっとき、前日比1.9%下がりましたが、放出規模が明らかになると規模が小さいとして前日比2.3%まで上昇しました。

その後、南アフリカで新型コロナの変異株「オミクロン株」が確認され、欧米で再びロックダウンが起きるのではないかとする不安から13.1%下がるなど、市場は混乱しています。

日本エネルギー経済研究所石油情報センターは「国内の石油元売り業者が価格を据え置くという情報もある。原油価格の動向がはっきりしなければ、ガソリン価格の今後を予測しがたい」と話しています。

2021年のレギュラーガソリン価格の推移(1月4日~11月22日、現金価格全国平均)

出典:日本エネルギー経済研究所石油情報センター

天然ガス調達費も上昇、欧州はエネルギー危機に

原油価格の高騰が家計にもたらす影響は、ガソリンだけにとどまらず、電気料金にもおよびそうです。電力はこれから冬場の需要が増える時期を迎えますが、電気料金には原油などエネルギー価格の上昇が料金値上げにつながる仕組みが盛り込まれているのです。

その例が天然ガスの輸入価格です。2019年度の国内電源構成で37%を占め、もっとも比率が高いのは天然ガス発電です。日本は消費量のほとんどをオーストラリアやカタールなどからの輸入に頼っていますが、化石燃料の中で石炭や石油より燃焼時の二酸化炭素排出量が少なく、輸入先が石油ほど一定地域に偏っていないことから、火力発電の主力になっています。

輸入する天然ガスの約8割は原油価格をベースにした長期契約で購入しています。スポット契約に比べ、価格変動が緩やかなのが特徴です。経済産業省によると、100万BTU(英国熱量単位)あたり12~13ドル程度で推移していますが、原油価格の上昇とともに高騰の気配が見えてきました。

残り2割がその都度価格が決まるスポット契約です。10月にはアジア地域のスポット価格が100万BTUあたり56ドルに達し、過去最高値を更新しました。欧州では9月のスポット価格が2020年5月の約15倍を記録するなど、エネルギー危機と呼ばれています。

電力大手7社が燃料費負担増で決算予想を下方修正

日本の天然ガス需要は縮小傾向にありますが、世界各国はコロナ禍からの回復途上にあると同時に、脱炭素に向けて二酸化炭素排出量が大きい石炭火力の廃止を進めています。このため、世界的に見ると天然ガスの需要が高まっているのです。

更に、世界最大の天然ガス輸入国となった中国が政治的に対立しているオーストラリアからの石炭輸入をいっときストップし、米国産など各国の天然ガスを爆買いしていることが、市場価格に少なからぬ影響を与えています。ロシアが欧州の需要に見合う量の天然ガスを供給していないと指摘する声も出ています。

電力大手10社のうち7社が燃料費負担の増加で2022年3月期決算の純損益予想を下方修正しましたが、真冬の寒波が例年以上に厳しくなると、天然ガスが不足することも考えられます。

昨冬は想定を上回る寒波の襲来に加え、天然ガスの不足もあって、電力卸市場の価格が10倍以上に急騰し、新電力の一部が電気料金を10倍以上に引き上げました。同じことが再び起きる可能性を否定できないのです。

燃料費調整制度の補正で東電の料金が前年同月比18%増

燃料費調整制度の存在も不安材料の1つといえそうです。この制度は電力会社の努力でどうしようもない燃料価格や為替レートの影響を排し、安定供給を続ける目的で1996年に導入されました。

電力会社がこれくらいで燃料を買い付けできるとして設定した「基準燃料価格」と、原油、天然ガス、石炭の直近3カ月間の購入平均値を貿易統計から算出する「平均燃料価格」の差を電気料金で一部調整する仕組みです。燃料費が安くなれば電気料金を下げ、高くなれば電気料金を上げるわけで、調整は2カ月後の電気料金に反映されます。

ただ、調整額には上限が設定されています。このため、燃料費調整制度だけで電気料金が極端に上昇する事態は避けられる仕組みです。

12月の電気料金は電力大手3社で前年同月比11~18%増

一般的な家庭の12月の電気料金を7~9月に輸入した燃料価格で補正すると、東京電力エナジーパートナーは7,485円程度になります。11月に比べると1.5%増、前年同月比だと18%の大幅増で、2016年の電力小売り全面自由化以後の最高値となる見通しです。関西電力は前年同月比11%増の7.095円程度、中部電力は16%増の7150円程度です。

しかも、10月以降原油価格が更に上がっていますから、1月は電力大手すべてが値上げします。12月に比べた値上げ幅は東京電力エナジーパートナーが146円、関西電力が107円、中部電力が153円です。

円安でエネルギー調達価格が増加の見通し

これに追い打ちをかけそうなのが、円安の進行です。23日のアジア外国為替市場で円がドルに対して下落し、いっとき1ドル=115円台になりました。2017年3月以来の安値です。米国のバイデン大統領が連邦準備制度理事会のパウエル議長再任を発表し、早期の利上げ観測が高まって円が売られたのです。

円が下落すれば石油、天然ガスなど輸入品の価格が値上がりし、エネルギー調達価格のさらなる上昇が避けられません。年間でもっとも電力需要が高まる冬を迎え、家計への打撃が心配されます。

高田泰(政治ジャーナリスト)
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