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「日本のみんなが自由に電力を選ぶ、その1票がエネルギーの未来になる」――株式会社Looop代表取締役社長・中村創一郎氏インタビュー

電力自由化

「Looopでんき」は電力自由化以降、急速にシェアを伸ばしている新電力です。電力自由化のキーパーソンにエネルギーの未来を聞くシリーズ第1回は、株式会社Looopの中村創一郎社長が登場。従来の概念を覆す基本料金0円プランの意図やエネルギーのこれからについて、くわしくうかがいました。

基本料金0円の料金プランを打ち出し、2016年4月の電力自由化以降、一躍話題の新電力となった「Looopでんき」。業界初となる革新的な料金プランはどのようにして生まれたのでしょうか――。

新電力のキーパーソンにエネルギーの未来をうかがうインタビューシリーズ、記念すべき第1回は、株式会社Looopの創業者にして代表取締役社長の中村創一郎氏が登場。創業エピソードや電力事業への想い、そして、2018年9月末に発表した中部電力との資本業務提携で思い描く新しいエネルギーのあり方について、語っていただきました。

Looopでんきとは?

太陽光発電システムの開発・販売・自社太陽光発電所の設置などを手がける株式会社Looopが運営する新電力。2015年から法人向け電力販売を開始し、2016年4月の電力自由化からは家庭向けに業界初となる基本料金0円の「おうちプラン」の提供を開始し、大きな話題となりました。「電気も、自然派でいこう。」をブランドメッセージに掲げ、再生可能エネルギーの普及を目指してサービスを展開しています。

震災を通じて感じた日本の底力~Looop設立のきっかけ~

――株式会社Looopはどのような想いでつくった会社なのでしょうか?

起業のきっかけになったのは、2011年に発生した東日本大震災でのできごとでした。当時、私は中国の上海を拠点に、日本のシリコンスクラップ(※)を集めて中国へ納める事業を行っていました。そんなさなかに日本でかつてないほどの大災害が起きて、私も何かできることはないかと考えていました。

そこへ声をかけてくれたのが、当時お付き合いのあった、太陽光パネル製造の会社を経営する方でした。今、日本が大変な状況だから少しでも支援できないかと、140Wのソーラーパネルを50枚、無償でくださったんです。

とはいえ、パネル単体ではただの板ですから、そのまま被災地に送り届けただけではどうにもなりません。被災された方の助けになるには、ただの板を「電気を生み出す装置」に変える必要がありました。そこで私は、必要な資材を持って被災地に行き、太陽光パネルを自ら設置してまわることにしたんです。

※半導体製造の過程で廃棄されるシリコン材料。太陽光パネルに再利用が可能

――すごい行動力ですね。
当時はとにかく「どうやったら被災された方の助けになるだろう」と必死だったんですよね。それで、各地の電気が止まっている避難所に行って、太陽光パネルとバッテリーを設置していきました。それで、夜でも照明が使えるようになったり、携帯電話を充電できるようになったりして、本当に喜んでいただけました。電気屋さんと勘違いされて「テレビの配線を直して」みたいな要望にも応えたりしていました(笑)。それがすべてのきっかけでしたね。

太陽光パネルの設置作業を行う中村社長

――実際に被災された方とも触れ合う機会も多かったのでは?

パネルを設置している期間は避難所でお世話になることも多かったので、被災された方ともいろいろとお話をする機会がありました。そんな中で、みなさんと夜にお酒を飲みながらお話をしていたときに感じたのが、とにかくみなさんがポジティブで前を向こうとしているなということでした。もちろん、気持ちが落ち込んでいないはずはないでしょうし、もしかしたら、見ず知らずの人に迷惑をかけないようにと気丈に振る舞っていたのかもしれませんが、それでも、なんとか前へ進もうとする姿勢に、日本人の心の強さや底力をすごく感じました

――その経験が中村社長の心を動かしたのですね。

そうですね。そもそも私が中国で仕事を始めたのは、日本の景気が落ち込む中で、中国は新興国としてどんどん経済成長していくだろうと考えたからでした。逆に言えば、日本に対して少し後ろ向きなイメージがあったんです。

でも、そうやって被災された方と触れ合えたことが、結果的に日本のことを見直すきっかけになりました。こんなに強い人たちが支えているのだから、まだまだ盛り返せるぞと思いましたし、そんな日本の人たちのために自分も力になりたいと思いました。

この一連の経験をとおして、自然エネルギーの分野に強い縁ができました。震災は自然の力が引き起こしたもので、東北地方、ひいては日本全体に大打撃を与えたけれども、今度はその自然の力を使って日本に元気を与えて、復興していくサポートができたらいいなと。それが、日本で、しかもエネルギー分野での起業を考えたきっかけです。

再エネを日本に広めるために~会社設立から電力自由化まで~

Looopでんきのブランド紹介ページ
震災のなかで日本の底力を垣間見た中村社長は、その後すぐに会社設立に向けて動き出します。

――2011年4月に株式会社Looopを設立されています。当時のことを振り返っていただけますか?

当初はたった3人で始めた小さな会社で、事務所は倉庫置き場の一角のようなところでしたね。スタートしたころは、まだまだエネルギーに関する知識が十分ではなかったこともあって、苦労することも多かったように思います。

もともとやっていたシリコンスクラップの事業は、在庫があって初めて商売が成り立つ仕事でした。その感覚がずっとあったためか、最初は資本金のほとんどをつぎ込んでソーラーパネルを買っちゃったんですね。パラパラと売れては行くものの、想定していた状態とは程遠く、結局在庫が山積みになってしまったんです。そのときにひらめいたのが、大量のソーラーパネルの在庫を使って発電所をつくってみよう、というアイデアでした。

実際につくったのは、16kWの発電所でした。当時はほとんど素人の集まりのような状態だったのですが、アイデアを実行に移していくうちに、いろいろな人が手を差し伸べてくれました。例えば、タクシーの運転手との雑談の中で、ソーラー発電関連の仕事をしているという話をしたら、その運転手が電気工事士の資格を持っている、という話になり、実際に手伝ってくれたこともありました。その人は今でも当社で働いてくれています。

Looop創業期。泥だらけになって夜まで作業を行った

――不思議な縁を感じるエピソードですね。

設立当初のご縁は本当に特別に感じています。最初に発電所をつくったのが山梨県の北杜市というところだったのですが、先日、そこで家の裏に土地を貸してくださったおばあちゃんに、新卒で入社したスタッフを連れて久しぶりにご挨拶にうかがったんです。そうしたら、「あのときは3~4人でやってたのに、立派な会社になったんだねえ」とうれし泣きしてくださったんですね。当時を知る方にそう言っていただけて、本当に感慨深かったですし、もっとがんばろうという気持ちになりました。

山梨の発電所で関係者と(2011年10月撮影)

業界初・基本料金0円の理由~電力小売業界の“革命児”へ~

Looopでんきは業界初の基本料金0円を発表
電力小売自由化にともない小売事業に乗り出したLooop。そこにあった狙いと戦略とは……?

――2016年4月にはいよいよ電力小売が自由化されました。Looopとしては、いつごろから電力小売業への参入を考えていたのでしょうか?

電力小売業への参入については、設立当初から考えていました。私たちの事業の根幹になるのは当時も今も変わらず、太陽光や水力、風力といった自然エネルギーや、そこへさらにバイオマスなども含めた再生可能エネルギーを日本中に広めていきたいという想いです。なので、自分たちの発電所をつくった段階から、応援してくれるお客様だったり、会社の想いに共感してくれる仲間に発電した電気を安く提供したいというのは最初から頭にありました。そこから少しずつ調査をしながら、自由化に向けて準備を進めていきましたね。

――新規参入となった「Looopでんき」が打ち出したのは、業界初となる基本料金0円というプランでした。このプランに込めた想いをお聞かせください。

そもそも、電気料金における基本料金は、自由化前の電力会社(旧一般電気事業者)が発電や送配電の設備をつくったり維持管理したりする費用を、利用者みんなで負担しましょうという考えでできた料金です。しかし、だんだんとそういった考え方が形骸化していって、電力会社だけでなく、もしかしたら利用者の方も含めて「あるのが当然のもの」になっていったように思います。

Looopでんきが基本料金0円を打ち出そうと思ったのは、まさにこの設備投資にかかるお金を丸々削れると思ったからです。私たちは小売事業者なので設備費はかかりません。ならば基本料金が0円でも成り立つはずという仮定のもと、このプランがスタートしました。実際、サービス上まったく問題はありませんでした。それどころか、多くの方がこのプランに共感して賛同してくださいました。

もちろん、従来に比べて安くなるということも喜んでいただけた要因だと思いますが、原点に立ち返って「そもそも基本料金ってなんだっけ?」というメッセージを投げかけられたことも、みなさんの共感を呼べた要因だと考えています。

業界最安クラス「Looopでんち」が目指す次のステージ~VPPの構築~

「業界最安値クラス」をうたうLooopでんち
電力の販売で注目を集めたLooopは、蓄電池の販売も順調だそう。「高機能を安く」のコンセプトの背景にある次の戦略についてうかがいました。

――Looopでんちという、AIを搭載しながらリーズナブルな価格を実現した蓄電池にも注目が集まっているそうですね。

おかげさまで、Looopでんちは業界最安クラスの蓄電池ソリューションとして、多くの方に導入いただいています。そして、今回Looopが行うVPP(※)実証実験にご協力いただくことで、一般的な蓄電池導入に関する補助金に加えて、さらに手厚い補助が受けられるようになっています。

というのも、VPPのしくみを構築していくには、まずはたくさんの方に蓄電池を導入してもらう必要があります。ですが、やはり手の届きにくい価格だと導入がなかなか進んでいきません。Looopでんちは、先進的なAIによる自動制御機能を持たせながら、非常にリーズナブルでコンパクトな蓄電池となっています。ユーザー目線の設計を突き詰めたこともあり、かなりご好評をいただいている状況です。

※Virtual Power Plant(仮想発電所)。各地に点在する複数の小規模発電設備や蓄電設備などをまとめて制御することで、1つの大きな発電所のように機能させる技術

――実証実験の経過はいかがですか?

おかげさまで好調で、各地の設備と相互通信を行うことでたくさんのデータが集まってきています。この蓄積されたデータを分析して、VPPとしてどのタイミングで蓄電して、どのタイミングで放電するのかといったバックヤードの制御システムの構築をしていくことが次のフェーズになってきます。

2019年には、電力の余剰電力買取制度(2012年からは固定価格買取制度)が終了となる、いわゆる「卒FIT」が35~40万世帯で起こると言われています。今回の実証実験の成果をもとに効率的なシステムを構築できれば、卒FITされる方に積極的にVPPに参加していただくことで、その後の収入源にしていただくこともできるのではと考えています。

中部電力との資本業務提携~Looopが思い描く将来像~

Looopのこれからの展開について語る中村社長
多方面で再生可能エネルギーの普及へ向けた取り組みを進めているLooopが、次の展開への足がかりとして発表したのが中部電力との資本業務提携でした。

――2018年の9月には、旧一般電気事業者(旧一電)(※)である中部電力との資本業務提携を発表されました。これはどのようなビジョンを見据えたものだったのでしょうか?

※電力自由化以前から電力の小売業を行っていた事業者。具体的には、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10社のこと

Looopとしては、将来的には日本国内だけでなく、海外にも進出していきたいと考えています。再エネの普及は海外でも重要なテーマとなっていますし、電力小売事業も展開していきたいと思っています。そのためには、やはり資金とノウハウが足りないと感じていました。なので、以前からどこかのタイミングで旧一電と組む必要があるだろうとは考えていました。

今回、中部電力と資本業務提携することになったのは、私たちが設立当初から思い描いていた「再生可能エネルギーの普及」を一緒に目指していきたいと言ってくれたこと、そして何より、再生可能エネルギーの普及の“第一人者”としてLooopを選んでくれたことが大きな理由です。

最近では旧一電と新電力の提携が増えていますが、今回のように、旧一電と新電力がほぼ対等なかたちで提携したのは、かなりレアなケースだと思います。もちろん私たちも、中部電力から「与えられる」だけではなく、「与える」こともしていきたいと思っています。Looopとしては中部電力が積み重ねてきたノウハウを吸収させてもらいつつ、従来のノウハウの裏にあるムダを分析して取り除いていくと。そして、ムダがカットされて、Looopが持つ再生可能エネルギーのノウハウが組み合わされば、間違いなく世界で戦えるモデルになると思っています。それができるのは、私たちしかいないと思っていますし、同時に私たちの大きな使命だと思っています。

――Looopが思い描くエネルギーの将来像を教えてください。

私たちは、究極的には「エネルギーフリー」にしたいと考えています。つまり、「基本料金」だけでなく、「電気料金」自体を0円にすることを目指しています。太陽光や水力、風力といった再生可能エネルギーであれば、資源が枯渇することなくずっと発電を続けることができます。再エネの発電コストは年々減少傾向にあるので、これを日本中に普及させていって、長く続けていくことで、電気料金を0円に限りなく近づけていきたいと思っています。

電力の切り替えがエネルギーの未来になる~中村社長からのメッセージ~

さまざまな展開を視野に入れる中村社長から、エネチェンジをご覧のみなさんに熱いメッセージをいただきました。

――最後に、この記事をご覧のエネチェンジユーザーに向けてメッセージをお願いします。

新電力へのスイッチング(切り替え)率は、電力の小売全面自由化から丸2年が経った2018年3月末の段階で、ようやく10%を超えました。比較的意欲の高い関東・関西エリアでも13%台にとどまっていて、これはかなり少ない数字だと感じています。

自分が使っている電気について考えることは、単に電気代を下げる以上の意味があると考えています。みなさん一人ひとりが電気のことを考えて新電力に切り替えることで、旧一電も現体制を考え直すきっかけになり、結果として旧一電の電気代を下げることにもつながります。

ですから、Looopでんきではなくても全然構いませんので、まずは一度、電力の切り替えを体験してみてほしいと思います。日本のみなさんが自分で電力会社を選んで切り替えていく、その1票が日本の電力を変える力になると思いますし、ひいては日本のエネルギーの未来につながるはずです。

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