高圧電力とは?低圧電力との違いも解説
この記事の目次
「高圧電力」や「低圧電力」といった用語を聞いたことはありますか?需要家の施設に供給される電力の電圧規模を指す言葉です。
電気を使う規模が大きい施設になると、供給される電圧も大きくなります。供給される電圧が比較的小さければ低圧電力、中小規模であれば高圧電力、大規模なら特別高圧電力といった違いです。
本記事ではこのうち高圧電力の詳細や、高圧と低圧の違いなどを解説していきます。
電圧の違いによって料金の仕組みや設備だけでなく、電気代削減時に注意すべき点も異なるので注意しましょう。
高圧電力とは?
高圧電力とは、供給電圧が6000Vの電圧規模を指します。契約電力でいうと50~2000kW未満の範囲です。中小規模の施設(商業施設や工場、病院など)が主な対象になります。
高圧電力を供給する新電力の数は、国内で700社以上。誰もが知る企業系列の新電力や、特定のエリアに特化した新電力など、様々な電力会社が存在します。
販売電力量の上位には、テプコカスタマーサービスやエネット、ENEOSといった企業が名を連ねています。
新電力 | 市場シェア(販売電力量) |
---|---|
テプコカスタマーサービス(株) | 11.2% |
(株)エネット | 11.2% |
ENEOS(株) | 4.2% |
九電みらいエナジー(株) | 4.1% |
(株)エナリス・パワー・マーケティング | 3.9% |
(株)F-Power | 3.9% |
丸紅新電力(株) | 3.4% |
出光興産(株) | 3.1% |
(株)シナジアパワー | 2.8% |
エバーグリーン・マーケティング(株) | 2.7% |
出展:経済産業省資源エネルギー庁「電力需要実績」を元にエネチェンジBiz編集
低圧電力とは?
低圧電力は、供給電圧が200V以下の電圧規模を指します。契約電力でいうと50kW未満です。契約区分としては、商店や飲食店、事務所、一般家庭などが対象になります。
低圧電力の販売量上位は、東京ガスや大阪瓦斯、KDDIなどが占めています。
新電力 | 市場シェア(販売電力量) |
---|---|
東京ガス(株) | 16.9% |
大阪瓦斯(株) | 9.2% |
KDDI(株) | 8.5% |
SBパワー(株) | 7.6% |
ENEOS(株) | 5.5% |
(株)ハルエネ | 4.1% |
東邦ガス(株) | 2.4% |
東邦ガス(株) | 1.7% |
楽天モバイル(株) | 1.6% |
(株)ジェイコムウエスト | 1.5% |
出展:経済産業省資源エネルギー庁「電力需要実績」を元にエネチェンジBiz編集
高圧電力と低圧電力の違いとは?
高圧電力と低圧電力の違いはいくつかあります。そもそも施設に供給される電圧規模が異なる、高圧電力ではキュービクルという設備の設置が必要になる、契約電力の決まり方が異なる、といった具合です。主な違いを表にまとめました。
高圧電力と低圧電力の違いについて、もう少し詳しくみていきましょう。
契約電力が違う
契約電力とは、毎月使用できる最大電力のこと。契約電力が50kW未満であれば低圧電力、50~2,000kW未満が高圧電力、2,000kW以上が特別高圧電力です。契約電力が決まる仕組みは、後述のように各契約区分によって若干異なりますが、契約電力が上がると毎月の基本料金も高くなる仕組みは共通です。
供給方法が違う
高圧電力と低圧電力では、電力の供給方法が異なります。低圧電力は電柱に設置されている柱上変圧器(トランス)で100Vと200Vに変圧されて届けられます。一方で高圧電力では、電気(6,600V)を各施設のキュービクル式高圧受電設備(キュービクル)で受電。その後キュービクル内で変圧(100Vや200V)して使用します。
高圧電力ではキュービクルが必要
供給方法の違いでご紹介したとおり、高圧電力の施設ではキュービクルが必要になります。送電線から送られてきた電力をキュービクルによって変圧するのです。キュービクルは高圧電力を契約する事業者で設置・管理しなければなりません。キュービクルの工事・維持・運用については電気事業法により定められており、設置者が自己責任において保安規程を作成すること、電気主任技術者を選任することなどの保安確保が義務付けられています。
電気料金の仕組みが違う
毎月の基本料金に影響する契約電力の決まり方が異なります。
まず低圧電力の契約電力は、以下2種類から選ぶことができます。
- 負荷設備契約:設備容量の合計を元に契約電力を算定
- 主開閉器契約:メインブレーカーの容量を元に契約電力を算定
どちらの契約種別が適切かは、施設の電気使用状況などによって異なります。詳しくは負荷設備契約と主開閉器契約の違いを解説した記事をご覧ください。
一方で高圧電力の契約電力は、「デマンド」と呼ばれる数値によって決定されます。デマンドとは、直近12カ月での使用電力の最大値を指します。使用電力の最大値を記録するタイミングは、例えば夏季に空調設備をフル稼働させた、工場にある複数の設備を同時に稼働させたなど、使用電力が急激に跳ね上がった時です。
デマンドの数値が最大値を記録すると契約電力も上がり、結果として毎月の基本料金が上がる仕組みになっています。
電気料金の単価が違う
電気料金の単価は、基本料金単価(または最低料金)と電力量料金単価の2種類があります。契約電力の水準(低圧・高圧・特別高圧電力)などによって、単価は変わってきます。東京電力エナジーパートナーを例に見てみましょう。以下の表は、同社による電力量料金単価です。
出典:東京電力エナジーパートナーのサイトを基にエネチェンジBiz編集
高圧電力と低圧電力の見分け方
どちらの契約なのかわからないときは、キュービクルのあり・なしで見分けましょう。
- キュービクルがある
- 高圧電力契約をしている
- キュービクルがない
- 低圧電力契約をしている
電気料金の請求書が手元にある場合は、「契約種別」欄を確認してみてください。高圧の記載があれば高圧電力ですが、メニュー名は電力会社で様々のため契約種別をみても「高圧」という単語が記載されていないこともあります。その場合は、供給電圧が6kV以上かどうかを確認しましょう。6kV以上であれば高圧電力です。
それでもご不明な場合には、明細書をエネチェンジBizへお送りください。こちらで判別のうえ、よりよいご提案をさせていただきます。
高圧電力の電気代削減のポイント
ここでは高圧電力の電気代を削減するポイントについて、基本料金と電力量料金の2つに分けて解説します。
基本料金の削減
高圧電力の基本料金は、単価・契約電力・力率によって構成されています。つまり基本料金を安くするには、この3つの項目のいずれかを改善する必要があるのです。
まず基本料金単価は、電力会社や契約種別などによって異なります。そのためより適切な電力会社に切り替えることで、電気代を削減できる余地が出てきます。単価そのものを削減できるため、電気使用量にかかわらず電気代削減効果を見込みやすいというメリットもあります。
まだ電力会社を切り替えたことがないという方はもちろんですが、2回目以降でも十分な削減額を達成できる事例も非常に多いです。ぜひエネチェンジBizのサービスを検討ください。
また契約電力の引き下げは、前述の通りデマンドの削減がポイントになります。デマンドを抑制するには、瞬間的に記録される使用電力の最大値を抑える必要があります。より具体的には、平均電気使用量(kW)(30分ごと)の最大値を下げるのです。
そのためには、ピーク時の使用電力を削減するピークカットと、それぞれの機器による使用電力の時間帯をピーク時からずらすことで最大値を抑えるピークシフトの2種類があります。
力率の改善には、有効電力を調整することができる「コンデンサ」の設置が効果的です。力率割引または力率割増しの境界は85%となっているので、コンデンサを活用するなどして毎月の力率を85%以上に維持するようにしましょう。
電力量料金の削減
電力量料金は、電力の使用量に応じて請求される費用です。そのため省エネなどによって、いかに電気使用量を抑えるかが重要になってくるでしょう。省エネの種類は大きく分けて2つ。電気の消し忘れ防止や設備の運用見直しなどを含む運用改善と、既存設備の修理や省エネ性能の高い設備への買い替えといった設備改善です。
手軽に電気代削減、電力会社選びのポイントは?
こうしたデマンド削減や省エネは、適切に実施すれば高い効果が見込めるものの、場合によっては手間や時間、費用もかかります。一方で電力会社の切り替えは、電気料金プランを変更するだけで電気代を手軽に削減できる、というメリットがあります。
ここでは電力会社を比較・選定するうえで、基本的なポイントをいくつかご紹介します。
まずは契約中の電力会社から、再度見積もりを取ることも重要です。いくつかの電力会社を比較検討した結果、契約中の電力プランの見直しが最も安くなったという事例もあります。
また過去に見積もりを取った企業でも、再度検討の余地がある場合があります。当時と比べて自社の電気使用状況、もしくは電力会社のビジネス状況が変化しているため、前回より安い見積もりを引き出せる可能性もあるからです。
さらに複数の電力会社を比較検討することも大切です。ただし闇雲に多くの電力会社に声をかけるのではなく、自社でしっかり比較・精査できる範囲で検討するとよいでしょう。
こうした電力会社の比較・検討ノウハウをまとめたので、よろしければご覧ください。
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