検針票を見せてしまったときの対処法は?電気・ガスの訪問販売での注意点も解説します
この記事の目次
「電力会社・ガス会社を名乗る勧誘員から電話や訪問販売で勧誘を受け、言われるがままに検針票を見せてしまったら勝手に契約を結ばれていた」などといった電気・ガスの悪質な勧誘や訪問販売でのトラブルが増えています。
実際に検針票を見せてしまった場合の対処方法、今後勧誘を受けた際に気をつけるべきポイントなど、詳しくご説明します。
- 更新日
- 2023年3月31日
電気・ガスの訪問販売で検針票を見せてしまった!どうすればいい?
電話や訪問販売で勧誘を受けて検針票を見せてしまったり、契約書にサインをしてしまった場合でも、書面受領日を含めて法定の契約書面を受け取った日から8日以内であれば原則としてクーリング・オフが可能です。また、法定の契約書面を受け取ってから日数がカウントされるので、まだ受け取っていない場合もクーリング・オフができます。
契約書面などを受け取っていない、契約したはずの会社が勧誘員が名乗っていた会社とは違う会社だった、聞き取った電話番号に電話をしても繋がらないなど、自分でクーリング・オフができない場合などは経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(03-3501-5725)、もしくは消費者ホットライン(188)に電話で相談ができます。一人で悩まずに、困ったときはすぐに相談しましょう。
消費生活センターなどへの電力小売に関する相談件数は増加傾向にある
2016年4月に電力の小売全面自由化が行われ、翌2017年4月にはガスの小売全面自由化が行われました。これにより、新たに電気・ガスの販売を行う新規事業者が増え、消費者は多くの電力会社・ガス会社の料金プランから自由に選択して契約ができるようになりました。
しかし、悪質な勧誘や訪問販売も増え、国民生活センター・各地の消費生活センター・経済産業省電力・ガス取引監視等委員会へ消費者からの相談が多く寄せられています。
出典:電子・ガス自由化をめぐるトラブル速報No.16電気・ガスの契約内容をよく確認しましょう|独立行政法人国民生活センター 消費者庁 経済産業省電力・ガス取引監視等委員会
具体的な相談内容としては、以下の例があります。
- 検針票を見せたら勝手に電気の契約先を変更されていた
- 大手ガス会社を名乗り、割引プランを勧誘され検針票に記載されている顧客番号・供給地点特定番号を教えてしまったが、勧誘時に聞いた電話番号を調べたらガス会社ではなく別の事業者の番号だった
- 電気メーターをスマートメーターに交換すると言われ書面にサインしたが、後から控えを見ると電気の契約が結ばれていた
独立行政法人国民生活センター、消費者庁、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会は契約時に契約内容をよく確認するよう呼びかけています。
トラブルが発生し、行政処分になったケースも
過去には、電力会社と消費者の間でトラブルが多発し、行政処分が行われたケースもあります。
福島電力
2016年から電力販売を開始した福島電力は、2018年に消費者との間で電気代請求の遅延や請求が二重に届く、問い合わせの電話が繋がらないなどトラブルが多発し、2018年8月8日に福島地方裁判所いわき支部より破産手続を開始しました。消費者は福島電力より短期間で他社に切り替えを促され、エネチェンジでは特設ページや専用の電話窓口を開設し福島電力の顧客向けに切り替え支援を行いました。
AKUBIでんき(あくび電気)
2015年に創業されたAKUBIでんき(あくび電気)は、実際の料金プランは旧一般電気事業者と比較して300kWh以上使用しなければ安くならない料金設定となっているにもかかわらず詳しい説明をせず「毎月5%安くなる」とうたい、勧誘を行う際に旧一般電気事業者の名前を何度も出して関連業者を思わせるなどのトラブルも発生、2019年4月26日に消費者庁より特定商取引法に基づいて6カ月間の一部業務の停止が命じられました。
その後、AKUBIでんきは電気料金の支払い方法の変更に適切な説明や書面交付を行わなかった、また一部の契約者に過大に電気料金を徴収したとして、2019年12月25日に電力・ガス取引監視等委員会より業務改善勧告を受けました。さらに、利用者に説明や通知など必要な情報提供を行っていなかったにもかかわらず1,336件の利用者に対してまとめ割を適用し、これらの利用者から本来徴収すべきであった金額に比して合計7,752万円を過大に徴収したとして2019年12月25日に総務省より業務改善が命じられました。
AKUBIでんき(あくび電気)を提供するあくびコミュニケーションズ株式会社は2000年2月28日に破産手続きを開始、その関連会社でgreen energy(グリーンエナジー)を提供する株式会社カステラも破産手続きが決定しました。エネチェンジではAKUBIでんき相談ホットラインを解説し、電力会社切り替えのサポートを行いました。
電気・ガスの電話勧誘・訪問販売の際の対策・注意点は?
実際に電気・ガスの電話勧誘や訪問販売を受けた際に気をつけるべきポイントをまとめました。
【対策1】検針票は見せない
「電気の検針票を見せて」「検針票に書かれている番号を教えて」と求められてもすぐに見せたり、教えてしまわないよう気をつけましょう。電気の検針票には、電力会社やガス会社が契約に必要なお客様番号や、供給地点特定番号が記載されています。実際にその番号を教えてしまい、契約するとは言っていないのに勝手に契約を結ばれていたという事例も起きています。
検針票に記載されている番号などの個人情報は、電力会社・ガス会社と契約を行う時に必要となります。慎重に取り扱いましょう。
【対策2】身分証明書の提示を求め、事業者名・連絡先を確認する
訪問販売や勧誘をされた場合は、まず身分証明書の提示を求め、事業者名・連絡先を確認しましょう。また、名刺をもらうなどして後で自分で調べられるようにすることも大切です。
【対策3】契約をする場合は、料金プランや条件の確認を忘れずに
電気・ガスの契約はその場ですぐには行わず、電力会社・ガス会社の概要や契約プラン、契約期間、解約違約金の有無などの契約内容をしっかりと確認しましょう。また、「料金が安くなる」と言われた場合も、その料金プランが全ての家庭に対して安くなるわけではない場合もあります。世帯人数や電気・ガスの使用量により家庭ごとに最適なプランは異なります。契約をする場合は、プラン内容や条件を必ず確認してから行いましょう。
【対策4】電話勧誘・訪問販売で契約した場合は、クーリングオフが可能
電話や訪問販売で電気・ガス料金プランの勧誘を受け、契約の切り替えについて承諾しても、法定の契約書面を受け取った日を含めて8日以内であれば原則としてクーリング・オフができます。法定の契約書面を受け取ってから日数がカウントされるので、まだ受け取っていない場合もクーリング・オフは可能です。
クーリング・オフは書面で行うことができます。クーリング・オフができる期間内に販売会社に通知をします。クレジット契約を結んだ場合は、クレジット会社にも同時に通知します。特定記録郵便や簡易書留など記録が残る方法で送付し、コピーや送付記録は保管しておきます。クーリング・オフの詳しいやり方や書面の記載方法については、独立行政法人国民生活センターのホームページで確認ができます。
クーリング・オフを行う際の注意点として、郵送で契約書面を送るなどの通信販売は対象にならない場合があります。販売員による訪問を受けた際に「後日申込書を郵送してください」などと言われても、信頼できる会社かどうか確認する前に行動にうつさないよう、慎重に対応しましょう。
【対策5】困ったときは相談窓口に問い合わせましょう
電話や訪問販売で悪質な勧誘を受けた、勝手に契約が結ばれていたなど、問題が起きて困った場合は、以下の窓口に相談できます。
- 経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(03-3501-5725)
- 消費者ホットライン(188)
消費者ホットラインは、188に電話をかけることで地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。
検針票を見せてしまった場合はクーリングオフを!電力・ガスの契約内容をしっかり確認しよう
電力会社・ガス会社を名乗る勧誘員から電話や訪問販売で勧誘を受け、検針票を見せてしまった時などの対処方法や注意点をご紹介しました。勧誘を受けてもすぐに検針票を見せたり、検針票に書かれている個人情報を渡したりせずに、きちんと会社名や料金プランの確認を行いましょう。また、離れて暮らしているご両親やおじいちゃん、おばあちゃんなどが電気・ガスの悪質な勧誘や訪問販売を受けて困っていたら、助けてあげてくださいね。
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