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節約アドバイザー・FP丸山晴美さんに聞く「値上げラッシュ時代の節約術」

電気代の節約、節電テクニック

昨年からあらゆるモノの値段が上がり、まさしく値上げラッシュ状態です。いつまで続くの?生活はどうなるの?と不安な方も多いでしょう。この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)でもある節約アドバイザーの丸山晴美さんに「値上げラッシュ時代の家計の対処法」を解説してもらいます。

食品や日用品といった身近なものが値上げが止まらない世の中。暮らしを守るヒントとして、お金のプロ&節約の達人に家計を助ける節約術を聞きました。

記事を読む前に…
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この人に聞きました

丸山晴美(まるやま・はるみ)

丸山晴美さん
旅行会社、コンビニ店長などを経験したのち、マネー誌でその節約術が話題となり2001年に節約アドバイザーとして独立。同年、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。

09年、「消費生活アドバイザー」取得。テレビ、雑誌等のメディアでも活躍し、『節約家計ノート』は毎年恒例の発刊となっている。『かんたん申請で「月5万円」もらえる! シングルママの「お金に困らない」本』(徳間書店タウンムック)、『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します』(共著・幻冬舎)など著書多数。
オフィシャルサイト:https://www.maruyama-harumi.com/

値上げラッシュの現状は?

昨年末から今年にかけて、パン、調味料、お菓子といった身近な食料品から電気代まで、身の周りのあらゆるモノが値上がりしています。主な原因のひとつとして、エネルギー価格の高騰が挙げられていますが、お金のプロである丸山さんは、この状況をどう分析しているのでしょうか。

値上げは続くよ、どこまでも…?

状況はよくないですね。モノの値段はしばらくの間、上がることはあっても下がることはないと見ています。もともと、日本の物価は諸外国に比べれば、高いほうではありません。それは企業努力の賜物ですが、今回はその企業努力をしてもなお、エネルギーコストなどの上昇分をカバーできない状況です。3月半ばの現在、すでに6月分の値上げも発表されています。

原因としては、世界的な需給変化を起こした、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが挙げられます。さらに4月以降は、ウクライナ情勢の余波を受けて、エネルギー関連や小麦の値上がりが加速することも懸念されています。
電気料金は昨年の3月に比べて30%値上げになっていますし、小麦は4月引き渡し分からの値上げに加え、すでに10月からの値上げも発表済みです。2022年1月に大手製パン会社や製粉会社が商品の値上げに踏み切っていますが、さらに年内にあと1,2回の値上げがあっても不思議ではありません。

また、円安の影響もあって、輸入品が軒並み値上がりしています。エネルギー関連はもちろん、小麦、大豆、肉類といった、輸入に頼っている食品も値上がりしそうです。

生活に密着するものが軒並み値上がりするのは、これまでにない事態です。この状況がすぐによくなるとは思えません。かといって収入を増やすのは難しい……となると、あとはなんとか「やりくりする」しかありません。

値上げラッシュ時代の節約術とは?

原油価格の高騰、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、国際情勢の悪化に加え、地震などの自然災害…私たちを取り巻く状況は厳しいようです。食料品や日用品といった、生活に直結するものの値段が上がる中、私たちができることはあるのでしょうか? 対処法を聞きました。

値上げラッシュ時代の対処術1)固定費の見直しポイントは通信費

食費や日用品など月ごとに支払額が変わる「変動費」が増えるのであれば、「固定費」を下げるのが確実な方法です。固定費には、住居費や保険料などがありますが、この値上げラッシュ時代に逆行して価格が下がっているもの…それは通信費です。

大手キャリアの場合、お得な新料金プランに変更することで、月々の支払額を減らせます。おすすめは、もし現在、大手キャリアと契約しているのなら、OCNモバイルONEなどの格安スマホ(格安SIM)に乗り換えること。家族4人全員が格安SIMに変えると、機種代抜きで月5000円程度で済みます。

そのほかの見直したい固定費

  1. お子さんの習い事は、進学・進級のタイミングで検討し、本当に必要なものだけに絞りましょう。
    同じく保険料も見直して厳選を。
  2. コロナ禍で契約が増えたサブスクリプション(サブスク)。契約数が多いと、固定費として重くのしかかります。数を絞って契約したいものですが、解約すべきものを選ぶのが面倒ならば、この際、一気に解約してしまいましょう。
    サブスクは、初期費用が抑えられるメリットがある半面、必要なものだけ選ぶなど管理力が問われます。うまく管理ができる方はよいのですが、管理が大変なら短期で使う方法がおすすめです。
  3. 電気代は毎月のように値上がりしていますが、新電力に見直すということで安くなることもあります。

値上げラッシュ時代の対処術2)自炊の救世主はお米中心メニュー

やはり自炊することは、節約につながります。食品の中でも価格が安定しているものといえば、お米です

天候などに左右されるものの、ほぼ100%国内生産なので価格は安定していて、むしろ近年は下落傾向にあります。お米を中心に、旬に安く出回る国内の野菜をうまく合わせた自炊生活を心掛けましょう。

値上げラッシュ時代の対処術3)プライベートブランドを活用する

悩ましいのは、マヨネーズやケチャップなど、よく使う調味料もどんどん値上がりしている点ですね。そこで、それらをプライベートブランド(PB)商品に切り替えてみてはどうでしょうか。
つい先日、西友の「みなさまのお墨付き」やイオンの「トップバリュ」といったPBが、今年6月末まで価格据え置き宣言をしました。「このメーカーのこの商品じゃないとダメ」というこだわりのあるもの以外は、PB商品に変えてみるのも一法といえます。
PBというと、「安かろう悪かろうでは?」と心配する人もいますが、品質はしっかりしたものが多いのが特徴です。

会社の顔となるブランド商品

今や、大手スーパーやコンビニ、ドラッグストア以外にも、ドン・キホーテなどのディスカウントストアやホームセンターでもPB商品を展開しています。会社を代表するブランドとなっているので、品質の低いものは出せません。
実は、値上げが続くナショナルブランドが製造しているという場合も。商品裏面の「製造委託先」で確認してみてください。

安さの裏にコストカットの努力あり

PB商品は、ブランドとしての宣伝はあっても、商品単体では宣伝費をかけないことがほとんどです。また商品開発もPB側が行い、さらにコスト調整がしやすくなっています。さまざまなコストカットによって、低価格を実現しているのがPB商品。安価の理由が分かれば、ぐっと安心感が増しますね。

値上げラッシュ時代の対処術4)家電製品は買い換えも検討して

当分、電気代が下がる見込みはないため、古い家電製品は、節電できる高性能なタイプに買い換えたほうがよいでしょう。家電は10年前に比べ現在の製品は、省エネ性能がグンとアップしています。

エアコン、冷蔵庫、照明など長時間使用するものや、消費電力量が比較的大きい家電を買い換えれば、大きな節電効果が期待できます。10年以上使っている家電は、ランニングコストを考えて買い換えも視野に入れみてください。

値上げラッシュ時代の対処術5)中古品もアリ。大切に長く使う

最近のトレンドでもありますが、「中古もアリ」だなと思います。洋服や雑貨以外にも住宅や車など、あらゆるモノが中古市場で出回っています。そのうえ、フリマアプリは基本的には消費税がかかりません。
個人間売買は当たりはずれもありますが、節約のために活用してみましょう。一式そろえると高額な学校の制服や体操着も、新品でなくてもよいと思います。

あとは、今あるものを大事にすることですね。家財道具を大胆に処分したり、ミニマリストを目指して、なんでも捨ててしまう風潮がありましたが、昔のもののほうが、やはり質がいい。同じ値段で買える10年前と今の服の生地を比べると、やはり質は下がっています。それが価格を上げない企業努力といえばそうですが、残念でもあります。

モノを捨てるということは、お金を捨てるということ!昔のものを修理、メンテナンスしながら大事に使えば、出費も減らせ、持続可能な社会を目指していく現代の風潮にも合っています。

値上げラッシュ時代を乗り切る心がまえとは?

ここまで丸山さんには、節約のポイントを解説してもらいました。
ただ「節約ってやっぱりテンションが上がらない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、節約時代をどう乗り切るか、その心がまえを教えてもらいましょう。

まずは、優先順位を考える

日々の買い物では「優先順位」をつけることが大事です。たとえば食品なら、1週間の予算を1万円決め、まず毎日の食事の材料を優先的に買います。残ったお金でお菓子やジュース、ビールなどを買います。いわゆる嗜好品は後回しにするのです。
また、家族で買い物に行くと、それぞれの嗜好品を買い求めたくなるデメリットが。できるだけひとりで買い物に行くようにしましょう。

家計が苦しくなると、自然と嗜好品の予算がなくなります。今回のような物価の値上げによって、「遊び」や「ゆとり」といった、心の余白が削られていくことにもなりかねません。だから次の「メリハリ」が大切なのです。

節約には「メリハリ」をつけよう

なんとなく週末に、家族そろって大型スーパーに出かけていませんか?
レジャー代わりにと毎週末、大型スーパーやアウトレットなどに出かけるだけで、不要なモノを買ってしまうこともしばしば。さらに、そこでランチでも食べれば、家族分の外食費だけでも相当なものです。

そんなふうに「なんとなく」ではなく、たとえば年に2回は遊園地で1日めいっぱい楽しむ、年に1回はゆっくり家族旅行をするというようにメリハリをつけた出費に切り替えましょう。「節約、節約」だけでは気分も滅入ってしまいますから、「遊ぶときは遊ぶ」ことも大切です。

「怖い、分からない、めんどくさい」に陥らない

「怖い、分からない、めんどくさい」を「ネガティブワード」とよく言っているんです。節約や家計を見直すときに、この3つを出してしまうと何もできなくなります。

たとえば、ふるさと納税寄付をすると、寄付金額の一部が所得税や住民税から控除され、返礼品をもらうことができます。そんなお得な制度なのに、「分からない、めんどくさそう」で、手を出せずにいる人も少なくありません。ぜひ新しい情報をどんどん吸収して、実践したいものです。1日でも早く行動を起こして、家計を守りましょう。

節約はランクアップのため

節約は、生活をランクダウンさせるのではなくて、ランクアップのための行動だという意識を持ってください。妥協できるものは下げ、妥協できないものはそのままでいいと声を大にして言いたいです。

全部やる必要はなくて、できそうなところからやる。とにかく何かアクションを起こさないと何も変わらないし、ぐずぐずしていると、出費は値上がり分増えていってしまう……お金はなくなる一方です。

夢や希望のために楽しんで節約をすること

我が家でも、日々節約生活をしています。輸入肉が値上がりしてしまい、牛肉なんて手が届かなくなり、豚のこま切れ肉を駆使しています(笑)。食用油も値上がりが続いているので、大量の油が必要な揚げ物は控えめに。その代わり、オーブンで焼き揚げや、フライパンに少量の油で揚げ焼きにするなど、なるべく油を使わない方法を考えています。

そんなふうに、節約方法を試しながら「楽しめる」ということがすごく大事なのです。楽しく知恵を絞って、どんどんチャレンジしましょう。幸いなことにやりくりに関しては、情報も選択肢もたくさんあります。

これまでも、消費税アップやレジ袋有料化などに直面するたびに、私たちは「えーっ!」と文句を言ってきました。でも、結局それを受け入れて、なんとかやりくりする柔軟性を私たちは持っています。

やりくりができることは、それだけで財産。危機感を感じたら、今すぐにでもできることをやる! それが、最大最善の自己防衛策です。
まずはメリハリをつけて、前向きになること。やらないで不安でいるより、家族旅行など小さな目標でもいいので、その夢をかなえるために、節約生活を楽しんでほしいと思います。

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