夜間・深夜の電力はなぜ値上がりしているの?
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震災後の電気料金の値上げで、深夜電力料金の値上げ率は家庭向け電気料金の平均値上げ率の2.5倍以上ととても大きくなっています。一体なぜなのでしょうか?
深夜電力の値上げ率は家庭向け電気料金平均値上げ率の2.5倍以上
震災後、各電力会社は電気料金の値上げをしてきました。2012年5月に電気料金を値上げした東京電力は、家庭向け電気料金全体の平均値上げ率が8.46%に対し、深夜電力料金の値上げ率は9円72銭から11円82銭へと、21.60%も値上がりしています。深夜電力の値上げ率はなぜこんなにも大きいのでしょうか?
そもそも深夜電力って何?
この表は、一日の中での日本全体の電力使用量の推移を表しています。日中に向けて電気使用量は大きくなり、夜に向けて少なくなっています。
表を見てもわかるように、日本全体の電気の使用量は日中多くなり、夜間は少なくなります。日本の電力会社の発電施設は、日中の電気使用量が一番多い時間帯(ピーク)に電力をきちんと供給できる規模に合わせて設備が設けられているため、日本全体の電気使用量が少なくなる夜間は発電所の能力に余剰が出ます。その余裕がある時間帯に作った電気を活用し、その分日中の電力消費を減らしてもらうことで一日の電力供給量をできるだけ一定にするために、深夜時間帯に限って電気を使う契約をした回線に対して、この時間の電気を安く供給しています。
このように、電気使用量が少ない深夜の時間帯に供給されている電力を安く利用することができる契約プランが、深夜電力です。
深夜電力と夜間電力は違う
深夜電力と混同されやすいのが夜間電力です。どちらも夜間に安い料金単価で電気を使うことができるものであるため混同されやすいのですが、深夜電力と夜間電力は以下のように違いがあります。
- 深夜電力って?
- 夜間に熱をためておく夜間蓄熱機器や、夜間に給湯する電気温水器を設置しているご家庭が、深夜時間帯に限って電気を使う契約をした回線(夜間蓄熱式機器や電気温水器の分)に対して、その時間の電気を安く使うことができるものです。
深夜電力プランの契約は、従量電灯プランなどのご家庭の日常で使う電気料金プランとは別口契約となります。
- 夜間電力って?
- 夜間電力というのは、時間帯別で電気料金単価が設定されている電気料金プランの、夜間時間の電気を安く使うことができるものです。そのようなプランでは1日を2つや3つの時間帯に分けてそれぞれの時間帯ごとに異なる料金単価が設定されており、日中の料金単価がやや割高に設定されている分、夜間時間の料金単価を割安に設定されています。
深夜電力プランの安い料金単価は契約した回線の夜間蓄熱式機器や電気温水器にしか適用されませんが、夜間電力の安い料金単価は夜間時間帯にご家庭で使う全ての電源からの電気に対して適用されます。
それでは、深夜電力と夜間電力が私たちの契約する電気料金プランにどのように適用されているのかを、以下の東京電力の家庭向けプラン一覧を例にご説明します。
- 従量電灯BC
- 適用なし
- 朝得プラン
- 夜間電力が適用される
- 夜得プラン
- 夜間電力が適用される
- 半日お得プラン
- 夜間電力が適用される
- 土日お得プラン
- 夜間電力が適用される
- ピークシフトプラン
- 夜間電力が適用される
- 電化上手
- 夜間電力が適用される
- おトクなナイト8
- 夜間電力が適用される
- おトクなナイト10
- 夜間電力が適用される
- 深夜電力A
(別口契約) - 深夜電力が適用される
- 深夜電力B
(別口契約) - 深夜電力が適用される
上記は東京電力のプラン例ですが、どの電力会社も、夜間電力が適用されるプランと深夜電力が適量されるプランが用意されています。
深夜電力はなぜ大きく値上がりしているの?
冒頭でお話しましたように、震災後の電気料金の値上げにより、深夜電力は家庭向けの平均値上げ率の2.5倍以上と大きく値上がりしています。その理由は、電力会社が電気料金の値上げ時に、公平性を確保するためとして全てのプランで設定されている1kWhあたりの電気料金単価の「値上げ額」を同程度に設定しているためです。
東京電力の値上げの際の、従量電灯プランと深夜電力プランの1kWhあたりの電気料金単価の「値上げ額」を見てみると以下のようになります。
- 従量電灯Bの1kWhあたりの料金単価値上げ幅
- 1円78銭(23円41銭→25円19銭)
- 深夜電力プラン夜間料金の1kWhあたりの料金単価値上げ幅
- 1円52銭(9円72銭→11円82銭)
このように深夜電力プランと他のプランの「値上げ額」には大きな差はありません。深夜電力プランの料金単価は、電気使用量が少ない深夜の時間帯に供給されている電力を安く提供していたため、1kWhあたりの電気料金単価がもともと安く設定されていました。そのため、深夜電力料金は一律同程度の「値上げ額」の影響が相対的に大きいため「値上げ割合」が高くなってしまっているということです。
同じ理由で、「夜間電力」も値上げ率が大きくなっています。
今後深夜電力料金は下がる可能性も
深夜電力の値上げ率が大きいため、深夜電力プランを利用していたご家庭の電気代が大きく上がってしまったということもあるでしょう。しかし、電力の供給状態の変化や、2016年の電力自由化で深夜電力料金や家庭向け電気料金は今よりも下がる可能性があります。
電力自由化について、以下の記事で詳しくご紹介しています。
「電力自由化」とは?そのメリットは?
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ご契約プランの見直しで今すぐに電気料金を安くできる場合もあります
現在深夜電力プランをご利用中の方も、夜間電力の適用される電気料金プランへとプラン変更をした場合、2口契約で基本料金が2口分かかっていたのが1口になり、さらに夜間時間の間は家庭で使う全ての電気に安い夜間電力単価が適用され、今よりも電気代を安くできる場合もあります。
ご家庭の生活スタイルは様々ですので、ご家庭の生活スタイルに一番見合った電気料金プランを選ぶことで、電気代は大きく節約していけます。