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2024年12月は電気代が値上げ!電気料金は今後どのくらい高騰する?

電力自由化ニュース

電気代の値上げ情報をまとめました。「今月の電気代は前月と比較して値上げ?値下げ?」「2024年、各電力会社が提供する電気料金プランはどのくらい値上げする?」「値上げの理由となっている容量市場・容量拠出金と託送料金って何?」と気になっている方は要チェック。電気代が値上げする原因や推移、高騰時の対策もあわせて解説します。

燃料費調整額の変動や、容量市場・容量拠出金、託送料金による影響など、電気代の値上げの原因は少々複雑です。

そこで電気代が値上げされている原因から、具体的にどのくらい高騰しているかわかりやすく解説します。毎月の電力会社からの請求金額を見て、今後の推移が気になる方は、ぜひチェックしてくださいね。

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2024年、電気代が値上がりするタイミング

  1. 5月検針(4月使用分)=託送料金・容量拠出金による値上げ
  2. 5月検針(4月使用分)=再生可能エネルギー発電促進賦課金による値上げ
  3. 7月検針(6月使用分)=政府による補助「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が終了
  4. 12月検針(11月使用分)=政府による補助「酷暑乗り切り緊急支援」の終了
更新日
2024年10月31日

値上げ?値下げ?2024年12月は10社が電気代を値上げ!

電気料金の設定金額は、電力会社によって違います。本章では、旧一般電気事業者のなかで、どの会社が値上げをするのか最新情報を紹介。
旧一般電気事業者とは北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)、中部電力ミライズ、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力を指します。

燃料費調整額が原因で10社が値上げ

一般的な電気料金は、次のように計算されて請求されます。

上記の計算式のうち「燃料費調整額」は、発電に必要なLNG(液化天然ガス)や原油などの燃料の価格変動を電力量料金に反映する項目。毎月変動するため、この項目が高くなれば、請求される電気代も高くなります。

2024年12月検針(11月使用分)の電気代は、政府による補助「酷暑乗り切り緊急支援」が終了する影響で、北海道電力・東北電力・東京電力EP・中部電力ミライズ・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の10社が、前月と比較して電気料金が値上げされています。

次の表は、月の使用電力量が260kWhの場合で、各社の電気料金を試算し、前月と比べていくら値上げ・値下げしているかまとめたものです。

【最新】各電力会社の電気代の値上げ状況

電力会社2024年12月検針(11月使用分)2024年11月検針(10月使用分)前月比
北海道電力10671円10091円580円値上げ
東北電力8782円8187円595円値上げ
東京電力EP8868円8260円608円値上げ
中部電力ミライズ8682円8086円596円値上げ
北陸電力8648円8050円598円値上げ
関西電力7719円7069円650円値上げ
中国電力8431円7846円585円値上げ
四国電力8598円8000円598円値上げ
九州電力7902円7255円647円値上げ
沖縄電力9568円9016円552円値上げ

北海道電力・東北電力・東京電力EP・中部電力ミライズ・北陸電力・九州電力は「従量電灯B」(30A)、関西電力・中国電力・四国電力は「従量電灯A」、沖縄電力は「従量電灯」を契約していて、月の使用電力量を260kWhと仮定して試算。燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金、2024年11月検針は酷暑乗り切り緊急支援の補助金(1kWhあたり-2.5円)を含む。

なお、各社の燃料費調整単価は次のとおりです。

旧一般電気事業者燃料費調整単価
2024年12月検針(11月使用分)2024年11月検針(10月使用分)2024年10月検針(9月使用分)2024年9月検針(8月使用分)2024年8月検針(7月使用分)2024年7月検針(6月使用分)2024年6月検針(5月使用分)2024年5月検針(4月使用分)2024年4月検針(3月使用分)2024年3月検針(2月使用分)2024年2月検針(1月使用分)2024年1月検針(2023年12月使用分)2023年12月検針(11月使用分)2023年11月検針(10月使用分)2023年10月検針(9月使用分)2023年9月検針(8月使用分)2023年8月検針(7月使用分)2023年7月検針(6月使用分)2023年6月検針(5月使用分)2023年5月検針(4月使用分)2023年4月検針(3月使用分)2023年3月検針(2月使用分)2023年2月検針(1月使用分)2023年1月検針(2022年12月使用分)2022年12月検針(11月使用分)2022年11月検針(10月使用分)2022年10月検針(9月使用分)2022年9月検針(8月使用分)2022年8月検針(7月使用分)2022年7月検針(6月使用分)2022年6月検針(5月使用分)2022年5月検針(4月使用分)2022年4月検針(3月使用分)2022年3月検針(2月使用分)2022年2月検針(1月使用分)2022年1月検針(2021年12月使用分)2021年12月検針(11月使用分)2021年11月検針(10月使用分)
北海道電力▲5円83銭▲8円06銭▲9円47銭▲9円60銭▲5円69銭▲5円69銭▲7円47銭▲9円02銭▲8円85銭▲8円56銭▲8円59銭▲8円76銭▲8円86銭▲8円65銭▲8円32銭▲11円25銭▲10円33銭▲9円41銭▲8円64銭▲3円34銭▲3円34銭▲3円34銭▲3円34銭3円66銭3円66銭3円66銭3円66銭3円66銭3円66銭3円23銭1円93銭1円56銭1円40銭1円16銭0円63銭0円06銭▲0円28銭▲0円59銭
東北電力▲7円23銭▲9円52銭▲11円00銭▲11円14銭▲7円13銭▲6円95銭▲8円56銭▲10円10銭▲10円10銭▲9円99銭▲10円17銭▲10円24銭▲10円24銭▲9円97銭▲9円62銭▲12円47銭▲11円32銭▲10円01銭▲8円87銭▲3円53銭▲3円53銭▲3円53銭▲3円53銭3円47銭3円47銭3円47銭3円47銭3円47銭3円47銭3円47銭3円47銭3円36銭3円05銭2円67銭1円83銭0円82銭0円31銭▲0円11銭
東京電力EP▲6円33銭▲8円67銭▲10円19銭▲10円37銭▲6円31銭▲6円09銭▲7円60銭▲9円14銭▲9円21銭▲9円28銭▲9円56銭▲9円65銭▲9円67銭▲9円47銭▲9円23銭▲12円22銭▲11円21銭▲9円95銭▲8円87銭▲1円87銭▲1円87銭▲1円87銭▲1円87銭5円13銭5円13銭5円13銭5円13銭5円13銭5円10銭4円15銭2円97銭2円74銭2円27銭1円83銭0円74銭▲0円53銭▲1円09銭▲1円53銭
中部電力ミライズ2円59銭0円30銭▲1円25銭▲1円55銭2円54銭2円84銭1円51銭0円04銭▲0円10銭▲0円31銭▲0円82銭▲1円01銭▲1円10銭▲0円96銭▲0円73銭▲3円74銭▲2円57銭▲1円64銭▲1円64銭▲1円64銭▲1円64銭▲1円64銭▲1円64銭5円36銭5円36銭5円36銭5円36銭5円06銭3円66銭2円77銭1円77銭1円61銭1円17銭0円68銭▲0円44銭▲1円79銭▲2円38銭▲2円87銭
北陸電力▲6円67銭▲8円97銭▲10円42銭▲10円47銭▲6円50銭▲6円42銭▲8円17銭▲9円77銭▲9円67銭▲9円42銭▲9円37銭▲9円39銭▲9円36銭▲9円01銭▲8円63銭▲11円42銭▲10円38銭▲9円34銭▲8円53銭▲5円23銭▲5円23銭▲5円23銭▲5円23銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円77銭1円47銭1円14銭0円87銭
関西電力~15kWh33円66銭▲3円84銭▲26円34銭▲26円34銭33円66銭33円66銭6円66銭▲18円84銭▲18円84銭▲18円84銭▲18円84銭▲18円84銭▲18円84銭▲18円84銭▲18円84銭▲71円34銭▲71円34銭▲71円34銭▲71円34銭▲71円34銭▲71円34銭▲71円34銭▲71円34銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭33円66銭30円44銭18円07銭11円88銭6円68銭
16kWh~2円24銭▲0円26銭▲1円76銭▲1円76銭2円24銭2円24銭0円44銭▲1円26銭▲1円26銭▲1円26銭▲1円26銭▲1円26銭▲1円26銭▲1円26銭▲1円26銭▲4円76銭▲4円76銭▲4円76銭▲4円76銭▲4円76銭▲4円76銭▲4円76銭▲4円76銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円24銭2円03銭1円20銭0円79銭0円45銭
中国電力~15kWh▲126円71銭▲160円65銭▲182円16銭▲183円16銭▲123円85銭▲121円99銭▲148円05銭▲171円29銭▲169円64銭▲165円13銭▲164円83銭▲165円56銭▲165円00銭▲158円67銭▲151円35銭▲190円81銭▲171円06銭▲150円69銭▲134円73銭▲57円16銭▲57円16銭▲57円16銭▲57円16銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭47円84銭37円90銭23円92銭15円82銭8円83銭
16kWh~▲8円44銭▲10円69銭▲12円13銭▲12円19銭▲8円25銭▲8円12銭▲9円86銭▲11円41銭▲11円30銭▲10円99銭▲10円97銭▲11円03銭▲10円98銭▲10円57銭▲10円08銭▲12円71銭▲11円40銭▲10円04銭▲8円98銭▲3円81銭▲3円81銭▲3円81銭▲3円81銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭3円19銭2円52銭1円59銭1円05銭0円59銭
四国電力~11kWh▲64円88銭▲90円18銭▲106円00銭▲106円68銭▲63円36銭▲62円68銭▲82円14銭▲99円65銭▲98円30銭▲95円76銭▲95円59銭▲96円10銭▲96円10銭▲93円05銭▲89円32銭▲121円04銭▲110円88銭▲100円72銭▲92円75銭▲49円00銭▲49円00銭▲49円00銭▲49円00銭28円00銭28円00銭28円00銭28円00銭28円00銭28円00銭28円00銭28円00銭28円00銭28円00銭25円85銭20円03銭12円71銭8円40銭4円52銭
12kWh~▲5円90銭▲8円20銭▲9円64銭▲9円70銭▲5円76銭▲5円70銭▲7円47銭▲9円06銭▲8円94銭▲8円71銭▲8円69銭▲8円74銭▲8円74銭▲8円46銭▲8円12銭▲11円00銭▲10円08銭▲9円16銭▲8円43銭▲4円45銭▲4円45銭▲4円45銭▲4円45銭2円55銭2円55銭2円55銭2円55銭2円55銭2円55銭2円55銭2円55銭2円55銭2円55銭2円35銭1円82銭1円16銭0円76銭0円41銭
九州電力1円87銭▲0円62銭▲2円12銭▲2円12銭1円87銭1円86銭0円06銭▲1円64銭▲1円63銭▲1円62銭▲1円62銭▲1円64銭▲1円65銭▲1円66銭▲1円66銭▲5円16銭▲5円16銭▲5円16銭▲5円16銭▲5円15銭▲5円06銭▲5円06銭▲5円06銭1円94銭1円94銭1円94銭1円94銭1円94銭1円94銭1円92銭1円85銭1円72銭1円57銭1円34銭0円89銭0円33銭0円01銭▲0円28銭
沖縄電力~10kWh▲107円86銭▲129円16銭▲143円19銭▲144円91銭▲105円65銭▲104円21銭▲127円94銭▲150円48銭▲148円76銭▲145円57銭▲146円38銭▲148円10銭▲148円53銭▲143円98銭▲138円25銭▲175円57銭▲158円65銭▲140円37銭▲95円64銭▲30円22銭▲30円22銭▲30円22銭▲30円22銭39円78銭39円78銭39円78銭39円78銭39円78銭39円78銭39円78銭39円78銭39円78銭39円78銭37円25銭29円04銭19円57銭13円26銭7円89銭
11kWh~▲10円80銭▲12円92銭▲14円33銭▲14円50銭▲10円58銭▲10円43銭▲12円80銭▲15円05銭▲14円88銭▲14円57銭▲14円65銭▲14円82銭▲14円86銭▲14円40銭▲13円82銭▲17円56銭▲15円87銭▲14円04銭▲9円57銭▲3円02銭▲3円02銭▲3円02銭▲3円02銭3円98銭3円98銭3円98銭3円98銭3円98銭3円98銭3円98銭3円98銭3円98銭3円98銭3円73銭2円91銭1円96銭1円33銭0円79銭

北海道電力・東北電力・東京電力EP・中部電力ミライズ・北陸電力・九州電力は「従量電灯B」、関西電力・中国電力・四国電力は「従量電灯A」、沖縄電力は「従量電灯」の燃料費調整額です。関西電力・中国電力は15kWhまで、四国電力は11kWhまで、沖縄電力は10kWhまでの最低料金に対し1契約につき燃料費調整単価が設定されています。上記表内の2023年6月検針(5月使用分)の燃料費調整単価は、6月1日以降使用分のものです。5月31日までの使用分は、北海道電力は-3円34銭/kWh、東北電力は-3円53銭/kWh、東京電力EPは-1円87銭/kWh、北陸電力は-5円23銭円/kWh、中国電力は15kWhまでが-57円16銭/kWh、16kWh以上が-3円81銭/kWh、四国電力は11kWhまでが-49円00銭/kWh、12kWh以上が-4円45銭/kWh、沖縄電力は10kWhまでが-30円22銭/kWh、11kWh以上が-3円02銭/kWhで計算されます。中部電力ミライズ、関西電力、九州電力は上記表内の単価で変更ありません。

出典:北海道電力東北電力東京電力EP中部電力ミライズ北陸電力関西電力中国電力四国電力九州電力沖縄電力

ちなみに「なぜLNGなどが電気料金と関係しているの?」と疑問に思う方も少なくないでしょうが、日本国内の電気の”発電事情”が深く関係しています。

日本の電気事業者が発電している電気の多くは石炭や液化天然ガス(LNG)などを燃料とした火力発電からのもの。全体の発電電力量に対して、石炭は29.7%、液化天然ガスは37.6%も占めていて、石炭と液化天然ガスに依存していることがわかるでしょう。さらに、ほとんどの燃料を海外からの輸入に頼っているため、石炭や液化天然ガスが高騰すると、電気料金も比例して値上がりしてしまうというわけです。

出典:電力調査統計 結果概要【2021年12月分】|経済産業省資源エネルギー庁

なぜ関西電力と九州電力は電気代が安い?

先の、各電力会社の電気代の値上げ状況をまとめた表を見て、「関西電力と九州電力だけ電気代が安いのはなぜ?」と疑問に持った方も多いのでは。その理由は、電源構成にあります。関西電力・九州電力と東京電力の電源構成を比較してみると、2社は原子力発電の比率が多いことがわかります。


出典:電源構成・非化石証書の使用状況|東京電力エナジーパートナー電源構成およびCO2排出係数|電気|関西電力当社の電源構成・非化石証書使用状況・CO2排出係数[小売供給分]|九州電力

原子力発電の比率を上げ、発電コストの高い火力発電を抑えることで、他エリアの電力会社よりも安い電気料金になっているのです。ちなみに、2023年6月に複数の旧一般電気事業者が電気料金の値上げを行いましたが、関西電力と九州電力は実施しませんでした。

東京電力EP「スタンダードS」の電気代の推移

一例として、東京電力EPの電気料金プラン「スタンダードS」の電気代の推移をグラフにしました。

2023年~2024年の推移について。2023年2月検針(1月使用分)から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が適用されて電気料金が下がっており、同年10月検針(9月使用分)から補助金が半減、2024年6月検針(5月使用分)からさらに半減され、2024年7月検針(6月使用分)にて対策事業が終了。2024年9月検針(8月使用分)からは-4円/kWhの酷暑乗り切り緊急支援が適用されていましたが、2024年11月検針(10月使用分)は-2円50銭/kWhに減額、2024年12月検針(11月検針分)に終了しました。再生可能エネルギー発電促進賦課金は、2023年度分は前年よりも2円5銭/kWh値下げされましたが、2024年度は2円9銭値上げとなり、5月検針(4月使用分)から適用されています。また、東京電力EPの「スタンダードS」は、2023年7月1日からの料金改定に伴い、基本料金と電力量料金単価が値上げ。2024年5月検針(4月使用分)から託送料金に関する料金改定を実施。

東京電力EPの電気料金プラン「スタンダードS」を30Aで契約していて、毎月の使用量が260kWhの場合の電気料金の推移です。

2024年12月検針(11月使用分)の電気代を前月と比較すると、608円値上がりしています。

2024年12月検針(11月使用分)の電気料金
8,868円
2024年11月検針(10月使用分)の電気料金
8,260円

上記電気料金は、基本料金+電力量料金+燃料費調整額(酷暑乗り切り緊急支援を含む)+再生可能エネルギー発電促進賦課金で算出しています。銭単位は切り捨てています。

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2024年は5・7・12月に電気代が値上げ!

2024年も電気代は値上げ傾向にあります。

詳しくは後述しますが、5月検針(4月使用分)から一部の電力会社において、託送料金・容量拠出金による料金改定が実施されました。託送料金に関する料金改定の影響額は電力会社によって異なり、数十円単位で値上げされるところもあれば、逆に値下げをする会社も。一方、容量拠出金による料金改定については、内容が少々複雑です。基本料金・電力量料金などは据え置きのため、一見値上げしていないように見えますが、容量拠出金に関する項目が加算されて電気料金が算出されるようになります。影響額については会社によって大きく異なりますが、数百円単位で値上げするところも見受けられます。

全世帯の電気代に影響が及ぶのは「5月」と「7月」と「12月」の請求のタイミング。

5月検針(4月使用分)のタイミングは、電気料金に含まれている再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価が、1円40銭/kWhから3円49銭/kWhに値上げされることが理由。2円9銭の値上げとなり、月260kWh使用した場合は543円も高くなる計算になります。

7月検針(6月使用分)のタイミングは、2023年1月から政府が実施していた電気代・ガス代の負担軽減策「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の補助額がなくなるためです。月の使用電力量が260kWhだと、5月検針(4月使用分)までは910円、6月検針(5月使用分)までは468円補助されていたので、その分電気代が高くなることに……。

12月検針(11月使用分)のタイミングは、3カ月続いた「酷暑乗り切り緊急支援」の補助が終了予定のためです。月の使用電力量が260kWhの場合、10月検針(9月使用分)までは1,040円、11月検針(10月使用分)までは650円補助されていたので、その分電気代が高くなります

2024年の電気代が値上げする理由について、それぞれ詳しく解説していきしょう。

【2024年】電気代が値上がりする理由

値上げの理由1)酷暑乗り切り緊急支援の補助が2024年11月まで

政府は、夏季の冷房需要が高くなる時期に「酷暑乗り切り緊急支援」を9月検針(8月使用分)から11月検針(10月使用分)まで実施。12月検針(11月使用分)以降は継続するか未定のため、終了した場合は電気代が値上がりします。

例えば、一般家庭で月260kWhの電気を利用した場合、2024年9月検針(8月使用分)~10月検針(9月使用分)は月1,040円、11月検針(10月使用分)は月650円が補助されている計算です。

1kWh単位で補助額が決まっていたため、月の使用電力量が多い家庭ほど、負担も増えると言えるでしょう。

値上げの理由2)電気・ガス価格激変緩和対策事業の補助が2024年6月まで

2023年2月検針(1月使用分)から、政府は電気代・ガス代高騰対策として「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を実施してきましたが、2024年6月検針(5月使用分)までです。実際に請求が発生する2024年7月検針(6月使用分)から、なくなった補助額の分だけ電気料金が高くなってしまいます。「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は次のように1kWh単位で補助額が決まっていたため、月の使用電力量が多いご家庭ほど、負担も増えると言えるでしょう。

項目対象2023年2月検針(1月使用分)〜9月検針(8月使用分)の補助金額2023年10月検針(9月使用分)〜2024年5月検針(4月使用分)の補助金額2024年6月検針(5月使用分)の補助金額
電気代低圧契約の一般家庭・企業など7円/1kWh3.5円/1kWh1.8円/1kWh
高圧契約の企業など3.5円/1kWh1.8円/1kWh0.9円/1kWh
ガス代一般家庭30円/1㎥15円/1㎥7.5円/1㎥
企業30円/1㎥15円/1㎥7.5円/1㎥

 

例えば、毎月の使用電力量が260kWhのご家庭の場合、以下の金額分の補助が受けられていたので、なくなれば少なくない負担が増えると言えるでしょう。

一般家庭で月260kWhの電気を利用した場合
2023年10月検針(9月使用分)~2024年5月検針(4月使用分)
910円の補助
2024年6月検針(5月使用分)
468円の補助

値上げの理由3)再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、太陽光発電・風力発電・地熱発電・水力発電などの再生可能エネルギー発電を普及・拡大させることを目的に、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際の費用を消費者が負担するもの。

年度ごとに経済産業省が算定を行っていて、毎年5月に料金が改定されています。2024年度は3円49銭/kWhに決定し、2023年度と比較すると2円9銭/kWhも値上げします。

出典:再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価を設定します
|経済産業省

「2023年5月検針(4月使用分)~2024年4月検針(3月使用分)」と「2024年5月検針(4月使用分)~2025年4月検針(3月使用分)」の再生可能エネルギー発電促進賦課金の差額を見ていきましょう。

2024年5月検針(4月使用分)~2025年4月検針(3月使用分)
3.49(円)×260(kWh)×12(月)=10,888円
2023年5月検針(4月使用分)~2024年4月検針(3月使用分)
1.40(円)×260(kWh)×12(月)=4,368円

再生可能エネルギー発電促進賦課金は、銭単位が切り捨てられます。

毎月260kWh使用すると、年間6,520円の値上げとなるため、家計への影響も小さくないと言えます。

値上げの理由4)託送料金

そもそも託送料金とは、小売電気事業者が送配電事業者※に支払うことを法令で義務づけられている「送配電網の使用料」を指します。

送配電事業者とは、北海道電力ネットワーク、東北電力ネットワーク、東京電力パワーグリッド、中部電力パワーグリッド、北陸電力送配電、関西電力送配電、中国電力ネットワーク、四国電力送配電、九州電力送配電、沖縄電力を指します。

2024年5月検針(4月使用分)から、発電事業者も託送料金の支払い義務が発生した影響で、小売電気事業者が負担する発電費用が増加したため、電気料金に転嫁されます。これは、再生可能エネルギー電源の増加などの影響で、送配電施設の維持と拡充の費用負担も増えるため、小売電気事業者と消費者だけでなく、発電事業者も公平的に負担することが目的となっています。

託送料金はエリアによって違うため、値上げする電力会社もあれば、値下げする電力会社もあります。
旧一般電気事業者の電気料金への影響金額は次のとおりです。


北海道電力・東北電力・東京電力EP・中部電力ミライズ・北陸電力・九州電力は「従量電灯B」(30A)、関西電力・中国電力・四国電力は「従量電灯A」、沖縄電力は「従量電灯」を契約していて、月の使用電力量が260kWhの場合の影響金額です。

上の影響額は、各社の「従量電灯」「従量電灯A」「従量電灯B」で試算したもの。プランによって基本料金(または最低料金)・電力量料金単価の改定額が異なるので、影響額も変わってきます。

値上げの理由5)容量市場と容量拠出金

容量市場は、「今、発電された電力量(kWh)」を取引する卸電力市場と違い、「将来にわたって見込める供給力(kW)」を確保するための市場です。なぜ「将来にわたって見込める供給力」を取引するのでしょう。それは太陽光や風力などの再生可能エネルギーが大きく関係しています。

現在、国をあげて再生可能エネルギーを利用した発電の比率を増やすことが叫ばれています。しかし、再生可能エネルギーによる発電は季節や天候の影響を受けやすく、非常に不安定です。そのため、再生可能エネルギーの発電力が不足した場合、主に火力発電で補っています。

しかし火力発電は、発電設備を維持するための投資が必須。にも関わらず、「実際に発電された電力」しか売ることができないと、発電事業者は将来の資金回収のめどが立てにくく、設備投資はなかなか進みません。

こうした電力をとりまく問題を打開し、安定した電力の供給力を確保することを目的として、電力広域的運営推進機関によって2020年に設立されたのが、容量市場です。「将来にわたって見込める電力」を先に取引できれば、発電事業者は将来的な収入の見込みが立てられ、円滑な設備投資・維持が可能になり、電力の安定供給につながるのです。安定供給が実現すれば、電気料金の高騰も少なくなるなど、消費者のメリットにもつながると考えられます。

容量市場のオークションで決定されるのは、4年後の電力供給力とそれに対する約定価格。落札された発電事業者は4年後の供給力確保を約束し、その対価を市場管理者である電力広域的運営推進機関が支払います。電力広域的運営推進機関は、発電事業者に支払うお金を「容量拠出金」という名目で、支払い義務がある小売電気事業者や一般送配電事業者などに請求します。

容量市場の取引は2020年度に始まったので、容量拠出金が初めて発生するのは2024年5月検針(4月使用分)からです。すでに一部の電力会社ではこの負担を電気料金に転嫁することを決定しています。電気料金に転嫁するか否かは電力会社によって異なるので、料金改定がないか各社からのお知らせをマメにチェックするとよいでしょう。

市場価格の影響で電気代が値上げしているケースも……

一部の電力会社では、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に連動している電気料金プランを提供しています。市場価格が下がれば電気代も安くなるのですが、逆に上がってしまうと高くなります。

特に冬季は電力需要が増えるので、市場価格が上がる傾向にあるので、市場価格の影響を受けるプランを契約している方は、電気料金の内訳をマイページなどで確認しましょう。

電気代の値上げ対策

電気料金が値上げした際の対策をご紹介します。電気料金の値上げへの対策は、主に次の4つです。それぞれ詳しく解説しましょう。

  • 電力会社・電気料金プランの見直し
  • 節電に取り組む
  • 省エネ性能が優れている家電に買い替える
  • 太陽光発電設備の設置

電気代の値上げ対策1)電力会社・電気料金プランの見直し

電力会社・電気料金プランを切り替えるのも対策の一つです。各社、さまざまな料金設定のプランを提供していて、生活スタイルにぴったりのものに切り替えれば、電気代を節約できますよ。複数社を比較する際は、次の点を確認しましょう。

料金設定
各社の電気料金プランは、基本料金(最低料金)と電力量料金の単価設定が異なります。なかには、使用量が少ない方向けや、使用量が多い方向けの料金設定をしているプランも。
電気料金の算出方法
旧一般電気事業者と同様の燃料費調整額を含めた算定方法が一般的ですが、一部電力会社では独自の調達費用を導入していることもあります。算定方法は、電気代にも大きく影響する点なので、必ず確認してください。
特典内容
ポイント還元やガスとのセット割など、お得な特典付きの電気料金プランもあります。料金単価に加えて、特典も考慮して比較しましょう。
キャンペーン
電力会社によっては、キャッシュバックやギフト券といった新規申し込み特典を用意しています。特典が適用されると、契約切り替え初年度の電気代の節約につながりますよ。

複数社の特徴や料金設定を比較し、最適な電気料金プランを見つけるのは手間と時間がかかります。電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」では、郵便番号などを入力するだけで、節約につながる電力会社を見つけられます。そのまま申し込みもできるので、ぜひご活用ください。

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電気代の値上げ対策2)節電に取り組む

節電に取り組むのも、値上げ対策に効果的です。エアコン、冷蔵庫など消費電力の多い家電の使い方から見直すのがおすすめ。例えば、次の手軽な節電方法から取り組んでみてはいかがでしょう。

  • エアコンの設定温度を調整する
  • 冷蔵庫内に食品を詰め込みすぎない
  • テレビの明るさを調整する
  • 照明の点灯時間を1日1時間短くする

電気代の値上げ対策3)省エネ性能が優れている家電に買い替える

10年以上使用している家電製品をお持ちの場合は、買い替えを検討するのもおすすめ。経済産業省エネルギー庁の調べによると、2019年型のエアコンと2009年型の年間消費電力量を比較すると、約17%の省エネにつながるとのことです。購入費用はかかりますが、長期的に見れば電気料金の値上げ対策につながるでしょう。

買い替えの際は、省エネラベルをチェックすると◎ 省エネ性能を1.0~5.0で評価しているのに加え、年間の電気料金の目安がわかりますよ。

出典:機器の買換で省エネ節約|家庭向け省エネ関連情報|省エネポータルサイト

電気代の値上げ対策4)太陽光発電設備の設置

今後、電気料金の高騰が続くことを見越して、自宅に太陽光発電設備を設置するのも一案。発電によって、電気の購入量が減った分だけ節約につながるのに加え、余った電気は電力会社に売ることもできます。

ただし太陽光発電設備の導入には少なくない費用がかかるため、どの程度の効果が得られるかしっかりシミュレーションをしましょう。

電気料金をマメにチェックするのも大事!

電気料金が高くなった際、すぐ察知できるように、日頃から料金の推移をチェックするのも大事です。電気料金は、電力会社が提供している契約者向けのマイページなどで確認できますよ。

電気料金の把握におすすめなのが、国内最大級の電気・ガス比較サイトが提供する「エネチェンジ・マイエネルギー」。会員登録した人の電力データをベースに、電気の利用状況を確認できたり、使用量の変化をアラートしてくれたり、節電に役立つ情報を提供してくれます。

さらに電力データから、最適な電気料金プランを自動でシミュレーションし、そのまま簡単に切り替えてくれる機能も。無料で利用できるので、ぜひご活用ください。

【2022~2023年】年代別に見る電気代の値上げの原因・影響

本章では、過去に起きた電気代の値上げの原因と影響についてまとめています。

【2023年】各電力会社が電気料金を値上げ

ロシアのウクライナ侵攻、円安の影響は2023年もつづきました。燃料の調達コストが膨らみ、多くの電力会社は価格転嫁できずに採算が悪化しつづけ、なかには事業撤退をする新電力も……。経営難で安定した電力供給が困難になる事態を避けるため、各電力会社は苦肉の策として電気料金の値上げを実施しました。

旧一般電気事業者が規制料金・自由料金の電気料金を値上げ

2023年6月1日から、北海道電力、東北電力、東京電力EP、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力が、「従量電灯」などの規制料金の値上げを実施しました。中部電力、関西電力、九州電力は規制料金の値上げを実施しませんでした。

旧一般電気事業者の規制料金の値上げ幅一覧
電力会社規制料金の値上げ幅値上げ実施日
北海道電力平均23.22%2023年6月1日
東北電力 平均25.47%2023年6月1日
東京電力EP 平均15.90%2023年6月1日
北陸電力 平均39.70%2023年6月1日
中国電力 平均26.11%2023年6月1日
四国電力 平均28.74% 2023年6月1日
沖縄電力 平均33.30%2023年6月1日

また、電力自由化以降に提供開始した電気料金プランも値上げされました。

新電力が値上げ・料金に関する改定

一部の新電力では、料金改定だけでなく、ポイント還元率を下げるなど特典内容を調整する会社も見受けられました。また、燃料の調達コストを価格転嫁できるように、独自の調達費用を導入する会社も多かったです。

一部の電力会社の値上げ・料金に関する改定情報を記事にして紹介しています。すべての電力会社の値上げ・料金に関する改定情報を網羅しているわけではありません。

【2022年】海外情勢による燃料費高騰で電気代が値上げ

2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻が開始。欧米諸国がロシアに対し経済制裁を行った影響で、ロシアからの天然ガスなどの輸入が制限され、燃料費が高騰してしまいました。日本の電源構成は火力発電の比率が高く、加えて発電に必要な燃料のほとんどを海外に依存しているため、燃料の調達コストを転嫁する燃料費調整額が上がり、結果として電気代が高くなってしまったのです。

また、ウクライナ侵攻だけでなく、同年に進んだ円安の影響も少なくありません。

東京電力EPの燃料費調整額は、2022年1月検針(2021年12月使用分)の時点で「-0円53銭」だったものが、同年12月検針(11月検針分)の際には「5円13銭」となり、5円66銭も値上げしました。月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、使用量が変わらなくとも電気代が1,471円も高くなっている計算になります。

「電気代がおかしい!」と思ったら値上げ対策をしましょう

電気料金が値上げしたり、値下がりしたり、変動するのは、さまざまな原因があることがわかりましたね。「電気料金がおかしい!」と思ったら、調べることを習慣化しましょう

国内最大級の電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」では、節約につながる電力会社が見つけられて、そのまま申し込みもできます。今後の電気料金値上げ対策にぜひご活用ください。

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