電力自由化に欠かせないスマートメーター。近づく各家庭への配備
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2015年度が始まり、電力小売りの全面自由化まで1年を切りました。15年度は、電力会社が一般家庭などの小口需要家と電力会社が双方向で情報をやり取りする新電力計「スマートメーター」の導入が加速する1年になりそうです。
今回は電力自由化に欠かせないスマートメーターをめぐる現状を点検します。
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電力事業者によって各家庭に設置されるスマートメーター
スマートメーターは読んで字のごとく「賢い電力計」であり、従来のアナログの電力メーターとは異なり多くの機能を有しています。電気の使用量を常時把握するとともに使用量を30分ごとに自動で計測し、通信機能を使って電力会社に自動で送ります。需要家サイドで節電の工夫ができるようになるほか、猛暑時など夏のピーク時に不要不急の電力消費を抑えてもらいた時などには、供給者側で細かく時間帯別の料金を設定することで需要の急増に対応することなどが可能になります。
東京電力は2020年に営業エリアに配備へ
スマートメーターは、国の政策として、全国の10電力が責任を持って設置することになっています。
東京電力では2014年4月から技術的な検証を目的に東京都小平市で約1000台のスマートメーターの設置を始め、14年7月からは都内、14年10月からはサービスエリア(供給地域)全域での設置を始めました。現在は基本的にアナログの電力メーターの検定有効期間(10年)満了に伴うメーター取り換えにあわせて交換を実施しており、20年までに供給地域の全域に設置する方向です。国内全体では、15年度中に普及台数が1000万台を突破する見通しです。
スマートメーター設置の電力会社にとってのメリット
電力会社は、利用者が希望すれば速やかに切り替えを行う方針です。家庭や商店など小口向けの導入台数は約7800万台になるとみられます。電力会社にとっては、検針員が訪問せずにすむなど、業務の効率化とコスト削減につながるメリットがあるのです。
東電以外の電力各社は、中部電力と関西電力が22年度末の導入完了を予定しているほか、沖縄電力を除く他の6電力は23年度末、沖縄電力は24年度としています。スマートメーターの普及で家庭の省エネ意識が高まることや関連産業の活性化、社会インフラの構築が進むことなどもあわせて期待されています。
電力会社乗り換え(スイッチング)にもスマートメーターは不可欠
2016年4月から電力小売りの全面自由化によって解禁される、「電力会社の乗り換え(スイッチング)」にあたってはスマートメーターが必須になります。
新電力会社は、日本全国に検針員がいるわけではないので、遠隔で料金を確認するためにはスマートメーターが必要だからです。
スマートメーターの工事はすみやかに行われる
このときにスマートメーターが家に既に設置されていればいいですが、ない場合はどうなるでしょうか。結論は、需要家から申し込みがあったら、取り替え工事にはすぐに対応しないといけないということです。
既存の電力会社から新規参入の電力事業者にのりかえる場合、契約が成立した日(マッチング完了日)から起算して8営業日に2暦日を加えた日(標準処理期間満了日)以降の最初の定例検針日を原則、スイッチングの日とする方向で調整されています。電力会社の送電部門は、この標準処理期間満了日までにスマートメーターの設置工事を終えなければならないのです。
一方、すでにスマートメーターが設置されていて取り替え工事が不要な場合でも、スイッチングが可能な日は、契約成立日(マッチング完了日)から起算して1営業日に2暦日を加えた日(標準処理期間満了日)以降の日とする方向で調整されています。
ただ、電力会社からは「やってみないとわからないが、取り替え工事の依頼が殺到した場合、いま想定されている「標準処理期間」で果たして対応できるのかどうか不安だ、との声も出ています。
まとめ
電力自由化の効果を最大限発揮するために、スマートメーターの活用は不可欠です。安価でかつ高性能な機器が機能を発揮することが期待されますが、東京電力と関西電力でスマートメーターの仕様が統一されていないなど、気になる点もあります。こうした点を克服して電力自由化がその目的を十分に達成できるか。消費者の側もしっかり注目してゆく必要があるといえます。