「ENEOSでんき」の名称で家庭への電力販売に乗り出すJX日鉱日石エネルギー
この記事の目次
JX日鉱日石エネルギーは、2016年4月の電力小売り全面自由化時に「ENEOSでんき」の名称で家庭向けの電力販売を開始することを発表、同時に「ENEOSでんき」特設ホームページを公開しました。
企業・工場など業務むけの新電力として実績を積んだJX日鉱日石エネルギー
「ENEOS」のブランドで知られる石油元売最大手のJX日鉱日石エネルギーは、企業・工場など業務むけの新電力事業者として10年以上の実績を持っています。2014年度の販売実績は新電力事業者中4番手と、新電力の中でも存在感を示している企業です。
今回「ENEOSでんき」のブランドを作り、2016年の4月から家庭向け(低圧)の電力販売を開始することを正式に発表しました。
企業・工場など法人向け高圧電力が契約できる新電力会社について、さらに詳しくは以下の記事で説明しています。
JX日鉱日石の会社としての特徴
JX日鉱日石エネルギーの電力販売サービスは、どんなものになるのでしょうか。まずは会社の特徴から見てみましょう。
燃料の調達が有利
石油元売であるJX日鉱日石エネルギーの強みは、燃料の調達について知り尽くしていることです。
発電に用いる燃料を安定的に安く買うことができることは他社に比較して大きなアドバンテージになります。また、貯蔵・輸送などの面でも有利になると考えられます。
自社製油所の発電ノウハウや設備、新電力としての実績を活かせる
JX日鉱日石エネルギーは製油所の運営に使用する自家発電のノウハウを活かして、電力供給に参入しています。
また多数の発電設備がすでに日本中に配置され、PPSとして直接企業に電力を販売したり、卸売電力として地域電力へ売電するなどの実績を積んでいます。
「ENEOSでんき」はどんなサービスになる?
それでは、こうした会社の特徴をふまえて、「ENEOSでんき」がどんなサービスになるのかを考えてみましょう。
当初は東京電力エリアに向けたサービスに
「ENEOSでんき」の供給エリアは、2016年の4月当初は東京電力エリアに限定されるようです。
JX日鉱日石エネルギーはすでに自社の発電所で関東圏に約90万kWの供給力を確保しているため、まずは東京電力エリアで小売りをはじめ、2021年までには倍の約200万kWへと増強する方針です。
天然ガスの比率が多く、クリーンな電力
「ENEOSでんき」のホームページでは、「ENEOSでんき」が天然ガス(LNG)やバイオマス、水力など、環境負荷の小さい電源を使う方針であることが紹介されています。
火力燃料のなかでは環境負荷が小さいといえる天然ガスを小規模かつ安価に調達するのは難しいので、石油元売ならではの特徴といえるでしょう。
「ENEOSでんき」は「ガソリンとのセット割」なども
このほか、「ENEOSでんき」のホームページには「ガソリンとのセット割などのサービスなど」といった説明があります。具体的には説明されていませんが、契約者は自社の展開するガソリンスタンドのガソリンが安くなるなど、さまざまなプランを検討しているところと考えられます。
エネルギー関係企業が自由化の突破口となるか
JX日鉱日石エネルギーが、家庭向けに「ENEOSでんき」の名称で電力販売を開始することを発表したニュースを紹介しました。
JX日鉱日石エネルギーは発電・燃料分野の経験も豊富な「エネルギー関係」の企業ですが、自社の既存事業との抱き合わせで地域の電力会社に対して競争力を確保する電気料金プランは、比較的経験の浅い新規参入の電力会社にも導入しやすいものといえるでしょう。
こうした「エネルギー関係」の企業が家庭向けの電力小売りの成功事例をつくることで、よりいっそうの新規参入がうながされると考えられます。