電気料金の「三段階料金」とは?料金表の見方をシミュレーション
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今回は、電気料金の三段階料金とは具体的になにか、なぜ三段階料金が存在するのか、についてお話していきます。
- 更新日
- 2023年6月13日
三段階料金って?
三段階料金とは、電気料金のうち「電力量料金単価」、つまり電気を使った分だけかかる料金を、使用量に応じて三段階に分けたものです。電気の使用量が増えるのに比例して、1kWhあたりの電力量料金単価も高くなるため、電気を使うほど電気料金も高額になります。
この制度が導入されたのは昭和49(1974)年です。その前年の昭和48(1973)年10月には、第四次中東戦争が勃発し、日本に輸入される原油の価格が急上昇したため、エネルギー源を中東からの石油に依存していた日本社会は省エネルギー化を余儀なくされました。そこで、単価に差をつけることで、電気をより多く使ったらより高い料金を払わなければならない制度を設けた、という経緯があります。
この三段階料金は東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)や関西電力など、旧一般電気事業者の従量電灯プランで採用されています。しかし新電力の電気料金プランでは、必ずしも三段階料金制が採用されているわけではありません。三段階料金を採用している新電力も多くありますが、中には電気使用量に関わらず、電力量料金単価が一律のプランも存在しています。
第一段階料金
第一段階料金は0(関西電力、中国電力は16、四国電力は12、沖縄電力は11)~120kWhの使用電力量に適用される料金で、比較的安い料金設定です。これは、国が保障すべき最低限度の水準の生活を国民が営めるよう、ナショナル・ミニマムという考え方が導入されたためです。すなわち日本国憲法第25条の生存権との整合性をとるための措置、ということです。
第二段階料金
第二段階料金は121~300kWhの使用電力量に適用される料金(北海道電力は121~280kWh)で、標準的な家庭が1カ月に使用する電力量を踏まえた平均的な料金設定、という位置づけです。
第三段階料金
第三段階料金は301kWh以上の使用電力量に適用される料金(北海道電力は281kWh以上)で、料金設定が高くなっています。
これは先に説明したとおり、省エネルギー化で電力の使用量をなるべく減らす必要があったためで、「電気を多く使ったらその分高く払うべきである」というような意味合いです。
できるだけ第3段階料金が適用される電力使用量に達しないことが、電気代をおさえるためのポイントです。
そのためには節電が重要です。「契約アンペアを見直す」「家電の使い方を見直す」など、さまざまな節電方法を次のページで紹介していますので、ぜひご覧ください。
節電の方法について、詳しくは以下の記事でご説明しています。
そもそも電気料金の仕組みって?
そもそも電気料金はどのような仕組みになっているのでしょうか。ここからは三段階料金に限らず、電気料金の仕組みを解説していきます。
基本料金
携帯電話の基本料金と同じで、電気をどれくらい使ったかに関わらず必ず発生する料金です。ただし、関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力には基本料金が存在せず、代わりに「最低料金」を設けています。出典:電気料金の内訳|電気|関西電力 個人のお客さま
電力量料金単価
今回のテーマである「第一段階料金」「第二段階料金」「第三段階料金」です。第一段階・第二段階では、電気の使用量が各段階の範囲を超えると、次の段階に移行。1kWhあたりの電力量単価が上がります。電気を使えば使うほど電力量料金も上がり、電気代が高くなる仕組みです。
燃料費調整単価
発電に必要な化石燃料の価格変動を電気料金に反映させるための料金です。大まかに説明すると、燃料費が60日前の3カ月間の平均より高ければ上積みされ、低ければ電気料金が安くなる、という仕組みです。
出典:燃料費調整制度|東北電力
再生可能エネルギー発電促進賦課金
太陽光発電や風力発電など、いわゆる再生可能エネルギーによって発電された電気を電力会社が買い取る際の費用を、電気の使用者すべてに負担してもらうための料金です。出典:再生可能エネルギー発電促進賦課金|個人のお客さま|中部電力ミライズ
消費税
もちろん消費税がかかります。また、軽減税率は電気やガスといったエネルギー関連のサービスについては適用されません。
例を用いて三段階料金をシミュレーション!
最後に、三段階料金を用いて電気料金をシミュレーションしてみましょう。
- 東京電力EP
- 従量電灯B
- 契約20A
- 使用量135kWh
電気の契約を上記と仮定すると、以下のような計算となります。
単価×使用量 | 計 | 解説 | |
---|---|---|---|
基本料金 | 590円48銭 | 590円48銭 | 20Aの基本料金 |
電力量料金 (第一段階料金) | 30円00銭×120kWh | 3600円 | 第一段階料金は0~120kWh内の使用量を単価に乗じる (今回は120kWh) |
電力量料金 (第二段階料金) | 36円60銭×15kWh | 549円 | 第二段階料金は121~300kWh内の使用量を単価に乗じる (今回は15kWh) |
電力量料金 (第三段階料金) | 40円69銭×0kWh | 0円 | 第三段階料金は301kWh以上の使用量を単価に乗じる (今回は0kWh) |
燃料費調整額 | -9円95銭×135kWh | -1343円25銭 | 2023年7月分の単価を適用 |
再生可能エネルギー発電促進賦課金 | 1円40銭×135kWh | 189円00銭 | 2023年5月分から2024年4月分の単価を適用 |
合計 | 3585円 (小数点以下は切り捨て) |
詳しく解説していくと、まず今回は20Aの契約と仮定しているので、基本料金は東京電力EP「従量電灯B」の20A契約の基本料金590円48銭。
次に電気使用量が135kWhなので、第一段階料金は1kWhあたりの単価30円00銭×120kWh=3,600円。加えて残りの15kWhが第二段階料金となるため、1kWhあたりの単価36円60銭×15kWh=549円。また電気使用量は301kWhを超えていないため、第三段階料金は0円。電力量料金の合計は4,149円となります。
これで基本料金+電力量料金=4,739円48銭が出ましたが、さらにここへ燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金も加える必要があります。1kWhあたり-9円95銭×135kWh=-1,343円25銭の燃料費調整額と、1kWhあたり1円40銭×135kWh=189円の再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えて、4,739円48銭-1,343円25銭+189円=3,585円23銭。また小数点以下は切り捨てなので、電気料金は3,585円となります。
まとめ
電気料金の三段階料金について見てまいりました。
- 電気を使った分だけかかる料金を、使用量に応じて三段階に分けたもの
- ナショナル・ミニマムに沿った1番安い設定
- 標準的な家庭の平均的な1カ月分の電力量を踏まえた料金
- 電力を多く使った人向けの高い料金設定
電気料金の仕組みを理解して、賢く電気を使いましょう。
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