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JEPX(日本卸電力取引所)とは?価格の決まり方や市場の仕組みを解説

でんきの基本

JEPX(日本卸電力取引所)とは、電力を取引できる日本で唯一の市場です。一部の新電力の電気料金プランの中にはJEPXでの価格が影響するものもあります。この記事ではJEPXの仕組みや取引市場、電気料金プランとの関係について解説します。

電力の自由化により、私たちはたくさんの電力会社やプランを自由に選べるようになりました。では、電力会社はどのように私たちに電気を供給しているのでしょうか。

ここで重要な役割を果たすのがJEPX(日本卸電力取引所)です。この記事では、JEPXの概要や目的、価格の決まり方や市場の仕組みなどを、わかりやすく解説します。

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JEPXとは

JEPXとは、「Japan Electric Power Exchange」の略称で、正式名称は「一般社団法人 日本卸電力取引所」と言います。日本で唯一、電力を売買できる取引所です。電力自由化に伴って2003年に法人登記。2005年4月1日からJEPXで電力の取引が始まりました。

JEPXの目的は、 卸電力取引所の運営によって取引所で売買する事業者の利便性を高めることです。

具体的には主に下記の役割を担っています。

  • 電力の卸売市場を運営する
  • 発電事業者と小売電気事業者などの間で電力の売買を仲介する
  • 電力の取引価格を公表し、透明性を確保する
  • 電力の公正な取引を監視する

電力自由化の進展に伴い、電力の供給元として、新規の電気事業者が参入できるようになりました。しかし、新電力と呼ばれる新規の電気事業者の多くは、発電設備を持っていないため電気の調達が困難です。そのため、JEPXが開設され、新電力を含む幅広い事業者間で電力の売買を仲介しています。

JEPXの仕組み

JEPXは、日本唯一の電力市場として、電力を効率的に供給するための重要な役割を果たしています。

JEPXがどのような仕組みでその役割を果たしているかを確認しましょう。

JEPXは、発電事業者が電気を売りに出し、小売電気事業者などが電気を買うという仕組みです。日本を9つのエリア(北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州)に分けており、地域ごとの市場価格(エリアプライス)で取引されています。

JEPXでの取引は、電子取引システムを通じて行っています。

  1. 売り手である発電事業者、買い手である小売電気事業者がそれぞれJEPXで入札をする。
  2. 売り手と買い手の条件が合えば、約定。
  3. 売買代金、手数料の精算・決算

JEPXで電気の取引を行えるのは取引会員になっている会社のみです。取引会員は2023年12月現在、294社となっています。

JEPXの5つの取引市場

JEPXは、電力の供給と需要に基づいた取引を行う市場です。電力取引の市場構造は、電力の種類や取引のタイミングに応じて複数の市場に分かれています。

JEPXの主な取引市場
  • 一日前市場(スポット市場)
  • 当日市場(時間前市場)
  • 先渡市場
  • ベースロード市場
  • 非化石価値取引市場

ここでは、JEPXの5つの取引市場について、それぞれの市場の特徴について解説します。

一日前市場(スポット市場)

一日前市場(スポット市場)では、受渡日の一日前に電力の取引が行われる市場です。1日を30分ごとに分割し、48個の商品として取引されます。

スポット市場の価格決定方法は「ブラインド・シングルプライスオークション方式」。入札内容を元に取引所が定めた約定価格(売りと買いの入札状況をコンピュータが分析して導き出した、両者が交差する価格)のみで取引されます。

また、ブラインドなので、入札時の他の参加者の状況が見えません。

当日市場(時間前市場)

当日市場(時間前市場) は、実際の電力使用時間の1時間前まで取引が可能な市場です。短期的な需給の変動に対応し、需給バランスを整えるための市場です。入札後、最短1時間、最長30時間後に電気が受け渡されるため、この市場を通じて、電力供給の安定化に貢献しています。

価格決定はザラ場方式で決定。ザラ場方式は株式市場と同様で、売りたい人の入札と買いたい人の入札が一致した時に約定(売買が成立)される方式です。商品はスポット市場と同じく、1日を30分ごとに分割し、48個の商品として取引されます。

先渡市場

先渡市場では、3日から3年先の電力を取引します。長期的な電力供給の安定性を確保し、将来の価格変動へのリスクヘッジが目的です。

受け渡し期間は、1年間・1カ月間・1週間の3つで、ザラ場方式で取引されています。

ベースロード市場

ベースロード市場は、ベースロード電力を対象としている市場です。ベースロードとは、水力や地熱発電など季節や気候、時間帯問わず発電できる電源を指します。特長として、比較的低コストで発電できるため、安定した電力供給を支えています。

ベースロード市場はシングルプライスオークション方式で取引されます。

非化石価値取引市場

非化石価値取引市場は、非化石証書を取引する市場です。非化石証書とは、再生可能エネルギーなどの、非化石電源からつくられた電気が持つ「環境価値」を証書化したものです。

非化石市場では、直接、電力を取引するわけではありませんが、非化石証書の取引を通じて、環境に配慮した電力の普及の促進に貢献しています。

JEPXと連動した電気料金プランについて

電力自由化以降に登場した新電力の中には、JEPXでの市場価格と連動したプランを提供している会社も一部あります。

「市場連動型プラン」と「一部の料金算出項目が市場価格に連動しているプラン」の2種類があり、それぞれ連動方式が異なります。前者はJEPXの価格に連動して、30分ごとに電気料金単価が決まるタイプ。後者は、JEPXの価格で算定される「電源調達調整費」などが電気料金に含まれていて、月や年単位で料金が変動します。

それぞれ、JEPXの市場価格が安い時は電気料金が安くなり、高い時は電気料金も高くなるという特性があります。また、市場価格の予想が難しいことからリスクヘッジがしにくいデメリットもあるので、申し込み検討をしている方は、その点をしっかり理解しましょう。

JEPXは電力の売買を仲介するのが主な役割

今回は、JEPX(日本卸電力取引所)についてご紹介しました。

JEPXには様々な種類の取引市場があり、売買を仲介する役割があることがわかりました。前述の市場連動型プランを契約する際の説明書などにも出てくるので、仕組みを理解しておくと◎

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