読めば自営業の確定申告の基礎がわかる!ポイント総まとめ
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今度の2月に初めて確定申告を迎えるけど、何がなんだかかわからない……そんなお悩みを持つ自営業者のみなさん、まずは基本的な枠組みを押さえるところから始めましょう。細かいところはおいおい詰めていけばいいので、「こういう風になっている」という理解ができれば十分です。では、さっそくいきましょう!
確定申告のための豆知識
最初に、特に自営業の人が知っておいたほうがいい、税法上の知識をまとめてみました。基本的な枠組み、あまり耳慣れない言葉を中心に解説します。
所得区分を知ろう
働いて給料をもらう、株や不動産で儲けた……何かと、人生でお金が入ってくる場面は多いでしょう。基本的には、全部それが「所得」になると思っていてください。所得があれば、それに対して税金はかかるのです。税法上、所得は次の10種類に区分されます。
名称 | 内容 | 計算式 |
---|---|---|
利子所得 | 預貯金の利子、公社債投資信託の収益の分配などにより得られる収入 | 収入金額=所得 |
配当所得 | 株式等の利益の配当、投資信託等の収益の分配による収入 | 収入金額-株式などを取得するための負債の利子 |
不動産所得 | 不動産等の貸付により得られる収入 | 総収入金額-必要経費 |
事業所得 | 製造業、卸売業、小売業、サービス業、農業、漁業その他の事業から生ずる収入 | 総収入金額-必要経費 |
給与所得 | 給料、賃金、賞与等 | 収入金額-給与所得控除額 |
退職所得 | 退職によって一時に受ける給与やこれらの性質を有する給与等 | (収入金額ー退職所得控除額)×1/2 |
山林所得 | 山林の伐採・譲渡による収入 | 総収入金額-必要経費-特別控除額(通常50万円) |
譲渡所得 | 資産の譲渡による収入 | 総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 |
一時所得 | 上記のいずれにも該当しない、一時的な収入 | 総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額(通常50万円) |
雑所得 | 上記のいずれにも該当しない所得 | (公的年金等の収入金額-公的年金等控除額)+(公的年金等以外の総収入金額ー必要経費) |
自営業を営んでいる場合、その売上は事業所得に該当します。また、アパート、マンションなどの不動産を人に貸している場合、その賃貸料は不動産所得に該当します。「これって、なんの所得だっけ?」と思う場合、確定申告の前に一度税務署に行き、聞いてみるといいかもしれません。
パートナーや家族に働いてもらっている場合は?
配偶者(妻=奥様、夫=ご主人)がビジネスを手伝ってくれている場合、他に仕事をしていなければ、支払う給料を経費にできます。税法上では、「専従者給与」と言います。なお、経費にできる金額は次の通りです。
- 配偶者
- 86万円まで
- その他の家族
- 1人50万円まで
※ただし、次の条件が設けられているので注意が必要。
- 所得による制限
- 従事した期間が6か月超
不当に高額でなければ、全額経費にできる。ただし、事前に届出が必要
なお、配偶者を専従者にした場合、配偶者控除や扶養控除は受けられないので注意してください。
減価償却って何?
ビジネスを営むには、パソコン、車など、ある程度高額なものも必要です。こういう資産を買うために払った金額は、一度に経費にはできません。しかし、ビジネスに使われる間、分割して費用として計上していけます。この、資産を取得するために払った金額を配分していく方法を「減価償却」といいます。
先述の通り、高額の資産を買うために払った金額は一度に経費にできません。ただし、少額なら全部経費として落とすことも可能です。資産の取得価額と経費処理の関係は、次のようになっています。
取得価額の範囲 | 原則 | 例外:従業員1000人以下の青色申告者の場合 |
---|---|---|
10万円未満 | 全額経費計上可能 | 全額経費計上可能 |
10万円以上20万円未満 | 3分の1ずつ3年間にわたって経費にできる | 全額経費計上可能 |
20万円以上30万年未満 | 減価償却を行う | 全額経費計上可能 |
30万円以上 | 減価償却を行う | 減価償却を行う |
減価償却費の計算方法は、定額法が原則です。これは、取得価額を耐用年数で割り、毎年同じ額を償却する方法です。具体的な計算例をあげてみます。
(例)Aさんは40万円のコピー機を平成27年1月に購入しました。このコピー機の税法上の耐用年数は5年で、残りが1円になるまで償却する場合、各年度の償却額は次のようになります。
年度 | 計算式 | 残額 |
---|---|---|
平成27年 | 400,000×0.2=80,000 | 320,000 |
平成28年 | 400,000×0.2=80,000 | 240,000 |
平成29年 | 400,000×0.2=80,000 | 160,000 |
平成30年 | 400,000×0.2=80,000 | 80,000 |
平成31年 | 80,000-1=79,999 | 1 |
※平成31年が最終償却年度に当たり、残存価額1円になるまで償却される。
確定申告の書類を書いてみよう!
さて、確定申告に当たり必要な知識の一部を押さえたところで、実際に確定申告にあたっては、何をすればいいかを考えてみましょう。
必要な書類の一覧
自営業者が確定申告を行うには、次の書類が必要です。
- 確定申告書様式B
- 収支内訳書または所得税青色申告決算書
基本的に、住まいの近くの税務署で配布しています。もしくは国税庁のホームページからPDFデータをダウンロードし、カラープリンタで印刷して利用してもかまいません。
出典:国税庁「確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等」
- 取引先から入手
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 保険会社から入手
- 生命保険料の支払証明書
- 厚生労働省(日本年金機構)から入手
- 国民年金保険料の支払い証明書
出典:日本年金機構「平成27年の社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について」 - 市区町村から入手
- 国民健康保険料の支払証明書
収支内訳書の書き方
書類が用意できたら、実際にどこに何を書くかを押さえましょう。
なお、記述内容は、それぞれの書類内の番号と対応しています。
- 収支内訳書の裏面で集計した売上(収入)の合計額を記載する。
- 申告書第一表の収入金額等の欄に転記する。
- 収支内訳書の裏面で集計した減価償却費の合計額を記載する。
- 事務所分の家賃を計算し、記載する。
- 専業専従者控除額を記載する。
- 申告書B第一表の所得金額の欄に転記する。
- 専業専従者の氏名、その他必要事項を記載する。
- 1年間の売上=収入金額の明細を記入し、合計金額を収支内訳書表面の売上金額の欄に転記する。
- 減価償却は定額法が原則。取得年月日によって扱いが異なるので注意する。
- 年度の途中で購入し、使い始めた場合は、使い始めた月からの月数を分子に記入する。
- 家事用に使用している部分は除く。
- 減価償却額の合計を計算し、表面の減価償却費の欄に転記する。
- 資産の取得価額から償却額の合計を引く。
確定申告書Bの書き方
収支内訳書ができあがったら、確定申告書Bに移りましょう。
表面が第一表、裏面が第二表と考えるとわかりやすいです。
- 収支内訳書の収入金額合計を転記する。
- 収支内訳書の所得金額を転記する。
- 該当する控除を記入する。
- 「所得金額-所得控除額」の式で求められる金額を記入する(1,000円未満で切捨)。
- 税額を計算する。
- 復興特別所得税を計算する(5で求めた税額に0.021%をかければよい)。
- 徴収された源泉税額の合計を記入する。
- 納めるべき税金(戻ってくる税金)を計算する。
- 収支内訳書表面の「専従者控除」の額を転記する。
- 支払調書をもとにし、源泉徴収に関する情報を転記する。
- 支払った社会保険料等を記載する。
- 支払った保険料の金額を記載する。
- 控除を受ける配偶者、扶養家族に関する情報を記入する。
- 専業専従者に関する情報を記入する。
- 住民税については、「自分で納付」に○をつける。
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