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政府が石炭火力輸出要件見直しへ、環境省は存在意義を発揮できるのか【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

これまで日本は石炭火力輸出への公的支援を推進してきましたが、地球温暖化防止の観点から海外・国内からも批判の意見があがっています。世界各国で再生可能エネルギーへの積極的な取り組みが広がる中、日本の石炭火力輸出業はどうなっていくのでしょうか。

小泉進次郎環境相が2月末の臨時記者会見で石炭火力発電所の輸出要件見直しについて、経済産業省や外務省、財務省、内閣官房と調整して6月までに政府としての見直し案を作ることを明らかにしました。地球温暖化が国際問題となる中、石炭火力輸出を続ける日本政府に海外から批判が出ているのを受けた措置で、小泉環境相は要件を厳格化したい意向です。見直し案でどこまで踏み込んだ内容を盛り込めるのか、世界の注目が集まっています。

小泉環境相は輸出要件厳格化の意向

小泉環境相は環境省で記者会見し「関係省庁で見直し案を議論して結論を得ることで合意した。(温暖化防止の)パリ協定の目標達成に向けて議論を進めたい」と述べました。「見直しが輸出要件の厳格化に向かうのか」という記者の質問に対しては、「見直しがより厳しい方向へ向かうのは当然と思う」と関係省庁に厳格化を求める意向を示しています。

見直し案は環境省に設置する有識者会議で輸出要件のあり方について議論を重ねたうえで、関係省庁と最終調整し、政府が6月にまとめる予定の改訂インフラシステム輸出戦略の骨子に反映させたい意向です。

ただ、小泉環境相が1月に反対の意向を示したベトナムでの石炭火力「ブンアン2」建設計画については、日越首脳間で合意し、共同声明で協力の約束を確認しているとして、政府系金融機関の支援を実施する方向になったことを明らかにしました。環境省として撤回を求めないとしています。

震災後の電力安定供給に火力発電が貢献

政府がこれまで石炭火力を国内外で推進してきた理由はいくつか挙げられます。日本は石油や天然ガスを微量しか産出しない資源小国です。輸出国が中東地域に偏っている石油と異なり、石炭はオーストラリアなど中東以外から調達できます。エネルギー安全保障を確立するうえで欠くことができないと考えられてきたのです。

2011年の東日本大震災の東京電力福島第一原子力発電所の事故も影響しています。原発の新設や再稼働が難しくなる中、震災直後の電力供給を維持するため、電力大手は火力発電の運転増強で急場をしのぎました。当時は再生可能エネルギーが十分に普及していなかったこともあって、安定供給を託す存在として石炭火力が選択されました。

石炭火力の性能で長く、日本が世界のトップランナーだったことは、輸出推進の大きな理由になりました。経産省は途上国が最新鋭の日本製石炭火力を導入することで古いタイプの石炭火力を運転するより二酸化炭素排出量を大きく削減できると主張してきました。

日本は世界2位の石炭火力支援国

政府の石炭火力輸出要件は

  1. 石炭をエネルギー源として選択せざるを得ない国に限る
  2. 日本の高効率石炭火力に対する要請がある
  3. 原則として世界最新鋭の超々臨界圧以上の発電設備
  4. 相手国の気候変動対策と整合する

の4つで、政府のエネルギー基本計画に規定されています。この4項目すべてに合致した場合に限り、公的支援をするとしているわけです。

英国やフランス、ドイツなど欧州諸国は既に石炭火力を廃止する方針を表明しています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長も2020年以降の石炭火力新設中止を各国に繰り返し要請してきました。そんな中、日本が石炭火力輸出への公的支援を続けてきたことに対し、温暖化防止会議が開かれるたびに強い批判が海外から寄せられています。

それでも、日本政府は石炭火力輸出への公的支援を続けてきました。海外の石炭火力への公的資金提供額は、中国に次いで世界2位です。

自然エネルギー財団は政府の主張を疑問視

政府の主張に首をかしげる声が上がっています。再生可能エネルギーの推進を訴えている自然エネルギー財団は2月、政府の石炭火力輸出方針に5つの誤謬(ごびゅう)があるとする報告をまとめました。

それによると、高効率の石炭火力でも二酸化炭素削減効果がわずか数%にすぎず、天然ガス火力の2倍の排出量があると批判しているほか、日本の技術を海外の石炭火力に適用しても削減率は2割に満たず、8割以上の二酸化炭素排出を長期的に固定するなどとしています。

自然エネルギー財団は「パリ協定を順守するなら、石炭火力への投資をゼロにしなければならない。輸出からは今すぐ撤退すべきだ」と訴えています。

国内火力発電所の燃料種別CO2排出係数

出典:自然エネルギー財団「日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬」(環境省カーボンプライシングのあり方に関する小委員会資料に同財団が加筆)(注)IGFCは石炭ガス化燃料電池複合発電(実証段階)、IGCCは石炭ガス化複合発電(輸出実績なし)、USCは超々臨界圧方式

WWFジャパンは石炭火力支援からの撤退を期待

これまで政府の石炭火力輸出を批判してきた環境保護団体のWWFジャパンは、関係省庁が輸出要件の見直し協議に入ることについて歓迎のコメントを発表しました。しかし、現状は見直しで合意があり、厳格化の意図が示されただけだとして、今後の動向を注視しなければならないとみています。

輸出やエネルギー政策を所管する国の省庁は経済産業省です。国際協力は外務省や財務省が関与しています。温暖化防止会議には環境相が出席していますが、環境省が直接所感する事業は限られています。発電設備が中国製となるブンアン2への公的支援が輸出要件に反するのでないかと指摘したのは小泉環境相でしたが、環境省の主張は通りませんでした。

石炭火力が途上国に輸出されれば、数十年は使用され、二酸化炭素を排出し続けることになります。しかも、その間は支援対象国のエネルギーを石炭に依存させることになります。このため、WWFジャパンは「政府の議論が要件の見直しを超え、公的資金による石炭火力支援を原則中止とすることを期待する」と注文を付けました。

どうなる石炭火力輸出要件の政府判断

三菱UFJファイナンシャルグループが2019年、石炭火力新設への融資を原則として不可としたのをはじめ、経済界では石炭火力への投資から撤退する動きが加速しています。環境や社会問題に対する企業の取り組みを投資判断に反映させるESG投資も、広がりを見せ始めました。

震災後、国内では再エネの固定価格買い取り制度に後押しを受け、大規模太陽光発電所や大型風力発電所が増えましたが、世界では日本以上のスピードで再エネの整備を進めている国や地域が少なくありません。

政府はこうした流れの中で石炭火力輸出にどんな判断を示すのでしょうか。環境省にとっても存在意義をかけた正念場を迎えたといえそうです。

高田泰(政治ジャーナリスト)
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