契約アンペア数の変更手続きと計算方法:契約アンペア数の目安も解説
この記事の目次
電気のブレーカーがよく落ちるので困っている、今の契約アンペア数は適正なのかを知りたいなど、ご家庭のアンペア数についてお悩みではありませんか?アンペア数の目安と選び方、アンペアの変更方法などについて紹介します。
- 更新日
- 2024年5月8日
アンペアの基礎知識
はじめに、電気を契約する際の契約アンペア数の基礎知識について知っておきましょう。
電気のアンペアは「同時に使える電気の量」のこと
電気の契約アンペアの大きさは、同時に使える電気の量をあらわします。
電気料金プランには、アンペア制という契約を採用しているプランが多くあります。アンペア制の電気料金プランは、契約アンペア数に応じて異なる基本料金が設定されています。多くのプランは、10A(アンペア)・15A・20A・30A・40A・50A・60Aの中から、家庭の電気の使用状況に見合った契約アンペア数を契約し、基本料金が決定します。
一度にたくさんの電気を使うことが多い家庭は契約アンペア数を大きめに、一度にたくさん電気を使う機会が少ない場合は契約アンペア数を小さめに契約します。例えば、東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)の「従量電灯B」プランは、契約アンペア数ごとに以下のように基本料金が決定されます。
区分 | 単位 | 東京電力EP「従量電灯B」料金(消費税率10%) | |
---|---|---|---|
基本料金 | 10A | 1契約 | 311円75銭 |
15A | 467円63銭 | ||
20A | 623円50銭 | ||
30A | 935円25銭 | ||
40A | 1247円00銭 | ||
50A | 1558円75銭 | ||
60A | 1870円50銭 | ||
電力量料金 | ~120kWh | 1kWh | 29円80銭 |
121kWh〜300kWh | 36円40銭 | ||
301kWh〜 | 40円49銭 |
契約アンペア数が大きくなると、基本料金も高くなっていますね。
例えば東京電力EP「従量電灯B」で、あなたの家庭では30A契約で十分なのにも関わらず、40A契約をしていると、311円75銭/月(3,741円/年)も余計な基本料金がかかってしまいます。適正なアンペア数で契約すれば、無駄なく電気を使えて電気代が節約できます。
電気料金プランによっては、アンペア契約ではない料金体系のプランもあります。関西電力エリア・中国電力エリア・四国電力エリア・沖縄電力エリアは「アンペア制」ではなく、最低料金が定められている「最低料金制」のプランが多いです。
契約しているアンペア数の確認方法は?変更はできる?
現在契約しているアンペア数がわからない人は、電気使用量の明細書や電気代の請求書、契約している電力会社のWEBのマイページなで確認できます。またアンペアブレーカーの色(※)でも確認できます。
現在契約している電力会社の料金プランのまま、契約アンペア数を変更したい場合は、契約している電力会社に申し込みを行います。電力会社の切り替えと同時に契約アンペア数を変更したい場合は、切り替え時のアンペア数変更に対応している電力会社とそうではない電力会社があるため、切り替え先の電力会社へ確認をしましょう。
切り替えと同時に変更ができる場合は、切り替え先の電力会社へアンペア数の変更を申し込みます。切り替えと同時に変更ができない場合は、現在契約中の電力会社にアンペア数変更を申し込み、変更後に電力会社の切り替えを行います。アンペアブレーカーの色分けは、電力会社によって異なります。
電気の契約アンペア数を変えるメリット
一度に使う電気の量が少ない人が大きなアンペア数で契約している場合、アンペア数を小さくすれば電気代を節約できます。
ただし、電気の契約アンペア数は、家庭の電気使用量に見合ったアンペア数を契約することが大事です。契約アンペア数が小さすぎて一度に契約アンペア数以上の電気を使ってしまうと、ブレーカーが落ちたり、スマートメーターが一時的に遮断されてしまいます。
ブレーカーが落ちてしまった場合は、ブレーカーのつまみを上げると再度電気を使えます。スマートメーターが設置されていれば、遮断された後10秒後に自動で電気が使えるようになります。
もし、電気代の節約が目的でアンペア数の変更を検討しているなら、電力会社の切り替えもおすすめです。自分に合った電力会社・料金プランに切り替えれば、節約効果が期待できます。
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電気の契約アンペア数の決め方
電気の契約アンペア数は、電力会社との契約時に決定をします。
契約アンペア数は、ご家庭での電気の使用量に合わせて決めましょう。平均的な契約アンペア数も紹介するので、目安にしてみてくださいね。
平均的な契約アンペア数
東京電力EPによると、一般家庭の契約アンペア数の平均は34.88A(2015年度末時点)となっています。1軒あたり平均アンペア数は「従量電灯A/B年延契約電力」÷「従量電灯A/B年延契約口数」で計算されています。
一人暮らしなど電気使用量が少ないなら20A~30A、家族や家電が多く電気使用量が多い家庭なら40A~60Aを目安とするとよいでしょう。
参照:家庭1軒あたりの使用量と契約電力(当社サービス区域1カ月平均)2015年度末時点|電力需要|数表でみる東京電力|東京電力ホールディングス
家庭に合ったアンペア数の決め方
家庭に合った契約アンペア数は、1日のうち、一度に使う電気の最大使用量から決定するとよいでしょう。
日中家事をまとめてする人は、掃除機、洗濯機、エアコンなどの家電を一度に使う時間帯のアンペア数をまず把握しましょう。
例えば一度に使う家電のアンペア数が合計35Aの場合、契約アンペア数40Aで契約をすると、ブレーカーが落ちたりスマートメーターが一時的に遮断される心配もなく、無駄な基本料金をかけずに電気が使えます。
電気のアンペア使用量の計算方法
契約アンペア数を決める場合、現在契約している契約アンペア数が家庭に見合っているかどうか確認したい場合のために、アンペア使用量の計算方法を知っておきましょう。
ベースとピークの消費電力に分けて計算
家庭の電気使用量が普段最大でどのくらいになっているのかは、常に電気を使っている家電(ベースの消費電力)と、一時的に使う家電(ピークの消費電力)の、2種類に分けて計算します。
- 常に電気を使っている家電(ベースの消費電力)
- 夏の冷房機器や冬の暖房機器など、ある季節に限り常に使う家電。
- テレビや冷蔵庫など、季節を問わず常に使う家電。
- 一時的に使う家電(ピークの消費電力)
- ドライヤー、オーブン、アイロン、洗濯機、掃除機など、一日の中で一時的に使う家電。
家庭で多く使われる家電のアンペア数の目安を、いくつか紹介します。
エアコンは電源を入れた際にもっともアンペア数が高くなる!
エアコンは運転中に消費電力量が大きく変化する家電です。エアコンは、スイッチを入れてから室温が設定温度になるまでの間、電気をたくさん使います。つまり、スイッチを入れた際にもっともアンペア数が高くなります。
そのため、「エアコンのスイッチを入れたと同時に、洗濯乾燥機など消費電力量の大きい家電を使った」「寒いから各部屋のエアコンを3台同時につけた」など、一度に使うアンペア数が大きくなり契約アンペア数を超えてしまうと、ブレーカーが落ちたり、スマートメーターが一時的に遮断されてしまう場合があるので注意しましょう。
ベースの消費電力のアンペア数
それでは、常に電気を使っている家電のアンペア数(ベースの消費電力)の最大値を計算してみましょう。
ここでは、もっとも電気使用量が増える冬のベースの消費電力を、最大アンペア数の目安にしました。なお、冬に使う暖房機器のうち、カーボンヒーターなど短時間だけ使うものは、ピークの消費電力アンペア数としています。
- エアコン6.6A+液晶テレビ(42型)2.1A+冷蔵庫(450Lクラス)2.5A=合計11.2A
ピークの消費電力のアンペア数
次に、一時的に使う家電のアンペア数(ピークの消費電力)の最大値を計算してみましょう。
例として、まずは1日を朝・昼・夜に分け、各時間帯で一時的に使う家電の、合計アンペア数をまとめてみました。
- 朝
- 炊飯器(5.5合炊飯時)13.0A+電子レンジ15.0A+電気ストーブ(ハロゲンヒーター)8.0A=合計36.0A電気ストーブの消費電力は、エスケイジャパンセールス「SKJ-SH85H」を参照しています。
- 昼
- 食器洗い乾燥機13.0A+ドラム式洗濯乾燥機(乾燥時)13.0A+掃除機(強)10.0A=合計36.0A
- 夜
- 食器洗い乾燥機13.0A+アイロン14.0A+ヘアドライヤー(強)12.0A=合計39.0A
以上のベース・ピークの消費電力から下記計算を行うと、50.2Aになります。つまり、家庭に合った契約アンペア数は、60Aが目安になります。
- ベースの消費電力の最大アンペア数(冬)11.2A+ピークの消費電力の最大アンペア数(夜)39.0A=合計50.2A≒契約アンペア数の目安60A
契約アンペア数の変更方法
契約アンペアを変更する際の流れをみてみましょう。
契約中の電気料金プランや設備、契約状況によっては、契約アンペア数を変更できない場合があります。
また、アパート・マンションなどの集合住宅にお住まいの人は、所有者や管理人の承諾が必要な場合があるので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
契約アンペアの変更方法1)契約内容などを確認する
まずは現在の電気の契約内容を確認しましょう。電気料金プランによっては、アンペア制ではない場合もあります。
現在契約しているプラン名や契約アンペア数は、電気使用量の明細書や電気代の請求書、契約している電力会社のWEBのマイページなどで確認できます。
契約アンペアの変更方法2)アンペア変更の申し込み
契約アンペア数を変更したい場合は、契約している電力会社へ連絡をして、アンペア数変更の申し込みを行います。
注意点として、電力会社によっては電気料金プランの切り替えと同時にアンペア数の変更ができない場合もあります。切り替え先の電力会社へあらかじめ確認をしておきましょう。
アンペア数変更の申し込み方法は、今のお住まいのままで変更する場合、引越しと同時に変更する場合とで異なります。
- 今のお住まいで切り替えと同時に、アンペア変更をする場合
- 切り替え先の電力会社が、切り替えと同時のアンペア数変更に対応していない場合は、切り替え前に、今契約中の電力会社にアンペア変更の申し込みをします。その後、契約したい電力会社に切り替えを行いましょう。
- 引越し先で切り替えと同時に、アンペア数の変更をする場合
- 引越し先で契約したい電力会社が、切り替えと同時のアンペア数変更に対応していない場合は、一度引越し先で旧一般電気事業者(※)と契約をし、アンペア変更の申し込みをする必要があります。その後、契約したい電力会社に切り替えを行いましょう。
※旧一般電気事業者とは……北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・四国電力・中国電力・九州電力・沖縄電力をいいます。
契約アンペアの変更方法3)アンペアブレーカーの取り替え工事
契約アンペア数を変更する場合、家庭に設置されている電気メーターがアナログメーターの場合は、電力会社の作業員が来てアンペアブレーカーの取り替え工事を行います。
屋内にあるアンペアブレーカーの工事は立会いが必要となり、20分ほどの工事ですが、その間は電気が使用できません。工事費は基本無料ですが、配線工事を伴う工事や、60Aを超える契約容量を希望する場合は有料になる場合があるので、注意しましょう。
なお家庭に設置されている電気メーターがスマートメーターの場合、屋外にあるメーター内部で契約アンペアを設定している場合は、電力会社が遠隔で契約アンペア数の変更を行います。アンペアブレーカーの取り替えは不要なため、契約アンペア数を変更する際に工事はありません。
出典:ご契約アンペアの変更|各種お手続き|東京電力エナジーパートナー
契約アンペア数を変更する際の工事について、詳しくは以下の記事でも説明しています。契約アンペア数(電気の容量)の変更方法は?工事は必要?
一度変更したアンペア数は1年間は変更できないことが多い
契約アンペア数を変更した場合、1年間は再度変更できないことがほとんどです。家庭の電気使用量は季節によって変動するため、契約アンペア数を変更する際は1年間でもっとも電気をたくさん使う季節を想定して決定しましょう。
適したアンペア数にすれば、電気代も安くなる!
電気の契約アンペア数の基礎知識や、契約アンペア数を変更する際のアンペア数の目安と選び方、アンペアの変更方法などについて紹介しました。
家庭に合ったアンペア数を選べば、無駄な基本料金がかからず、電気代が節約できます。適正なアンペア数を選ぶには、同時にどれくらいの家電を使用するかを考え、一度に使う電気の最大量を目安にしましょう。
また、電気を使う時間帯を分散して、一度に使う電気の量を少なくするなど、電気の使い方を工夫すると基本料金を安くできますよ。
契約アンペア数の目安がわかったら、電気料金プランも見直しましょう
一度に使う電気の量が多く契約アンペア数の大きい家庭は、電気代が高くなってしまいますよね。家庭に合った契約アンペア数の目安がわかったら、電気料金プランを見直してみましょう。
夜に使用する分の電気料金が割安、使用電力量が多くなるほど電気料金が割安、基本料金が無料で電気料金は使った分だけなど、電気の使い方に合わせて電気料金プランを選ぶと、契約アンペア数が大きくても電気代が安くなる可能性があります。
アナタにぴったりな電気料金プランは、電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」で簡単に比較検討できます。最適な電力会社のプランに見直して、電気代をかしこく節約していきましょう。
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