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三井不動産と東京ガス、東京日本橋でスマートエネルギープロジェクトを開始【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

日本橋室町三井タワーにコージェネレーションシステムが設置され、「日本橋スマートエネルギープロジェクト」が始まりました。コージェネレーションシステムは電力と熱を同時に発生させる装置で、約15万平方メートルの日本橋エリア内にある建物へエネルギーを供給します。

三井不動産と東京ガスが東京都中央区日本橋で都市ガスを燃料にして電力と熱を供給する「日本橋スマートエネルギープロジェクト」を始めました。再開発で誕生した大規模複合ビルの日本橋室町三井タワーにコージェネレーションシステムを設置、日本で初めて既存建物を含む街全体にエネルギーを供給する「街中発電所」を出現させたのです。

ガスで発電した電力を効率よく供給

3月に竣工した日本橋室町三井タワー。地下にコージェネレーションシステムが設置されている(三井不動産提供)
エネルギー供給を手掛けるのは、三井不動産と東京ガスが2016年に設立した三井不動産TGスマートエナジーで、3月に竣工した日本橋室町三井タワーの地下に大型のコージェネレーションシステムを設置しました。

コージェネレーションシステムは電力と熱を同時に発生させる装置で、エネルギー効率を高められることで注目を集めています。日本橋プロジェクトではガスで発電した電力と系統電力をプラント内で混合し、需要に応じて電力を効率よく供給できる方式を採用しました。ガスエンジン3台をはじめ、廃熱ボイラー3台、冷凍機7台、蒸気ボイラー5台を備えています。

ガス漏れを起こしにくく、災害に強い中圧ガス導管で都市ガスを引き、約4.3万キロワットの電力をつくっているほか、発電時に発生する熱も余すことなく供給します。日本橋の真ん中に大規模な分散型発電所が生まれた格好で、街で生まれたエネルギーをその街で消費する地産地消が実現しました。

日本橋スマートエネルギープロジェクトの全体図(三井不動産提供)

供給エリアは周辺も含む約15万平方メートル

電力と熱の供給エリアは日本橋室町地区、本町地区の一部に当たる約15万平方メートル。区域内には再開発で誕生した日本橋室町三井タワーのほか、三井本館や日本橋三井タワー、三越日本橋本店、オフィスビルの武田グローバル本社、商業施設のCOREDO(コレド)室町など20棟ほどの建物があり、帰宅困難者向け一時待機スペースを含めて延べ床面積100万平方メートルに及びます。

それぞれの建物へは地下に配置したエネルギーラインを通じて電力などを供給しています。広域停電になったときでも年間ピーク時の約50%に当たる電力を供給可能で、ビル内の事業所が平常通りに業務を継続できるようにしました。一般家庭への電力供給は予定していません。

通常の停電対策は停電から数十秒程度で非常用発電機を起動させますが、この方式だと電力供給が大きく減り、人命救助や消火活動など防災面に限定されることが多くなってしまいます。これに対し、日本橋プロジェクトではほぼ通常に近い水準の電力が供給され続けることから、防災活動だけでなく、照明や空調、エレベーターにも必要な電力を確保できます。

首都圏は大正時代の1923年、直下型地震の関東大震災で大きな被害を受けました。再び直下型地震が起きても、都市機能がマヒしないようにするのが、日本橋プロジェクトの狙いの1つなのです。

電力と熱の供給可能エリア(三井不動産提供)

日本橋再生へ新しい街を建設

日本橋プロジェクトは三井不動産が進める日本橋再生計画の中で発案されました。日本橋は三井グループの源流となる三井越後屋呉服店が江戸時代前期の1673年に開業したグループ発祥の地で、東海道、中山道など五街道の起点が置かれるなど、江戸、そして東京の経済の中心地となってきた場所です。

同時に水運の拠点の1つにも数えられていました。江戸時代中期の江戸の人口は約120万人といわれています。物資搬送には海と通じる水路が欠かせません。海に面した商業地には運河や河岸が設けられ、日本橋川は水運の大動脈とされていました。

日本初の百貨店となる三越が明治時代の1904年、「デパートメントストア宣言」を出して誕生したのも日本橋でした。当時の最先端を行く百貨店と、刃物の日本橋木屋、鰹節のにんべんなど江戸時代から続く老舗店が共存する商業の街として隆盛を極めました。

関東大震災や太平洋戦争末期の東京大空襲で大きな被害を受けましたが、そのたびに復興を遂げ、戦後は商業だけでなく、日本を代表するビジネスゾーンとして生まれ変わったのです。

バブル崩壊で商業地としての地盤沈下が進行

しかし、1964年の東京五輪を前に首都高速道路が整備された際、用地取得が必要ない川の上を高速道路が通るようになり、地域のシンボルである日本橋の上空が高速道路の高架で覆われてしまいました。日本橋の景観が損なわれたことで街の魅力が欠けてしまったのです。

さらに、バブル経済の崩壊後、商業地としての地盤沈下が進み、かつての面影を失い始めました。1998年には東急日本橋店が閉店し、これを契機に地域や経済界が日本橋の現状に強い危機感を抱くようになりました。

日本橋に以前のにぎわいを取り戻そうとするのが日本橋再生計画です。日本橋地区には1929年竣工の三井本館、1927年竣工の日本橋三越本店など重要文化財が残っています。これら歴史的建造物を残しながら、新しい街をつくろうとしているわけです。

日本橋室町三井タワーが旗艦プロジェクトに

再生計画の中で日本橋室町三井タワーは旗艦プロジェクトの1つと位置付けられています。地下3階、地上26階建てで、延べ床面積約16万8,000平方メートル。最高地点の高さが約140メートルあり、日本橋の新しいランドマークになりました。

低層階に大屋根付きの広場や9月にオープンする商業施設の「COREDO室町テラス」、イベント用のホール、高層階にオフィスが入り、日本橋のにぎわいを創出するだけでなく、グローバル化の拠点となることが期待されています。それらとともに、災害に強い未来の街づくりを進めるのが大きな目的です。

このため、日本橋室町三井タワーには最新の制振装置を備え、震度7の大地震に対応するようにしているほか、災害情報を提供し、スマートフォンの急速充電に対応したコンセントを用意した帰宅困難者向けの一時待機スペースを確保しています。

東京豊洲でも同様の取り組みを計画

コージェネレーションシステムを活用したエネルギー供給は、東京都港区の六本木ヒルズなど他の再開発地区でも見られます。しかし、どのケースも供給エリアは再開発区域内に限られてきました。

日本橋プロジェクトで初めて街全体に電力供給することになりました。三井不動産と東京ガスは今後、東京都江東区の豊洲二丁目駅前地区再開発でも同様の取り組みを進めることにしています。

三井不動産は「災害時に街に電気を絶やさず、震災に負けない強靭さを備えた地域にしたかった」、東京ガスは「街で働く人や訪れる人が安心して快適に暮らせるようエネルギー面から取り組んだ」と力を込めています。

高田泰(政治ジャーナリスト)
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