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電力自由化から2年、新電力が苦境に陥る中、大手が激しい主導権争い【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

電力小売りの全面自由化から2年が経ちました。参入数や切り替え数の推移、大手電力と新電力の現状を詳しくお伝えします。

2016年4月、電力小売りの全面自由化がスタートして2年。この間、さまざまな業界から新電力が相次いで参入しましたが、ここにきて電力大手と都市ガス大手がさまざまな連携を模索し、主導権争いを続ける一方、新電力に淘汰の気配が見えてきました。ひと足早く電力自由化に入った欧州では、新電力が競争に敗れて市場から退場、大手による寡占状態に逆戻りしています。今後、日本の電力業界はどうなるのでしょうか。

2年間で多様な業界から465社が参入

出典:経済産業省資料から筆者作成
「電力自由化で電気料金が下がります」「お得な電力プランを選びましょう」。2年前の4月、電力自由化で新規参入した新電力が、各地でさまざまなキャンペーンを繰り広げました。マスコミもこぞって電力自由化を大きく扱い、まさに新時代到来を予感させました。

自由化スタート時点で電力小売りに参入したのは300社足らず。特に人口の多い首都圏や関西では、異業種からの参入が続き、どこのプランがお得なのか、一般消費者が調べるのも大変な状況になりました。

経済産業省の集計では、その後も新規参入企業が増え続けています。2017年には400社を突破、2018年3月現在では465社。業種も都市ガス、プロパンガス、通信、石油、不動産などさまざまな業種から参入しています。

思いのほか多くないスイッチング件数

電力自由化後の累積スイッチング件数(2017年末現在)

電力大手管内
スイッチング件数
北海道 269,113
東北207,855
東京電力PG2,860,271
中部491,434
北陸35,591
関西1,188,136
中国79,473
四国70,488
九州352,139
沖縄0
合計5,554,500

出典:電力・ガス取引監視等委員会「電力取引の状況(平成29年12月分)」

ところが、契約の切り替え件数はそれほど多くありません。経産省の電力・ガス取引監視等委員会のまとめでは、2017年末の契約切り替え(スイッチング)件数は累計で555万件。スイッチング率は14.2%で、うち電力大手から新電力への切り替えは8.7%にとどまっています。

内閣府の消費者委員会公共料金等専門調査会は2017年5月、自由化後1年間の状況を欧州の先行事例と比較して「新電力のシェア拡大ペースは必ずしも低調といえないが、大部分の世帯は新しい料金プランに積極的に乗り換える行動に及んでいない」との見方を示しました。

スイッチング件数は大都市圏に偏り、首都圏が全体の51.5%、関西が21.4%を占めています。逆に新規参入がなかった沖縄県を筆頭に地方では進んでいません。自由化の恩恵が大都市圏にとどまり、地方まで波及していないのです。

大東エナジー、オリックス電力が撤退

大東エナジーのPRが消えた京都市の大東建託グループの店舗(筆者撮影)
新電力の多くは電力大手より安い料金を設定し、攻勢をかけました。しかし、一般家庭向けの低圧電力は薄利多売の商売です。顧客獲得は企業の体力勝負といえる安売り競争に陥り、新電力の中で大手と考えられてきた企業が、電力業界から相次いで撤退しています。

オリックスと大京が系列マンションでの電力販売を目指して設立したオリックス電力がその1つで、2017年9月にオリックス電力の事業を継承する新会社の全株式が関西電力に買収されました。系列マンションへの営業をひと通り終えた段階で一般家庭向け販売に見切りをつけたといわれています。

賃貸住宅大手・大東建託グループの大東エナジーも2017年11月、電力小売りから撤退しました。管理する賃貸住宅で26万件の契約を獲得し、新電力大手に数えられていましたが、1世帯当たりの使用量が予測を下回り、採算が見合わなくなったとみられています。電力自由化でビジネス拡大を夢見た新電力が、厳しい現実を思い知らされた形になったのです。

出典:エネチェンジ調べ
大東エナジーの契約世帯は突然、契約終了を通知されました。エネチェンジが2017年12月、全国846の契約世帯を対象にアンケート調査をしたところ、82.2%が不安を感じていることが分かりました。ライフラインを供給する企業の撤退が多大な影響を与える一面をあらためてクローズアップした格好です。

みやまスマートエネルギーは債務超過に

新電力の中で異色の存在が地方自治体です。福岡県みやま市をはじめ、全国各地の自治体が電力小売りに参入し、エネルギーの地産地消と電力収入の福祉、地域おこしへの活用を目指しました。高齢者の見守りサービス実施、地域での雇用創出など波及効果は大きいものの、収入面では壁に突き当たっているところが少なくありません。

みやま市が出資するみやまスマートエネルギーは、地元だけでなく、九州各地や関東でも電力販売に踏み切り、自治体電力の代表格です。しかし、みやま市議会に提出された資料によると、みやまスマートエネルギーの累積赤字は2016年度までで3,500万円。資本金の2,000万円を上回り、債務超過に陥っているのです。

2016年度の売上目標26億円に対し、7億円しか実績を上げられなかったことが響いたようです。みやま市エネルギー政策課は「2017年度は最終黒字となる見通し。これから巻き返す」としています。業務自体は順調に拡大中ですが、自治体電力のビジネスモデルを不安視する声も上がっています。

首都圏では中部電力と大阪ガスが連携

中部電力と首都圏での電力、ガス販売で共闘する大阪ガスの本社(筆者撮影)
こうした新電力の苦境をよそに電力、都市ガス大手は事業別に次々と連携を結び始めました。しかし、特定の事業でパートナーとなっても、別の事業でライバルとなるなど、関係は複雑です。

その代表が中部電力と大阪ガスです。首都圏で電力とガスを販売する「CDエナジーダイレクト」を4月2日に共同で設立、東京電力、東京ガスに戦いを挑みます。しかし、電力を仕入れるのは中部電力が東京電力と共同出資する火力発電会社のJERA。大阪ガスは東京電力と東京湾岸での都市ガス製造で連携する一方、東京ガスと新電力最大手のエネットに共同出資しています。

複雑な連携関係について、中部電力は「ケースバイケースで適切なパートナーを選んでいる」、大阪ガスは「パートナー選びの判断は事業ごとに異なる」と述べました。

関西電力は東京ガスと積極的に連携

これに対し、オリックス電力の事業継承会社を買収した関西電力も積極的な動きを見せています。不動産事業で3月、東京ガスと戦略的連携に合意したことを明らかにするとともに、液化天然ガスの融通でも協力関係を築いています。

さらに、野村不動産が神奈川県横浜市で進めるスマートシティ開発にも、共同で電力システムを供給する話し合いに入りました。関西電力は「東京ガスとはさまざまな分野で協力関係にあり、互いにメリットがある部分は連携したい」としています。

自由化まで規制に守られてきた電力、ガス大手は、自由競争という過酷な戦場に放り出されました。その中でそれぞれの事業ごとに最適のパートナーを探し、自社の販売戦略を有利に導こうとしているようです。業界再編に向けた主導権争いと受け止める声も出ています。

英国では新電力撤退で大手の寡占体制に

1999年に電力自由化に踏み切った英国では、自由化直後に現在の日本のように異業種からの参入が相次ぎました。しかし、激しい競争の中で新電力が相次いで撤退し、最終的に「ビッグ6」と呼ばれる6電力会社による寡占体制に落ち着いています。

1998年に電力自由化をスタートさせたドイツでは、シュタットベルケと呼ばれる自治体出資の事業者が地域内で電力販売を続けていますが、シェアは20%程度でしかありません。自由化直後の新規参入ラッシュで市場に登場した新電力の多くは既に消えています。

日本の電力業界の勢力図が今後、どう動くかは予断を許しません。ただ、電力、都市ガス大手だけが存在感を発揮する現状は、欧州と同じ道を歩もうとしている気配も感じさせます。

高田泰(政治ジャーナリスト)
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