東京電力が地域の枠を超えて全国で電力小売りを開始
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東京電力は2014年10月から、全国域での電力小売りを始めると発表しました。
なぜ東京電力は、地域の枠を超えて電気を小売りすることができるのでしょうか?また何のために、そうした事業を始めるのでしょうか?
東京電力が全国で電力小売りを開始
東京電力は、2014年10月から、全額出資しているテプコカスタマーサービスを特定規模電気事業者として登録して全国で電力小売りを始めることを発表しました。
東京電力は22日、10月から全国で電力の小売りを始めると正式発表した。全額出資子会社のテプコカスタマーサービス(東京・江東)を22日付で新電力事業者として登録し、まず関西や中部で営業を始める。東京に本社を置く大企業の地方拠点などに購入を促し、他の大手電力よりも数%安い料金で販売する。
なぜ東京電力は地域の枠を超えて全国で電気を売ることができるのでしょうか?
東京電力は今回、PPSというしくみを利用して、全国で電気を売り始めます。
PPSって?
現在日本では、工場・オフィス・行政施設など、50キロワット以上のまとまった電気を使う「大口需要家」と呼ばれる契約者に電気を販売することが出来る「特定規模電気事業者(PPS)」という電力供給事業者がいます。
マンションなどもまるごと一棟での契約により、この特定規模電気事業者(PPS)の供給する電気を使っている家庭もあります。
現在日本の大口需要家が電気を購入している特定規模電気事業者(PPS)には、「ダイヤモンドパワー」や「エネット」といった、私たちがあまり聞いたことのないような新電力事業者や、「パナソニック」や「昭和シェル石油」といった、私たちも知っている名前の事業者があります。
PPSのしくみって?
特定規模電気事業者(PPS)は、自社で発電した電気や、発電設備を持つ工場の余剰電力などから電気を購入し、東京電力などをが所有する送電網を借りて電気を送ることで、電気を売っています。
今回東京電力は、このPPSというしくみを利用して、東京電力のグループ会社とPPS事業者として全国で電気の販売を始めます。
電力自由化を見すえた、地域の壁をこえた電気の販売
現在東京電力の地域内では、中部電力や関西電力のグループ会社がすでにPPSの枠組みで電力販売を行う体制を整えています。新事業者や、地域外の電力会社にサポートされたPPS事業者が参入することにより、東京電力にとっては大口の顧客を奪い合う価格競争を強いられることになります。
現在、PPSの枠組みを使い、地域外の電力会社が電気を販売できるのは50キロワット以上の電力を使う大口需要家に向けてのみに限られていますが、2016年には電力市場が全面的に自由化され、一般家庭に向けても地域外の電力会社が電気を販売できるようになります。
まとめ
2016年の電力自由化に向けて、現在電力市場ではPPS事業の競争が激しくなってきています。前述のとおり、他エリアの一般電力事業者が東京電力エリアですでにPPS事業を始めており、東京電力はそれに対抗することと、全面自由化にむけた布石として10月から全国でPPS事業を展開します。
電力市場が全面自由化されれば、PPS事業だけでなく、私たちの家庭の電気も現在の一般電力事業者にかぎらず、エリア外の一般電力事業者・今はPPSだけを手がけている事業者・今後新規参入してくる事業者、など様々な電力事業者の中から自由に選んで契約し、電気を購入するようになっていくのです。