大手電力会社とは?電気事業の歴史も含めて解説
ニュースなどで聞くこともある「大手電力会社」とは、一体どの会社を言うのでしょう?
本記事では、大手電力会社の紹介とともに、大手電力会社を中心とした日本の電気事業の歴史をご紹介します。2016年の電力自由化で、参入した新電力と大手電力会社の違いについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
大手電力会社は10社
大手電力会社とは一般的に北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・四国電力・中国電力・九州電力・沖縄電力の10社を指します。
これらの会社は、2016年の電力小売りの自由化以前に、エリアごとに独占的に電力を供給する会社でした。以前は、この10社が、一般に発電・配電・送電をしている会社(一般電気事業者)だったため、現在では「旧一般電気事業者」とも呼ばれています。
大手電力会社 | 現在の管轄エリア |
---|---|
北海道電力 | 北海道 |
東北電力 | 青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県 |
東京電力 | 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、 茨城県、山梨県、静岡県の一部 |
北陸電力 | 富山県、石川県、福井県(一部を除く)、岐阜県の一部 |
中部電力 | 愛知県・岐阜県(一部を除く) ・三重県(一部を除く) ・静岡県の一部・長野県 |
関西電力 | 大阪府、京都府、兵庫県(一部を除く)、奈良県、 滋賀県、和歌山県、ならびに三重県、岐阜県、 福井県の一部 |
中国電力 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県ならびに兵庫県、香川県、愛媛県の一部 |
四国電力 | 香川県(一部を除く)、愛媛県(一部を除く)、徳島県、高知県 |
九州電力 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県 |
沖縄電力 | 沖縄県 |
※同都道府県内の特定地域では、管轄する電力会社が異なります。
大手電力会社の歴史
なぜ、この10社が大手電力会社と呼ばれるようになったのか、電気事業の歴史とともに見てみましょう。
日本で最初の電力会社が設立されたのは、1886年、後の東京電力となる「東京電燈(とうきょうでんとう)」です。その後、電力会社は増えていき、一時期は60社以上の電力会社が自由競争のもと電気を販売していました。
しかし、過度な料金値下げなど競争激化による電力会社の収益悪化で、電気業界は混乱状態に。そこで、昭和7年に電気事業は供給地域独占事業となり、近年の電力自由化までこの体制が続くことになります。
さらに、1938年には国策企業の「日本発送電株式会社」が設立され、第二次世界大戦中は電気は国家管理のもと運営されていました。
戦後、1951年に日本発送電株式会社は解散され、9つの民間電力会社が(北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州)の地域別に作られました(沖縄電力は1972年沖縄の日本復帰により設立)。これらの会社が管轄エリアで独占的に電気事業を運営し、発電・送電・配電・小売を一貫して行っていました。
長年、この体制が続きましたが、1995年から電力自由化が始まります。1995年に発電部門が自由化、2000年以降は電力の小売自由化が3段階で進められました。
- 特別高圧区分の小売自由化(2000年)
- 大規模工場やデパート、オフィスビルなど「特別高圧」区分の小売自由化
- 高圧区分の小売自由化(2004年・2005年)
- 中小規模工場や中小ビルなど「高圧」区分の小売自由化
- 低圧区分の小売自由化(2016年)
- 家庭や商店など「低圧」区分の小売自由化
2016年の低圧区分の小売自由化をもって、電力の小売は全面自由化されました。新たに参入したきた電力会社と区別する上で、もともと独占事業を営んできた10社は現在、「大手電力会社」や「旧一般電気事業者」などと呼ばれるようになっています。
一方で、送電・配電という供給に関わる部門はスケールメリットの観点などから、独占的な事業形態を維持しており、現在は、大手電力会社のグループ会社が担っています。
大手電力会社と新電力
電力自由化は、電気料金の抑制や電気利用者の選択肢を増やすことを主な目的として実施されました。現在は、様々な電力会社が新規参入し、電気料金の価格競争が行われています。この新規参入の会社は、大手電力会社と区別して「新電力」と呼ばれています。
新電力は徐々に会社数が増え、2023年6月時点で731社です。また、新電力のシェアも増加し、2023年3月時点で約17.7%(低圧区分のシェアは約23.8%)と成長しました。
現在は、大手電力会社・新電力合わせて、多様な電気料金プランやサービスから選べる環境となっています。
大手電力会社と新電力の切り替えは簡単
「様々な電力会社から選べるようになったのはわかったけど、切り替えは難しそう」と考える方もいるかもしれません。
大手電力会社と新電力の切り替えは、実は簡単に行えます。
- 切り替え時は解約の届け出不要
- 切り替え先の新しい電力会社が一括して手続きを行います。「お客様番号」「供給地点特定番号」の入力だけなど、簡単な手続きで完了します。
- 工事費用は基本的に無料
- 電力メーターをスマートメーターへ切り替えが必要ですが、工事は基本的に無料です。(ただし、有料の場合もあり)
- 日本全国どこでも切り替えできる
- 新電力は全国どの地域にもあります。自宅が供給エリア内にある電力会社であれば、切り替えが可能です。また高圧一括受電契約でないなら、マンションなどの集合住宅にお住まいの方でも切り替えできます。
スマートメーターの設置に適していない住宅環境の場合、それに伴う工事が発生して追加費用を自己負担するケースもあります
「大手電力会社から新電力」だけではなく、「新電力から新電力」「新電力から大手電力会社」へも同様に切り替えられます。興味を持った方は、自分に合った電力会社を探してみましょう。
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供給される電気は大手電力会社も新電力も同じ
「電力自由化で停電するリスクは増えないの?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、供給される電気は大手電力会社も新電力も同じです。上述したように、電気の供給を担う送電・配電は、現在も各エリアの大手電力会社のグループ会社が行っています。そのため、停電のリスクは変わりません。
電線や電柱の故障対応なども、送電会社が担っています。電気を安定供給するための体制は、これまでと変わらないのです。
大手電力会社や新電力から自分に合った会社を選ぼう
本記事では、大手電力会社10社の紹介や電気事業の歴史について、ご紹介してきました。
電力自由化によって、現在は、大手電力会社だけではなく、様々な電力会社から電気料金プランを選べます。各電力会社、さまざまな料金設定のプランを提供しているので、賢く選べば電気代の節約につながるでしょう。
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