電気のプロによる電力自由化むけ電気料金プラン徹底比較!東京で一番安いプランは……
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2016年4月から始まる電力自由化。各社のCMも始まり、連日テレビや新聞、雑誌を賑わしていますよね。
なんとなく予想はできていたのですが、参入企業が多すぎて、何を選べばいいかわかりません。私は、エネチェンジ編集部で電力自由化の勉強を日々しているのですが……それでも混乱します。自分の家の電気を選ぶのであれば、エネチェンジ電力比較を使って決めればいいんですけど。こんな仕事をしているので、実家や友人から聞かれるわけです。
これは困ったな〜ということで、ぼーっとしていたら、ひらめきました!うちには電力オタクがたくさんいたじゃないか!!
というわけで、テレビでもお馴染みの巻口顧問と、自他ともに認める電気オタクの草間編集長、エネチェンジ電力比較を作り上げている電気プランマスターこと白木CTOに聞いてみました。
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で、結局どの電気料金プランがいいんですか?
なお、この記事では40A契約を想定して色々計算しています。2人暮らしや3人家族など、電気使用量がそれなりに多い家庭をイメージして話が進みますのでご了承ください。
- 更新日
- 2016年2月25日
年間平均34,352円節約できます!
エネチェンジ電力比較診断の3人世帯を選択したシミュレーション結果で、電気代節約額1位に表示されたプランの年間節約額の平均値です。節約額はギフト券などの特典金額も含まれています(シミュレーション期間/2024年7月1日~2024年9月30日)
電力自由化のせいで、電気料金プランが複雑化、選ぶのに一苦労
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エネチェンジでは、25社148プランを比較できるんですよ!
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素人的な発言になっちゃいますが……多すぎて覚えられません(笑)
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ここまで多いと困っちゃうよねー正直。テレビとか講演会でも「結局、どれがいいの?」って聞かれるんだよ。
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実はですねぇ、各社の電気料金プランを密かに研究してみたんですよ。フフフ
電気料金プランには2つの型がある!
草間編集長いわく、単価は各社違いがあるけれども、電力自由化のプランには2つの基本的な型があるとのこと。もちろん、セット割だの○○kWhまでは定額だの……プラン数は山程あるんです。ただ、定額とか夜だけ安いプランって、全員に対してのプランではありません。
基本的なプランということでいうと……
基本料金を含めて考えたときに、
- ある一定のラインからkWhあたりの支払い電気料金があがるプラン(グラフにするとレ点みたいになる)
- 1,000kWhまで使ったとしても、kWhあたりの支払い電気料金が右肩さがりになるプラン(グラフはなだらかに右肩さがり)
グラフでかくとこんな感じです。
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あれ?なんでレ点になるんですか?
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それはね……
まずは基本から!東京電力の従量電灯Bを理解しよう
「電気代を比較したい!安くしたい!」そのためには、今の電気料金の仕組みを知らないと比較できません。東京電力の従量電灯Bを大解剖しちゃいますよ。
従量電灯Bは
- 基本料金+電気使用量+その他
という3つの料金で構成されています。基本料金は契約アンペア数で決まり、電気使用量については、使った分だけ計算されて請求、その他というのは、燃料調整費などの全員に同じ金額がかかっている部分です。
電力自由化の電気料金プランを比較するには、電気使用量の部分を理解する必要があります。2016年2月現在、東京電力・従量電灯Bの単価はこんな感じです。
区分 | 単位 | 料金(税込) | |
---|---|---|---|
基本料金 | 10A | 1契約 | 280円80銭 |
15A | 421円20銭 | ||
20A | 561円60銭 | ||
30A | 842円40銭 | ||
40A | 1123円20銭 | ||
50A | 1404円00銭 | ||
60A | 1684円80銭 | ||
電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWh | 19円52銭 |
121kWh〜300kWh | 26円00銭 | ||
301kWh〜 | 30円02銭 |
電力使用量の単価をグラフにしてみましょう。
こうしてみると、3段階料金というのが理解できますよね。
今まで電気代というのは、電力会社の申請のもと、国が審査をして単価を決めていました。「ナショナル・ミニマム」という考え方のもと、最低限必要となる電気を安く供給してくれていたのです。一方で、たくさん電気を使う人にはちょっと高い単価でのお支払いをお願いしていたという!
三段階料金制度とは、省エネルギー推進などの目的から、昭和49年6月に採用したもので、電気のご使用量に応じて、料金単価に格差を設けた制度のことです。第1段階は、ナショナル・ミニマム(国が保障すべき最低生活水準)の考え方を導入した比較的低い料金、第2段階は標準的なご家庭の1か月のご使用量をふまえた平均的な料金、第3段階はやや割高な料金となっています。
今度は、基本料金を含めて、kWhあたりの電気代支払額(以下、「電気の値段」と表記します)のグラフを書いてみましょう。電気を使う人の方が、電気の値段が高くなっていくんです。第3段階のはじまり(300kWh)が分岐点となって、グラフが右肩あがりになってますよね?
ビックリですよね。知らなかったなー。みなさんも、知らなかったでしょう?
電力会社の代表的な電気料金プランを可視化してみよう
草間編集長がつくってくれた、電気料金単価の表をみてみましょう!
うん、何かわからなくない!電気の値段のグラフもチェックしましょう!
おっと……これは……
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えーっと……線が多すぎてわかりません。
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だよねぇ(笑)
電力自由化プランの2つの型って?
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従量電灯の仕組みは、なんとなくわかりました。でも、各社「従量電灯B」と同じような3段階設定になってますよね?何か違うのですか?
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同じ3段階でも、第2段階から第3段階の単価の値上げ幅によって、違いが生まれるんだよ!これみて!ほら!
型1:東京電力の従量電灯Bと同じ形で単価を安くしているプラン
全部の会社を1つのグラフにすると、大変なことになるので、ここではHTBエナジー(HIS)を例にしますよ。HISの謳い文句は「5%割引を保証します!」というやつです。基本料金も3段階料金も、全体的に割り引きますというものです。グラフに表すとこんな感じで、東京電力の従量電灯Bと同じ形をなぞってますよね。300kWhを境に、電気の値段はあがっていくのです。
型2:たくさん使えば使うほど単価がさがるプラン
この型の例として、東京ガスの「ずっとも1」を紹介しましょう。東京ガスは非常に攻めの姿勢を見せており、まだ自由化が始まっていないにもかかわらず2月1日に単価改定(値下げ)をしています。すごいですよね。
東京ガスのずっともプランの場合、第1段階から第3段階の単価の値上げ幅が非常に小さいのです。第1段階と第2段階は大差ないし、第3段階も単価があがっているとはいえ、東京電力に比べるとそこまで大幅に単価アップはしていません。
このような単価設定になると、電気の値段を計算しても、型1にようにレ点のグラフになることはないんです。1カ月に1,000kWh使ったとしても、電気の値段は右肩下がり。
電気使用量400kWhを境目にお得な電気料金プランが変わる!
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つまり、どういうことですか?
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使用量が多い人は、型2の方がいいけど、あまり使わない人は型1のプランのほうがいいってことだね。
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確かに、この3社だけで比較すると400kWhで入れ替わってますね。
具体例としてあげた
- 東京電力・従量電灯B
- HTBエナジー(東京電力管内)
- 東京ガス・ずっとも1
の3社をまとめてみてみましょう。確かに、400kWhを境に電気の値段が安い電気料金プランが変わるんです。1つの会社だけのプランをみているだけでは、ここまではわかりません。各社が東京電力・従量電灯Bと比較しするどのくらいお得かを試算していますが、それとは着目点が違います。
こうして可視化してみると、何kWhをひとつの区切れ目にして考えればいいかがわかるので、自分に置き換えたときに判断しやすくなりますね。ただ、作るのが大変なので(笑)エネチェンジ電力比較がお手伝いしますよ!
3社の電気の値段を比較したグラフの読み方
東京電力・従量電灯Bの赤い線に対して、HTBエナジーの青い線は、電気使用量が少なければ基本ずっと下にいます。つまり、電気の値段はどの使用量であっても、HITBエナジーの方が安いということです。
一方、東京ガスの「ずっとも1」は、電気使用量が少ないと東京電力の従量電灯Bより高い。それが、300kWhを境に電気の値段の安さが入れ替わり、400kWhを少し超えたところでHTBエナジーよりも安くなっていきます。それ以降は、東京ガスがダントツで電気の値段が安いですよね。
2月時点でお得な電力会社・電気料金プランはこれだ!
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すごく単純に言うと、40A契約の場合は、「電気の値段」のグラフで一番下の線の会社が、お得ってことですよね?
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まぁ、すごく簡単に言うと、そういうことになるよね。もちろん条件はあるけどね。
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一旦、何も考えずに簡単にシンプルにしましょう!というわけで……
単身世帯〜2人暮らしで電気はあまり使わない家庭は、HTBエナジーが◎
電力自由化は、電気を多く使う家庭にお得というイメージを持っている人も多いですよね。それも確かに当たっていて、各社の電気使用量単価をみてみると、第3段階で格安の値段設定にしている会社も多いのです。今回の座談会では40Aの家庭を例に計算していますが、30Aや20A契約のひとり暮らしやDINKSの場合、東電のままがいいのでしょうか?
そんなことはありませんよ!
電気の値段でもとりあげたHTBエナジーは、一律5%割り安を保証しているので、契約アンペアや使用量にかかわらず安くなります!「旅行いかないけど?」という人もいるでしょうが、キャンペーンの国内旅行1,000円割引を抜きにして考えても、電気代を安くすることができます。
一人暮らしやDINKSの人が注目した方がいいポイント
- 定額割引があるか?
- 基本料金が安いか?
- 第1段階の料金単価が安いか?
この3つの条件のどれか1つに当てはまれば、安くなる可能性があるので、検討の余地ありです。HTBエナジーの場合は、定額割引があるから安くなるというわけですね。
月間の使用量が350kWhを超える家庭はミツウロコグリーンエネルギー
電気を多く使う家庭は、型2の電気の値段が下がり続けるプランがお得ですよ!2016年25日時点で発表されているプランの中で、一番安い電気料金プランはミツウロコグリーンエネルギー。
企業名を聞いたことがない人もいると思いますが、発電所も持っているし、商業ビルなどにも電力供給の実績がある会社です。バイオマスや太陽光などの再生可能エネルギーも扱っています。でも、ここの電気は100%再生可能エネルギーというわけではありません。火力なども含めた電力を調達して、私たちに供給してくれます。
auユーザーは「auでんき」にしないともったいない!
鬼ちゃんのCMでも注目を浴びている「auでんき」。割引ではなく、auWALLETへのキャッシュバックですが、請求額にあわせて1〜5%のキャッシュバックが必ずあるので、現状よりも高くなることはありませんね。
編集部的には、auが提供予定の「でんきアプリ」も使い勝手が良さそうで注目しています。
一人1台スマホを持っている時代、家族みんなでauの人もいると多いでしょう。auでんきは電気使用量が多いほどキャッシュバック率が高くなるので、電気代が高い家族にはオススメできますよ。
auのスマホを持っている一人暮らしさんの場合は、HTBエナジーの方が安くなる可能性が高いので、しっかりと比較を!
トリプルセット割を使えるなら東京ガスはあり!
東京ガスの電気料金プランが気になる人もいますよね。東京ガスをもともと使っているから、電気をそっちにまとめるという動きです。
確かに、東京ガスはCMによるプロモーションも積極的だし、2月1日に料金改定を実施するという動きの早さ。なんだか一般消費者に寄り添っている感じがしますよね。でも全体で比較してみると、全員にメリットがあるわけではありません。
- セット割をつけずに、東京ガスの「ずっとも1」を契約した場合
- 月の350kWh以上使用しないとお得になりません
- 電気とガスで東京ガス「ずっとも1(ガスセット割)」を契約した場合
- 月に200kWh以上使用するとお得になります
- 電気・ガス・インターネットの東京ガス「ずっとも1(トリプルセット割)」を契約した場合
- 月の使用量が200kWhより少なくてもお得になります
つまり、ひとり暮らしの人がトリプルセット割を申し込めば電気代を安くすることはできるけど、ガスと電気のセットだけでは月によっては東電の従量Bより割高になってしまうということです。ガスと電気のみをセットにする場合は、過去1年の検針票を見直して月の使用量が200kWh以上であることを確認してから申し込みを。もちろん、エネチェンジ電力比較を使った比較も◎
参考までに、私は二人暮らしで消費電力の大きな浴室乾燥機をガンガン使うのですが、それでも2016年2月の電気使用量は360kWhです。エアコンを使わなかった2015年6月は150kWh。私が東京ガスの「ずっとも1(ガスセット割)」に変更すると、時期によっては割高になるってことです。
ガスパッチョと電パッチョが好きなので「変えちゃおうかな〜」と思っていたのですが……気づいてよかった。
ソフトバンクでんきは……少なくとも一人暮らしさんにはオススメしない
注目されている新電力でも「ソフトバンクでんき」が気になる人、いますよね?
東京電力管内に限っていうと、ソフトバンクでんきは300kWh以上の電気を使用する家庭にしかオススメはできません。しかも、「おうち割」(ソフトバンクの携帯電話もしくは固定通信サービスとのセット割)で契約して、やっと東京電力の従量電灯Bよりお得になります。
ちなみに、ソフトバンクでんきは、東京電力管内においては東京電力と提携したプランを出しています。そのため、あまり目立たないんですね。
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でも、ソフトバンクでんきは関西エリアに住んでいる人には、すごくオトク感があるはず。
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さすがプランマスター!住むエリアで本当に変わるんですね。
300〜400kWhの電気使用量だと、お得な会社が激しく入れ替わる
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「電気の値段」のグラフをみていると、かなり入れ替わりが激しいというか、大混戦してますよね。しかも数銭円の差です。今はA社が一番お得でも、料金改定とかそれこそ家族が増えたり減ったりしたら、お得なプランはすぐ変わるってこと?
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だから自分のライフスタイルに合わせて選ばないといけないんだよ。
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電力自由化が始まったら、電力会社や電気料金プランを定期的に見直さないといけない。家族構成が変わったら、当然電気料金プランも見直すべき。そういう時代になるんだよね。
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面倒ですね……
あと1カ月ちょっとで電力自由化が始まりますが、みなさん1回電気料金プラン選びをしたら、それで終わりだと思っていませんか?
- 引越しをする(新居での電力会社選びは必須です!)
- 家族が増えた、減った
- 生活スタイルが変わる(仕事を辞めた、自宅で起業した……など)
- 大きな家電を買い換えた(洗濯機やエアコンなどの消費電力の大きい家電)
- オール電化にリフォームした
保険と一緒ですね。電気料金も定期的に見直す必要があります。情報のアンテナを張りつつ、1年に1回、おうちの電気代を真剣に考える日を作ってもいいかもしれません。
自分だけで調べるのは正直大変、だからプロの手を借りて電力会社選びを
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てゆーか、こんなグラフ作ったりとか、自分じゃできないです。というか面倒くさい……
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これは一般の人が自力でやるのは無理だよね。
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セット割があるとかなり変わるから、エネチェンジ電力比較はセット割の情報も加味( ー`дー´)キリッ
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(自社ですけど)すごいなー。普通に便利ですよね。
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頑張って、エネチェンジが便利だってことを広めていきたいよね。
電気代は毎月かかるものだから、会社のイメージだけで選ぶものではありません。好き嫌いもあるでしょうが、自分にとってメリットが大きい電力会社・電気料金プランが何かを知ったうえで、しっかりと選ぶことが大切です。エネチェンジは、少しでもアナタの力になるため、セット割も加味した電気料金シミュレーションを提供しています。アナタにとって最適な電気料金プランを比較検討できるサービスエネチェンジ電力比較、電力自由化後の最適な電気料金プラン探しに、ぜひご活用ください!