水道料金を劇的に節約するために知っておきたい全知識
この記事の目次
普段あまり意識することのない水道料金、具体的な請求内容について十分ご存知でしょうか。水道料金の基本料金を規定する「口径サイズ」や段階的に単価が上がる「従量料金」など、ふと考えれば疑問に思うこと、たくさんあると思います。
今回は水道料金について説明していきます。
また、お得情報としての「節水法や節約グッズ」、「水道料金の地域差」から「引っ越し時の手続き方法」など、お役立ち情報を盛りだくさんでご紹介いたします。
水道料金の計算方法
普段、特に意識することなく支払っている水道料金。その計算方法を、改めて見てみましょう。
水道料金の計算方法は?
水道料金は基本的には以下のような料金の合計によって成り立ち、通常2カ月に一度検針されて請求されます。
- 水道料金
- (基本料金 + 従量料金)×1.08(消費税率)
また、地域によってはメーター使用料(量水器使用料)を請求する場合もあります。これらは各水道局の料金設定ですので、損をしている、得をしているということではありません。その地域の必要な設備経費をどういう切り口で徴収しているかに過ぎないからです。水道メーター代が徴収されないのであれば、その分基本料金にその経費を組み込んでいるという仕組みとなります。
基本料金の計算方法
まずは「基本料金」について見てみましょう。こちらは、使用の有無にかかわらず、契約している限り請求されるものです。ただし、ある一定分量まではこの基本料金内で使用でき、超えた分から従量料金として請求されるのが主流です。
この基本料金は自宅に引き込まれる水道管の太さ「口径」という基準に従って、請求額が異なってきます。簡単に述べると、「太い配管で水を引くほど多くの水が担保できるとため、基本使用料も高くなる」仕組みです。下図をご覧ください。
一般的に水は道路の下を流れる「配水本管」から各ご家庭へと届けられます。この「配水本管」から引き込んでくる「引き込み管」ですが、この配管の「口径サイズ」が各ご家庭によって多少異なっています。
口径と基本料金の関係
以下は、東京都23区の口径毎の水道料金の基本料金です。ご覧いただければ分かる通り、口径が太くなればなるほど、基本料金が高くなっていきます。
口径毎の水道料金の基本料金 [使用に関わらず契約していることで請求されるもの]
口径サイズ | 13mm | 20mm | 25mm | 30mm | 40mm |
---|---|---|---|---|---|
基本料金 | 860 円 | 1,170 円 | 1,460 円 | 3,435 円 | 6,865 円 |
参照:東京都水道局
1世帯での一般的な契約の場合、かつては13mm口径の契約が多く、最近では20mmが主流となってきています。また2世帯住宅であれば、25mm口径で水を引き込むことが一般的です。大抵のご家庭では、これら13mm、20mm、25mmのいずれかに該当するはずです。検針票に記載されていますので確認してみると良いでしょう。
この13mmと20mmの口径、例えば同地域にあるそれぞれのご家庭で同時に台所の蛇口をひねっても、この2つの水圧にそれほど個体差があるわけではありません。ただし、お風呂でお湯を使用しながら台所で炊事をしている場合など、ご家庭の総使用量が増えている時には、口径の細い契約であればあるほど(13mmの契約の場合ほど)、水圧の低下という影響を受けやすくなります。
よって、複数の蛇口使用が高い頻度で行なわれる場合には、引き込み管の口径を太くすることで安定供給をしていくという選択になります。
なお、引き込み管の口径を小さくして契約上の利用料金を下げることを検討される場合もありますが、引き込み管を配水本管の接続部から丸ごと取り変える場合と、途中の分岐箇所から取り変えれば済む場合とでは費用が異なります(丸ごと取り替える場合では50万円程の金額を要することもあります)。
安易に口径サイズを変えることが必ずしも節約に繋がるとは限らないことを理解した上で、必要があれば管轄の水道局に相談してみると良いでしょう。
従量料金(使用するほどに段階的に料金が上がる累進制)の計算方法
契約しているだけで必要となってくる基本料金とは異なり、使用した量に対して料金が加算されていくのが、ここから解説する「従量料金」です。実質、水道料金が増えたり減ったりするのは、この使用量の増減に対する従量料金の設定に因るものです。
水道の従量料金の設定は、「生活に必要不可欠な分については単価を低く設定しよう」という考えがベースになっていますので、以下の表(東京都23区の例)にあるように、使用量が少なければ少ないほど1㎥ごとに課金される単価も低くなっています。
1㎤毎の水道料金(上水1ヵ月分)[使用量に応じて請求されるもの]
使用量 | 1~5 ㎥ | 6~10 ㎥ | 11~20 ㎥ | 21~30 ㎥ | 31~50 ㎥ | 51~100 ㎥ | 101~200 ㎥ | 201~1000 ㎥ | 1000 ㎥ ~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 ㎥毎の単価 | 0 円 | 22 円 / ㎥ | 128 円 / ㎥ | 163 円 / ㎥ | 202 円 / ㎥ | 213 円 / ㎥ | 298 円 / ㎥ | 372 円 / ㎥ | 404 円 / ㎥ |
参照:東京都水道局
例えば、都内で当月に12㎥の利用をしている時点では、その1㎥は128円という単価で請求されますが、その月に更に33㎥にまで利用が到達している時点では、同じ1㎥の使用であってもおよそ1.5倍の202円で請求されることになります。つまり使えば使うほど、段階的にその水1㎤あたりの単価が高くなる仕組みで、このようなものを「累進制」呼んでいます。
世帯人員別の1か月当たりの平均使用水量
以下に世帯人員別の1か月当たりの平均使用水量(東京都水道局)を参考資料として掲載させていただきます。上記の表と併せて考えますと、例えば一人暮らしであれば、10㎥以内に抑えることが「無駄遣いをしない」という一つの大きな目安だとわかります。
出典:東京都水道局
水道料金と併せて知っておきたい!下水道料金の計算方法
水道料金と併せて下水道料金の計算方法についても確認しておきましょう。計算式は以下の通りです。
- 下水道使用料金
- 基本料金+超過料金
ある一定水量までを基本料金として設定し、超過分に対して課金されていく契約が主流です。
下記の表をご覧ください。東京都23区の例になりますが、0~8㎥までの使用については、使用水量に関わらず560円と設定されています。1㎥毎の単価レベルに置き換えると70/㎥相当ですので、9~20㎥の時の110円/㎥単価と比較しても、下水量が多くなるほど高単価になる累進制の考え方は、水道の使用料の場合と同じと言えます。
下水道料金(1ヵ月分)(東京都23区 平成10年6月1日から適用されている価格)
排水量 | 0~8㎥ | 9~20㎥ | 21~30㎥ | 31~50㎥ | 51~100㎥ | 101~200㎥ | 201~500㎥ | 501~1000㎥ | 1000㎥~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1㎥毎の単価 | 560円 | 110円/㎥ | 140円/㎥ | 170円/㎥ | 200円/㎥ | 230円/㎥ | 270円/㎥ | 310/㎥ | 404円/㎥ |
参照:東京都水道局
ただし、利用が無くても560円は請求される仕組みとなっており、この下水の基本料があまり厳密に明記されていないために時に誤解を生みます。東京都水道局の2ケ月毎の検針票では、下水道の基本料金に該当する箇所に560円×2の計算から1,120円という金額が記載されていますが、ホームページ上の下水料金表を見ますと、基本料金という文言はなく、上記の表に近い形の記載に留まっています。
このようなことで、例えば旅行や長期の帰省などで「水は一滴も使用していないはずなのにどうしてこんなに請求されているのだろうか」という疑問が生まれます。2カ月毎の請求であることも余計に混乱を招く要因ですが、おそらくは「上水の基本使用料」と「下水の実質的基本使用料」の総和に因るものと考えられます。
上下水道料金の全国平均は?
ここまで上下水道料金それぞれについて計算方法を説明してきました。
では、水道料金の平均はどのくらいなのでしょうか?総務省統計局「家計調査(家計収支編)」のデータによると、1世帯あたりの上下水道料金の全国平均は毎月約5000円程度だそうです(二人以上の世帯)。
水道料金の節約術
水道料金の計算方法や平均を知って頂いたところで、水道料金を劇的に節約するための、節水テクニックを見ていきましょう。もし、現在の水道料金が先ほど記載した平均額を大きく上回る状況であれば、ここで記載する方法を試して頂くことで劇的に水道料金が安くなることでしょう。
よく水が使われる場所は?
水道料金を節約するにあたり、まずは家庭でよく水が使われる場所を知っておきましょう。
東京都水道局のデータを参考にすると、一般的に家庭で一人が1日に使う水の量は、平均224リットル程度とされていて、その内訳は以下のようになっています。
出典:東京都水道局
平成24年度の調査時点では、「お風呂」で使用される割合がダントツで高いとされています。平成18年度の同実態調査では、トイレが28%(1位)、風呂が24%(2位)と逆になっていたことを考えると、トイレで流すために必要となる水量についての各メーカーの企業努力や、浴槽サイズが大きくなってきている近年のライフスタイルの変化が見てとれます。
一般的にお風呂の浴槽には200L ~250Lの水が使用され、シャワーなどで使われる分も含めると250Lから300Lが必要になるとされます。このことから、お風呂で使用する水(お湯)の量を減らしていくことは、一番節約効果が高いと判断できます。
それでは、具体的に水道料金の節約方法をみていきましょう。
「お風呂」のお湯の入れ替え頻度を調節して節約
先にも述べたようにお風呂と言えば「浴槽のお湯」です。各家庭文化や生活習慣もありますので、これまで2日に1回お湯を変えていたご家庭で突然1週間変えないことはまず不可能でしょう。
それでも2日に1回の場合であれば、3日に1回にするなど、「できる範囲の調整」をすると、以下のように月に1,000Lの水の使用を抑えることができます。
- 2日に1回浴槽のお湯を入れ替える場合
- 200L×15回=3,000L
- 3日に1回浴槽のお湯を入れ替える場合
- 200L×10回=2,000L
1㎥=1,000Lですので、毎月1㎥の減水となり、先に説明させていただいたように、東京都水道局の単価に当てはめても、おおよそ月に100円から200円の節約効果となります。
「お風呂」での節水シャワーヘッドを使った節約
ホームセンターなどで目にしたことがある方も多いだろうと思いますが、節水用のシャワーヘッドを利用すれば、同じ時間水を出し続けても水の使用量をぐっと抑えることができます。
頭をシャワーで洗って流す人であれば、シャンプーを流し切るという事実よりも、一連の作業として無意識的に一定時間シャワーを当てている場合も多いようです。このことから、実質的に頭に当たるお湯の総量を多少減らしても満足感は特に変わらないと考えることもできます。
もちろん、水圧にこだわる人もいますので一概に言えませんが、各メーカーも水圧に違和感を覚えないような製品作りをしていますし、数千円で購入できるものですので一度試してみるのも一つです。
「トイレ」での洗浄水量を意識する
「トイレの水」についても考えてみましょう。各ご家庭で設置されているトイレのメーカーにもよりますが、小と大で流す水量を使い分けられるタイプのものでしたら、きっちりとそこを意識するだけでも、水道料金節約に良い影響を与えます。
人によっては、毎回「大」で流す習慣が身についている人もいますので、特に一人暮らしでなく世帯数が多ければ多いほど、家族全員がきっちりと意識するとその効果も大きくなります。
また旧式のトイレは昨今の節水タイプのものと違い、一回流すための水量が大幅に異なっています。TOTOのデータによりますと、例えば1994年製のもので10L近く必要だった大洗浄水量は、2012年製で3.8Lの水量で流せるまでに進化しています。
出典:TOTOホームページ
このようなことから、何十年も前のトイレを大家族でそのまま使用している場合などは、最新式のものに取り換えるだけでも、かなりの水道料金の節約効果が期待できるということがわかります。
他にもトイレの水の補給量を都度調整する節水グッズなど、探せば色々と見つけることができます。「トイレ 節水グッズ」などで検索して試してみるのも一つの方法です。
「炊事」での水の使用量を考える
次に「台所で使われる水」についても考えてみます。基本的に炊事で調整できる水の量と言えば、「洗いもの」だと考えていいでしょう。
導入できる環境であれば、「食器洗い機」は長期的に考えて水道料金を節約することができるお得なものと言えます。パナソニックの最新式のもので(NP-45KS7Wシリーズ)、手洗いとの使用水量と比較すると「約9分の1」に抑えることができるとされています
もちろん、節水以外にも洗いものに取られる時間の節約、手荒れの防止にも役立ちますので、費用対効果は総合的にも高いものだと言えます。
「食器洗い機」を導入できない環境であっても、台所の蛇口に「節水アダプター」を付けることで、かなりの節水効果が期待できます。節水意識の高まりからも安価で様々な商品が出ており、40%から50%の節水効果が期待できると言われていますので、お安く手軽な節水グッズとしてはお勧めです。
また、食器を洗う時に「流し洗い」でなく「ため洗い」を強く習慣づけることも大切です。「流しっぱなし」で洗うことに慣れている方であれば、少し意識してみるだけでも水の使用量は変わってきますので、心がけていただければと思います。
水道料金の支払方法
水道料金の支払い方法についても確認しておきましょう。
水道料金の支払い方法
水道料金は基本的には地域の管轄の水道局(各事業体)により請求されるものです。通常「口座振替」や「クレジットカード払い」、「請求書による支払」などがありますが、水道局によってはクレジットカード払いには未対応の場合などもあります。
これらは各事業体によって異なってきますので、支払方法の変更なども含め、疑問がある時は管轄の水道局のホームページや、直接電話をするなどして確認すると良いでしょう。
中には東京都水道局のように、口座振替によるお支払いについては、月50円の割引が適用される場合などもあります。お得で便利なお支払方法をご自身の環境に合わせてお選びください。
水道料金の確認方法
東京都水道局の「東京水道マイネット」や横浜市の「インターネット料金照会サービス」など、最近では過去の請求額と水道使用量がインターネットで確認できるサービスが広がり始めています。
それぞれの管轄の水道局によって異なりますが、過去の「水道使用量」をより身近に視覚化できるので、利用可能な場合は節水の動機付けとしても良い影響を与えてくれます。これらは、電気やガスのネット照会サービスと同様に無料で利用できるものですので、サービスを行なっている水道局であれば登録して利用することをお勧めします。
引越し時の水道の手続きの方法は?
引越しをする場合の各手続きの大原則は、「余裕を持って手続きをする」ことです。お役所や行政が絡む手続きほど、即日対応が困難なためです。
さて、引越しの際の水道手続きでは、現住所での「水道の使用中止」と、引越し先での「水道の使用開始」という2つの手続きを行なうことになります。
水道の使用中止(閉栓)[現在の居住地]
1~2週間前までに手続きを済ませておくと安心できます。連絡先は、水道料金の領収書や検針票に記載されていますので、そちらに連絡をして以下のような内容をお伝えすることになります。
- お客様番号
- 契約者氏名
- 水道使用を中止する居住地の住所
- 連絡先電話番号
- 使用中止の希望日(引越し予定日)
- 最終の水道料金の精算について
- 引越し先の住所
なお、引越し先の住所も同じ水道局管轄であれば、その引越し先での使用開始希望日をこの時に併せて連絡してください。同じ水道局であれば、支払い方法もそのまま引き継げる場合などもありますので、確認すると良いでしょう。
忙しい場合であっても、連絡は遅くても3日前には終わらせておくようにしましょう。最終料金の支払も含め、引越し当日には係員による閉栓作業に立ち合う必要があることから、前日に連絡して対応していただけるとは限りません。「余裕をもって」を心がけてください。
最終の精算については、退出時までの料金を日割り計算して支払います。現金での現地精算が主流ですので当日にある程度のお金はご用意ください。
ただし、これまで口座振替やクレジットカード払いをしてきた場合は、そのまま最終料金も通常サイクルで支払って完了となる場合もあります。また、状況により最終の請求書を新住所へ送付してもらえる場合もありますので、このあたりも「水道の使用中止の連絡」の時に確認しておくと良いでしょう。
水道の使用開始(開栓)[新しい居住地]
新しい住所で水道の使用するためには、閉栓依頼と同様、事前の連絡が必要になります。新住所での管轄の水道局を市役所で事前に確認するなどして、こちらも1週間前くらいまでには連絡を完了しておきましょう。
使用開始の場合については、引越し当日の係員の立ち合いは必要ありません。事前の連絡がされていれば、蛇口をひねることで水が出るようになっているはずです。
もし連絡ができているはずなのに水が出ない場合については、水道メーターの止水栓を左に回すことで使用できるはずです。この止水栓、通常は水道メーターの横についていますが、地域的な違いや集合住宅などの環境により形状も異なります。こちらでは参考として、東京都水道局のHPより該当画像を掲載させていただきます。
出典:東京都水道局
さて蛇口からの水を確認できた後は、「水道使用開始申込書」に氏名、住所、使用開始日など、必要項目を記入して投函することを忘れないでください。通常、この「水道使用開始申込書」は玄関のポストや郵便受けに置かれているはずです。
契約上必要なものになりますので、見つからない場合については必ず水道局に連絡するようにしてください。また、支払方法については、割引特典などの可能性もありますので、各水道局のホームページなどを確認してから選択すると良いでしょう。
さて、引越しが完了すると新居での生活が始まります。これまでとは別の居住空間ですので、「節水」などを習慣づけるのにもとても良い機会になります。このタイミングで節水グッズなども取り入れながら、限られた水資源と賢いお付き合いができるようにしてください。
豆知識として知っておきたい!地域別の水道料金の単価
最後に、豆知識として地域別の水道料金の単価について説明していきます。
水道料金の格差の背景
水道料金の単価は管轄する水道局(事業体)によってそれぞれ違ってきます。これはそれぞれの設備や水源との距離、水質などにより必要経費も異なるためです。
上水道について考えた時、水の綺麗な地域であれば、ろ過や消毒の手間が少なくて済みます。水が豊富な環境は当然供給に有利ですし、立地条件によってポンプの使われ方も変わってきます。
また人口密度も設備費用の負担という観点で大きな関係があります。都会であれば水質が悪いことで浄化コストがかかることがイメージされますが、人口密度がその負担を補えるというメリットもあります。
配管の老朽化にどのタイミングで対応していくのかという行政的視点も水道料金に影響を与えていきます。これらの要素が総合的に絡み合い、その地域の水道単価が決定されていくのです。
一方、下水道に関しては、汚水として流れるものはどの地域でもそれほど大差がありません。ということは、人口が密集していて下水道が整備されている都会ほど請求単価に有利に働くことが想像できます。
逆に、田舎など広範囲に民家が点在する場合、一つの下水道に対する使用頻度も低下します。設備負担割合は必然的に高くなり、結果的に上水に近い料金で下水料が徴収されたりもします。
基本的には「上水道の単価>下水道の単価」という図式になりますが、上水が極端に安い地域であれば、諸条件により単価の逆転現象も起こります。以下に水道料金の安い地域、高い地域の例をご紹介します。逆転現象が起こっている地域もありますので参考にしてみてください。
水道料金の地域差
口径20mm契約で20㎥の使用水量をベースに、水道料金の安い地域と高い地域をいくつか取り上げてみます。2カ月検針に関連して、料金の計算法の違いもありますので、便宜上2カ月使用量を全て段階料金に当てている場合は「全従量タイプ」、単月で分割した後に合算する場合は「単月従量タイプ」と表記します。
- 水道料金単価の安い地域(口径20mm、20㎥使用での月額ベース)
上水道の基本料金が2カ月で1080円(1カ月540円)で、その中には60㎥までの水の使用が含まれています。2カ月検針のため20㎥×2カ月で40㎥と計算しても、この60㎥の基本料金内で十分収まってしまいます。よって、1カ月20㎥の上水の使用料は540円という破格の料金になります。これにメーターの使用料2カ月分237円(1カ月118円)を加えても、上水については1ヵ月658円で済む計算です。
項目 | 区分 | 計算 | 月額換算 |
---|---|---|---|
上水基本料金 | 0〜60㎥ | 2ヶ月課金 1,080円 | 1ヵ月換算540円 |
メーター使用料 | 20mm口径 | 2ヶ月課金 237円 | 1ヵ月換算118円 |
上水小計 658円 | |||
下水基本料金 | 0〜20㎥ | 2ヶ月課金 1,728円 | 1ヵ月換算 864円 |
下水超過料金 | 21〜40㎥ | 100円/㎥×20㎥+税=2,160円 | 1ヵ月換算 1,080円 |
下水小計1,944円 | |||
水道代合計2,602円 |
参照:笛吹市HP
下水については、20㎥までで2カ月基本料金が1,728円と定められています。20~40㎥までは超過料金に該当させて計算することになり、単価108円/㎥で2,160円が加わります。これらをそれぞれ、1ヵ月分に換算して算出すると1ヵ月分の下水代は1,944円となります(上水と下水の逆転現象が起きている珍しい地域の例です)。
結果、上下水道併せて1ヵ月分の水道料金は2,602円で済みますのでかなり経済的な地域です。
こちらは上水道が格安設定となっています。2カ月で950円(1カ月475円)の基本料金で20㎥までを基本料金内と定めています。同様に2カ月検針のため、翌月の20㎥については、第一段階超過分として単価45円/㎥で課金されます。この超過分が972円になり、総合的には2カ月で1,922円、1カ月961円が上水の使用料ということになります。
項目 | 区分 | 計算 | 月額換算 |
---|---|---|---|
上水基本料金 | 0 ~ 20 ㎥ | 2 ヶ月課金 950 円 | 1 ヵ月換算 475 円 |
上水従量料金 | 21 ~ 40 ㎥ | 45 円 / ㎥× 20 ㎥ + 税= 972 円 | 1 ヵ月換算 486 円 |
上水小計 961 円 | |||
下水基本料金 | 0 ~ 20 ㎥ | 2 ヶ月課金 1,900 円 | 1 ヵ月換算 950 円 |
下水超過料金 | 21 ~ 40 ㎥ | 135 円 / ㎥× 20 ㎥ + 税= 2,916 円 | 1 ヵ月換算 1,458 円 |
下水小計 2,408 円 | |||
水道代合計 3,369 円 |
参照:赤穂市HP
下水道使用料は比較的高く、20㎥までを基本料1,900円と設定。20~40㎥分については単価135円/㎥で課金され、2,916円が超過料金に該当します。これらをそれぞれ1ヵ月換算して合計すると、1ヵ月の下水料は2,408円となります(この地域も上水と下水の逆転現象の地域です)。
結果として、二つを併せた1ヵ月の上下水道料金は3,369円と算出できます。
さて、このように二つを比較すると、一見、笛吹市の芦川町の方が赤穂市よりもお得に映りますが、例えば一人暮らしで月10㎥以内の水道使用量で済むのであれば、超過分が必要ない赤穂市の方が若干割安になるとも判断できます。いずれにしても、両地域とも安い地域であることは間違いありません。
- 水道料金単価の高い地域(口径20mm、20㎥使用での月額ベース)
ニュースでも度々取り上げられて有名になった夕張市ですが、財政的な厳しさは水道料金にも影響を与えているようです。
上水の基本料金が10㎥までで月額2,946円、それ以降は超過分単価が380円/㎥ですので、11~40㎥までが11,400円、また量水器使用が月額106円となっています。これらを全て計算しますと、上水料金のみで1ヵ月につき7,279円となります。
項目 | 区分 | 計算 | 月額換算 |
---|---|---|---|
上水基本料金 | 0 ~ 10 ㎥ | 2 ヶ月課金 2,946 円 | 1 ヵ月換算 1,473 円 |
上水超過料金 | 11 ~ 40 ㎥ | 380 円 / ㎥× 30 ㎥= 11,400 円 | 1 ヵ月換算 5,700 円 |
量水器使用料 | 20mm 口径 | 月額 106 円 | |
上水小計 7,279 円 | |||
下水基本料金 | 0 ~ 10 ㎥ | 2 ヶ月課金 2,508 円 | 月額 1,254 円 |
下水超過料金 | 11 ~ 40 ㎥ | 250 円 / ㎥× 30 ㎥= 7,500 円 | 1 ヵ月換算 3,750 円 |
下水小計 5,004 円 | |||
水道代合計 1,2283 円 |
参照:夕張市HP
下水の使用料につきましては、10㎥までで2,508円、それ以降は超過分単価が250円/㎥ですので、10~40㎥までが7,500円、これらの数値から下水料金は1ヵ月につき5,004円ということになります。
総合的な月額の上下水道料金は12,283円となり、20㎥の月額水道料金であれば、通常は考えにくい高額料金であることがわかります。
- 大都会の料金(口径20mm、20㎥使用での月額ベース)
せっかくですので、東京都水道局の料金体系でも20㎥の使用料金を計算してみましょう。東京都水道局では、2カ月
検針は単月毎に再分割して段階料金に当てはめていくタイプとなります。よって40㎥分を算出する必要もなく、単純に20㎥分の料金を求めて算出しています。
結果として、1ヵ月に4,792円の上下水道料金となることがわかりました。人口密度の力でしょうか。どちらかと言えば安い印象を与える料金体系に感じます。
項目 | 区分 | 計算 | 月額換算 |
---|---|---|---|
上水基本料金 | 0 ~ 5 ㎥ | 月額 1,263 円 | |
上水超過料金 | 6 ~ 10 ㎥ | 22 円 / ㎥× 5 ㎥ + 税= 118 円 | |
11 ~ 20 ㎥ | 128 円 / ㎥× 10 ㎥ + 税= 1382 円 | ||
上水小計 2,763 円 | |||
下水基本料金 | 0 ~ 8 ㎥ | 月額 604 円 | |
下水超過料金 | 9 ~ 20 ㎥ | 110 円 / ㎥× 12 ㎥ + 税= 1,425 円 | |
下水小計 2,029 円 | |||
水道代合計 4,792 円 |
参照:東京都水道局
さて、このように水道料金が高い地域、安い地域、都会の料金設定などを見てみましたが、料金の高低を比較すると、同じ20㎥の使用量でも月に1万円近くの開きがあることがわかりました。それだけ水は「無からは作りだせない自然がもたらす限られた資源」と言えそうです。それでは、この資源をいかに無駄遣いせずに有効利用するかということについて、次項で取り扱いたいと思います。
水道料金に関するまとめ
いかがでしたでしょうか。水道料金に関する様々な内容について、水道の基礎的なところから、料金体系、計算方法の違い、単価の地域差や節約術、お支払方法に引越し手続きまで、盛りだくさんの内容でお伝え致しました。これらは水道利用や料金に関する完全マニュアルのようなものですので、ふと気になった時に都度ご確認いただければと思います。
お勧めの情報としては、やはり節水に関する項目です。ページを閉じる前にもう一度、節約術として紹介した「お風呂の水の入れ替え日調整」や「シャワーノズルの活用」など、「限られた資源との上手なお付き合い」をイメージしていただき、日々の生活に取り入れていただければ幸いです。