開業のスタイル

トリミングサロンを開業する際、どのようなスタイルで開業するかをまず考えてみましょう。大まかに分けて、次の6パターンがあります。

ペット美容専業店（ペットサロン）

トリミングを主に行います。その他にも、物販、ペットホテルなど多角的にペットに関するサービスを付け加えているサロンも多いです。サービス内容をトリミングだけにしぼれば、比較的低資金で開業することも可能となっています。

自宅開業

自宅の一部を改造して、トリミングサロンにするスタイルです。ペットを飼っている家が多い地域なら、「ご近所のトリミングサロン」として大きな需要が得られるチャンスかもしれません。

移動トリミング

ワゴン車等、広い車を改造して、車の中でトリミングを行うタイプのサロンです。スーパー、ホームセンターなど、人が集まる場所の一角で営業することができれば、集客にもつながでしょう。

訪問トリミング

ペットを飼っているご家庭に訪問し、トリミングのサービスを提供するスタイルです。飼い主・ペットが高齢で外に出るのが難しい場合、このスタイルは需要があるでしょう。

動物病院に併設

病気の治療、ワクチン接種等の医療サービスを受けに来た飼い主を顧客として取り込むことができます。

ペットショップに併設

ペットの販売から美容まで一貫したサービスを提供できるスタイルです。ただし、ペットショップの運営方針次第では、何かと制約がかかることも多いかもしれません。そのあたりのすり合わせをうまく行うのがカギとなるでしょう。

どのスタイルを選ぶかによって、初期投資費用もかなり変わってきます。「自分は何がしたいのか？今の自分にできることは何か？」を考え、最も適した開業スタイルを選ぶといいでしょう。最初は移動、訪問トリミングなど低資金で始められるスタイルで開業し、資金が貯まったところで自宅、独立サロンを構えるという計画もいいかもしれません。

立地

独立サロンで開業する計画を立てている場合、一番気にしてほしいのは「立地」です。つまり、どこにサロンを構えるか、ということです。立地の選び方で、開業後の経営成績が決まってくると言っても過言ではありません。では、トリミングサロンの立地を考える際、ポイントとなるのはどんな点でしょうか？いくつかあげてみましょう。

居住人口・世帯数

まず、それなりに家があって、人が住んでいるのが絶対条件です。また、その家（マンションなど集合住宅等）はペット可の物件かどうかも大きなポイントとなります。立地を考えるときは、周囲にペット可の物件がどれだけあるかにも注目しましょう。

交通量

言い換えれば、人通りが多いかどうかです。人通りが多ければ、それなりに道行く人に気付いてもらえる確率は高まります。実際にサロンを作りたい場所に行き、交通量を見るのも大事です。

誘導施設の有無

近くに人が集まる場所があると有利です。例えば、駅、大型スーパー、ショッピングモールなどがあればいうことありません。近くに犬の散歩コースに適している公園、河川敷がある場合も、トリミングサロンの立地としては適しているでしょう。また、開発などで、人の流れが大きく変わってしまうこともあり得ます。役所の都市計画課などに出向き、将来の計画についての情報を入手するのも戦略の一つです。

車でのアクセス

トリミングサロンの近くに住んでいる人だけがお客様になるわけではありません。中には、車でペットを連れてくるお客様もいるでしょう。そういうお客様を獲得するためには、車でのアクセスが便利であることが必須条件です。駐車スペースの確保も忘れないように！

競合店の状況

ある意味、一番大事かもしれません。いくら立地が良くても、競合店とのサービスの差別化を図れなければ、お客様を獲得するのは難しいでしょう。サービスの内容を工夫する必要があります。

開業資金計画のポイント

開業資金を計画する際のポイントを考えてみましょう。一般的に、トリミングサロンを開業するにあたっては、次の費用がかかると思われます。

店舗の賃貸にかかる費用

自宅での開業、訪問・移動など無店舗型での開業を除いては、店舗を借りての開業になる場合がほとんどでしょう。開業資金のうち、大きなウエイトを占める部分ですので、気を引き締めてかかってください。なお、家賃はある程度まとまった月数分を払い込む場合がほとんどです。その他にも、仲介手数料、敷金・礼金等かかかります。

店舗改装費用

居抜き物件を使う場合は別ですが、そうでない場合、トリミングサロンを開業するにあたっては、改装を行う必要があります。先ほどの店舗の賃貸費用に加え、かなり高額の支出となるので、資金計画をしっかり立てましょう。

設備・備品の導入費用

トリミングサロンに必ず必要なものとして、ドッグバス、トリミングテーブル。ドライヤーなどが挙げられます。これらを新品で用意するか、中古で用意するかは予算次第です。また、冷暖房機器、換気・給湯・排水設備に係る費用も併せて考えましょう。

開店PRにかかる費用

チラシ、ショップカードなどを作成しましょう。また、ホームページやfacebookページなどを作成してもいいかもしれません。「自分じゃできない」という場合は、プロに任せるという選択肢もあります。

開店時に必要な消耗品にかかる費用

シャンプーなどの消耗品は、開店時までにある程度揃えておく必要があります。仕入れ先の候補をいくつか選定し、見積もりを取って比較しましょう。

その他雑費

文房具、包装資材（物販も行う場合）などがここに含まれます。

運転資金

開業してすぐにお客様が来るとは限りません。また、開業後しばらくの水道光熱費など、必ず支払分ければいけない固定費も生じます。これらの事情を考えると、ある程度の運転資金は確保する必要がありそうです。

詳しい金額は後述しますが、場合によってはかなりの出費になります。自己資金ですべてを賄うのは困難なので、融資を受ける、スポンサーを募るなどの努力も欠かさないようにしましょう。

メリットとデメリット

まず、独立店舗として開業する場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。

開業費用例～いくらあればいい？～

15坪程度の物件を賃貸し、開業する場合の費用例をまとめてみました。

メリットとデメリット

自宅の一部を改装して開業する場合のメリットとデメリットを見てみましょう。

費用がかからない

自宅で開業する場合でも、店の改装、設備導入にかかる費用はかかります。それでも、独立店舗を構えるよりはずっと安いです。

タスクを減らすことができる

もちろん、経営者であることには変わらないので、事務作業、その他の付随業務は行わなくてはいけません。しかし、独立店舗に比べれば、タスクは確実に少ないはず。家庭と仕事を両立したい、という人には自宅での開業がオススメかもしれません。

地域に根差した運営が可能

地域にペットを飼っているご家庭が多ければ、「ご近所さんの素敵なサロン」として認知してもらえる可能性が高まります。地域から愛されるサロンを目指している人は、まずは自宅開業から、という選択肢も視野に入れるといいでしょう。

サービスの多角化は難しい

将来はペットホテルや物販を拡充させたい、など、サービスの多角化を考えている人も多いかもしれません。しかし、自宅の一部である以上、スペースに制約があります。大幅なサービスの多角化は厳しいでしょう。

家族の理解が必要

家の一部を改造する、となると、家族の生活の在り方まで変わってしまいます。そのあたりについて、家族の理解が得られるかどうかが重要なポイントです。

近隣住民の理解が必要

家族だけではなく、いわゆる「ご近所さん」との関係も重視すべきポイントです。「ペットがどうしても苦手」という人がいた場合、事情を話して理解してもらうことが不可欠になります。開業を考えた段階で、一度ご挨拶にいくのを検討しましょう。

認知してもらえないリスク

自宅の一部、ということで、見た目には「ふつうの家」と思われてしまう場合が多いです。宣伝を工夫する必要があるでしょう。

トリミングサロンの開業費用例～いくらあればいい？～

自宅の10坪程度のスペースを改装してトリミングサロンを開業する場合の費用について、例をまとめてみました。

具体的な登録フロー

では、具体的にどのように手続きを行えばいいのでしょうか。

動物取扱責任者資格の取得

まず、動物取扱責任者の資格を取りましょう。都道府県が主催する講習会を終了し、申請を行えば登録完了です。

営業所の登録

動物取扱責任者の資格を取得したら、営業所の登録に移ります。登録が完了すると、動物取扱業登録証が交付されます。

営業開始後の手続き

動物取扱業登録証、動物取扱責任者の氏名を、事業所の見やすい場所に掲示しておきます。内容に変更が生じた場合、手続きを行いましょう。

詳しいことは、環境省のホームページをご覧ください。
参照:環境省「動物の愛護と適切な管理　人と動物の共生を目指して」