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石油火力の運用見直し、電力大手が相次いで着手する理由とは【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

関西電力、九州電力などの電力会社が相次いで石油火力の運用を見直しています。石油火力は発電コストが高く、発電時の温室効果ガスの排出量も見直しに影響を与えています。石油火力は、企業の省エネなどで今後大幅な電力需要の増加が見込めず、ますます縮小されているようです。

電力大手が相次いで石油火力の運用見直しに動き始めました。関西電力は4月、和歌山県海南市船尾の海南発電所を廃止するとともに、同県御坊市塩屋町の御坊発電所2号機の運転を休止します。九州電力は福岡県豊前市八屋の豊前発電所などで合計6基の廃止と休止を既に発表しました。予定通りに進めば、2019年度中に管内の石油発電がゼロになります。

石油火力は発電コストの高さが欠点です。電力需要が減少傾向にある中、運用の見直しが避けられない流れになりつつあるようです。

関西電力の海南発電所は4月で廃止

4月1日で廃止される和歌山県海南市の関西電力海南発電所。発電コストが高い石油火力の運用見直しは避けられそうもない(筆者撮影)
関西電力海南発電所は22ヘクタールの敷地に発電機4基を持ち、1970~74年に運転を開始しました。出力は4基合計で210万キロワット。高度経済成長期からバブル期にかけ、関西経済を下支えするインフラの1つとして大きな役割を果たしています。

不況や節電による電力需要の伸び悩みから、2000年代に入って運転停止されることが多くなりました。2017年からは1~3号機の運転を休止し、急な需要が発生した際の予備電源として4号機だけを稼働させていました。しかし、電力の安定供給に支障がないとして廃止に踏み切ったのです。

関西電力の発電所が廃止されるのは、2006年の兵庫県高砂市梅井の高砂発電所以来、13年ぶり。海南発電所には約80人の従業員がいますが、4月から約50人が残って廃止に向けた作業を進め、残り約30人は他の施設へ移ることになります。

御坊発電所2号機も運転休止に

和歌山県には2017年末に廃止の意向が伝えられ、県と海南市、関西電力で跡地利用などを検討していました。県企業立地課は「企業名は公表できないが、跡地への企業誘致の見通しが立ちつつある」と語りました。

仁坂吉伸和歌山県知事は「地元経済への影響を最小限にとどめられる見込みとなった。いろいろな思いはあるが、やむを得ない」とする談話を発表しています。

一方、御坊発電所2号機は1984年に運転を開始した出力60万キロワット。関西電力は「海南の廃止と御坊2号機の休止は今後の電力需給見通しや設備の老朽化などを考慮して決定した」と述べました。

原発再稼働で石油火力を見直し

関西電力の電力販売量は2017年度、1,152億キロワット時で、7年続けて減少しました。企業の省エネが進んだうえ、電力小売り自由化の影響を受けたためです。ピーク時の2010年度に1,510億キロワット時の販売実績があったのと比較すると、約24%も減っているのです。

しかも、管内では出力合計410万キロワットの原子力発電所4基が再稼働しました。稼働可能な管内の石油火力の最大出力が360万キロワットですから、すべてを廃止しても電力供給に支障がない電源を確保できたことになります。

関西電力は2018年、運転再開のめどが立たない京都府宮津市小田宿野の宮津エネルギー研究所にある石油火力2基について再稼働を事実上断念しました。

しかし、都市ガス大手の大阪ガスと激しい電力販売競争が続く一方、企業の省エネはさらに進む見通しです。大幅な電力需要の増加が見込めない中、関西電力は2020年以降、合計出力247.8万キロワットの原発3基を再稼働させる予定で、これに合わせて石油火力の運用見直しに着手したわけです。

九州電力は相浦発電所など3基を廃止へ

九州電力は2018年7月、佐賀県玄海町今村浅湖の玄海原発3、4号機が再稼働したのに伴い、管内の石油火力運用を見直しました。石油を燃料とする火力発電をすべて運転停止とする内容で、老朽化した施設の使用停止で発電効率を高める狙いも持っています。

このうち、廃止となるのは長崎県佐世保市光町の相浦発電所と豊前発電所の1号機です。相浦発電所は1973年に1号機、1976年に2号機が運転を開始しました。出力は1号機が37.5万キロワット、2号機が50万キロワットです。豊前1号機は1977年の運転開始で、50万キロワットの出力を持っています。

廃止時期は相浦発電所が2019年4月、豊前1号機が2019年度中の見通し。豊前1号機は従来の計画では、長期停止の予定でしたが、一歩踏み込んで廃止に切り替えました。

豊前2号機など3基も運転休止に

運転休止となるのは豊前発電所の2号機と鹿児島県薩摩川内市港町の川内発電所です。豊前2号機は1980年に運転を開始した出力50万キロワットで、2018年8月に運転休止に入りました。

川内発電所は1号機が1974年、2号機が1985年の運転開始です。ともに50万キロワットの出力を持ち、設備は残すものの既に運転を休止しています。

6基とも長く九州の電力を支えてきましたが、老朽化しています。鹿児島県薩摩川内市久見崎町の川内原発に続いて玄海原発が再稼働し、原発4基による供給体制が整ったことから、九州電力は運用計画を見直しました。九州電力は「トラブルのリスクを減らし、発電効率を高めたい」と狙いを説明しています。

飛び抜けて高い石油火力の発電コスト

電力大手が石油火力を見直す背景に見えるのは、発電コストの高さです。経済産業省が2014年モデルプラントで1キロワット時当たりの発電コストを試算したところ、石油火力は30.6~43.4円していました。

これに対し、原子力は10.1円、一般水力は11.0円、石炭火力は12.3円、LNG(液化天然ガス)火力は13.7円、風力(陸上)は21.6円、住宅用太陽光は29.4円。いずれも石油火力に比べ、割安という結果が出ています。

燃料費も2014年時点で1キロワット時当たり、原子力が1.5円、石炭火力が5.5円、LNG火力が10.8円なのに対し、石油火力は21.7円かかります。石油の埋蔵地域が中東に偏り、中東情勢の変化で価格高騰の可能性があるのも、懸念材料です。

2014年モデルプラントの1kWh当たりの発電コスト

住宅用太陽光29.4円
事業用太陽光24.3円
風力(陸上)21.9円
水力(一般)11.0円
小水力23.3~27.1円
バイオマス(専焼)29.7円
原子力10.1円
石炭火力12.3円
LNG火力13.7円
石油火力30.6~43.4円
出典:経済産業省「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」

温室効果ガス削減も運用見直しに影響

経産省は2030年モデルプラントでの1キロワット時の発電コストも試算しています。それによると、住宅用太陽光は12.5~16.4円、風力は13.6~21.5円と2014年に比べ、かなりコストダウンするとみられていますが、石油火力は28.9~41.7円とわずかなコストダウンにとどまっています。

石油火力は発電時、二酸化炭素換算で1キロワット時当たり695グラムの温室効果ガスを排出します。石炭火力の864グラムに比べると排出量が少ないものの、LNG火力の476グラムと比較すると高いのが実情です。

電力大手は激しい競争を勝ち抜くため、発電コストを下げなければならないほか、地球温暖化防止に向けて温室効果ガスの排出削減が求められています。その中で石油火力が果たすべき役割は次第に小さくなっているようです。

高田泰(政治ジャーナリスト)
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