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電力自由化の海外事例:フランスの場合

海外の電力自由化事例

2007年に電力事業を全面自由化したフランスでは、その後どのような市場環境になっているのか、またフランスの消費者が電力会社を乗り換えるときには、どのようなサービスが使われているのか、弊社データ分析官のフォース博士がご説明いたします。

2016年、日本では「電力小売りの全面自由化」が始まります。以前、電力自由化の先進国であるイギリスの事例を参考にしながら「電力自由化ってどういうことなのか」ということを解説していきました。今度は、その他の主要諸外国の電力自由化事情をお届けしていきます。

フランスの電力自由化編は、ケンブリッジ・エナジー・データ・ラボ データ分析官のフォース博士(フランス出身、ケンブリッジ大学数学博士)が担当します。

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フランスの電力自由化概要

フランスの家庭向け電力自由化市場は2007年に完全自由化されています。約3100万世帯、市場規模として3兆円もの市場開放でした。その市場はどのような状況になっているのでしょうか。

自由化による電気・ガスの垣根を越えた競争の始まり

フランスには、もともと電力はEDF、ガスはGDFという国営企業がそれぞれ電力・ガスをほぼ独占的に提供してきました(一部には地域限定の電力・ガス会社もありました)。
それが、2007年の自由化後、電気会社のEDFはガスに参入、ガス会社のGDFは電気に参入、という形で、旧独占企業同士の競争が始まりました。
また、新規参入する企業があったり、地域限定で運営していた電力会社が全国展開を開始したりなどの形で、現在、フランスほぼ全土を対象に電気・ガスの小売をしている企業は12社にまで増え、地域限定の電力・ガス会社まであわせると160社を超えると言われています。

依然強い旧国営会社の独占

しかしながら、2014年地点でのマーケットシェアを見ると、旧国営会社の独占状態はほぼ変わっておりません。
電力ガスそれぞれの市場を見ると、電力市場は旧国営電力のEDFが89%のシェアをもち首位で、2位はGDFの4%です。一方でガス市場においては、旧国営ガス会社のGDFが84%のシェアを握り、2位はEDFの6%です。

明らかに、旧国営会社が圧倒的であることがわかります。新規参入企業は全てあわせても、5%未満のマーケットシェアというのが現状です。

フランスにおける新規参入企業の特徴

また、新規参入企業といっても、イギリスの事例のように、別業界の大手企業(例えば、携帯キャリアやスーパーなど)の参入はみられません。

それでは、フランスで新規参入している企業はどのような企業なのでしょうか。
新規参入の最大手は、Direct Energyという会社です。電力・ガスともに、EDF、GDFにつぐ3位の市場シェアをもっており、Googleに買収されたNEST(スマートサーモメーター)を提携したり、スマートメーターを積極的に設置するなど、先進的な取り組みをしているのが特徴です。
その他にも、以下のように従来の旧国営企業が提供できないサービスや特徴を売りにしている企業が多いです。

Enercoop
グリーン電力に特化した電力会社
Planete OUI
電力会社出身社がつくったベンチャー企業
Proxelia
ベルギー発の電力会社でオンラインを中心に最安値を提供

フランスの電力・ガス比較サイトのSelectra社の統計によると、フランスには399個の電力料金プランがあります。旧国営企業のEDFは、安さ比較ランキングによると8番目で、新規参入組の方が、安価な電力を提供していることがわかります。しかしながら、未だに崩れないEDFの独占体制は、いったいなぜなんでしょうか?

フランスの主要電力料金プラン

提供:Selectra社

なぜ、フランスは、電力・ガス自由化後も事実上「独占」なのか?

なぜ、フランスの旧国営企業はいまだにほぼ独占的なシェアを維持しているのでしょうか?理由としては、3つの点があげられます。

1つ目は、国内に有力な競合がいないことです。日本やイギリスでは、地域独占制のため、自由化前から大きな地域電力会社が複数あります。日本では、東京電力、中部電力、関西電力など10電力があります。これらの企業は、電力事業へのノウハウ・人材も蓄積されており、自由化になると熾烈な競争相手となります。一方で、フランスでは、電力・ガスのそれぞれ1社が全国独占だったため、国内に直接的な競合がいません。結果として、電力出身のEDFがガスに参入するも、ガスのプロであるGDFには敵わない、逆もまたしかり、という状況です。

2つ目は、フランス政府として、国内競争よりも、フランス国外での競争を促進している、という点があります。事実、EDFは、イギリスのBIG 6(主要電力会社)の1つになっている他、ドイツ・ベルギー、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ロシア、アメリカ、中国などでも、電力・ガス事業を展開をしています。フランス政府としては、フランス国内に盤石なEDFの基盤を持たせることにより、積極的な海外展開を支援しています。

3つ目は、EDFが電力の発電施設をほぼ独占しており、新規参入会社が電力を調達しにくい状況にある点です。
フランスは原子力発電が電力の8割を占めます。当然、新規参入会社にとって、原子力発電を自前で建設するのは不可能なので、電力の供給は競争相手であるEDFに頼らざるを得ません。
しかしながら、フランスでは「電力の安定供給」の観点から、イギリス型の明確な発送電分離を導入していません。それにより、EDFはいまだ発電・送電をほぼ独占する垂直統合型の巨大企業の地位を維持し、新電力は常にEDFよりも不利な価格で電力を仕入れる事になるため、結果として顧客に魅力的なプランを提示できていません。昨今、EDFが他社に販売する電力価格が不平等に高いことを、GDFなどの競合が政府に訴える動きも出ていますので、今後の焦点になりそうです。(が、前出の通り、フランス政府は国内競争激化はあまり望んでいないので期待薄との見込みです。)

フランスの消費者は、電気・ガス会社を変更しているのか?

それでは、フランスの消費者は、電気・ガス会社を変更しているのでしょうか?

年間120万世帯(全世帯の約2%)が電気・ガス会社を変更

フランスでは、年間70万世帯(全世帯の約2%)が電気・ガス会社を変更しています。これは、イギリスの例(毎年全世帯の約10%が電気・ガス会社を変更)を比べると半分以下の水準ではあります。

また、のべ、10%程度の家庭が電気・ガス会社を今までに一度以上変更した、という政府報告があります。これは、イギリスの40%以上と比べると、やはり大幅に少ない数字ではあります。これは、イギリスの方が、BIG6をはじめ激しい競争があるの対して、フランスは事実上、EDF, GDFの独占が続いているからだと考えられます。

フランスの四半期ごとの電力スイッチング変更率

フランスの電力・ガス比較サイト

フランスでは、電力・ガスの比較サイトが数多くあります。最大手は、Selectraというベンチャー企業で、この会社は、フランスの電力・ガス自由化元年である2007年に設立された会社です。居住人数や、家のタイプ(マンション・一軒家など)、家の広さ、現在の電力会社、プラン名、テレビなどの主要家電の数などをいれると、家庭の電力使用量を自動でシミュレーションをして、最適なプランを診断してくれます。
このSelectraという会社は、フランス発の会社ですが、ヨーロッパ全土に拡大しており、既にスペイン、ブルガリアなどでも事業運営をしているほど順調なようです。

フランスの大手電力・ガス比較サイトSelectraの診断画面

フランスのスイッチングは簡単か?

しかしながら、フランスのスイッチングは、そこまで簡単ではないようです。スイッチングサイトの中だけでは変更はできず、比較結果をもとに、電力会社のホームページにいって手続きをする必要があります。
この点、イギリスで一般的な比較サイトでは、検索結果から直接電力会社の切替ができてしまうので、便利です。日本でもイギリス同様に、より簡単に切り替えができるようになると思われます。

まとめ

フランスは日本やイギリスのような「島国」とは違い、大陸の1国なので、国内競争よりも国外の競争に目を向けているのが大きな違いであると言えます。
しかしながらも、自由化後、10%の世帯は電気・ガス会社を一度以上変更しており、毎年4%程度増加していることから、今後もある程度の競争が続く事は想定されます。

フランスでも、多くの人がエネチェンジのような電力・ガス比較サイトを訪れ、最適の電力プランを探しているようです。

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