電力自由化Q&A その1:停電が増えたり、契約する電力会社によっては電気が不安定になるの?
電力自由化すると、停電が増えたり、電気が不安定になったりするの?
現状より停電しやすくなったり、契約先によって不安定になるということは、ありません。電力は水道・ガスとともに、生活に欠かせないインフラであるので、契約した会社によって消費者の生活が危険に晒されてはいけません。そのため、消費者保護の仕組みが細かく法律で決められています。
その詳細を見ていきましょう。
Q1.たとえば、自分が契約している電力会社だけが故障で停電したりするの?
それは、電気を流す仕組みの関係で起こらないのです。まず「電気を買う」仕組みをみてみましょう。
電力自由化では、同じ電線に様々な電力会社の電気が同時に流れます。A電力、B社、Cエネルギーといろいろな電力会社の電気が川の水のように混じりあって流れていると考えてください。
あなたの家は、その大きな川から水を汲み上げて使っていて、汲み上げるポンプにはメーターがついています。
電力会社は、このメーターから自社と契約している人がどれだけの水(電気)を使っているかを把握しています。そしてあなたが使ったのと同じ量の水(電気)を川(電線)に流すことで、あなたに電気を届けています。
これが電力会社から電気を買うということです。
さて、A電力の発電所で何らかの故障があって、一時的に電線に電気を流すことができなくなりました。この時、あなたのメーターがつながっている電線には、電気が全く流れなくなってしまうのでしょうか?
先ほどの川の例で考えるとわかりますよね。川に流れている水は、混じりあって、どの電力会社から来たものかはわからない水です。A社からの水の継ぎ足しが一時的に止まってしまっても、あなたは知らずに水を汲み上げて使うことができます。
この時、A社が継ぎ足しの水を流さないことで、A社の契約者が使った分の水の量が、川全体から減っていってしまいます。すると川の管理者(送電会社)がB社やCエネルギーに水を追加するよう指示します。そして、A社に肩代わりして流した水の分の代金については、あとからA社に請求するという取り決めが行われています。
また、電線や電柱の故障対応についても、これらは送電会社がすべて担うことになっていますので、契約会社によって停電が直る速度が違う、ということもありません。
なので、心配されているような、A社で何か問題が起きた時に、A社に契約している人だけが停電してしまう、ということは起こらないんです。
Q2.万が一、契約した電力会社がつぶれてしまったら?
契約先の電力会社が潰れてしまった場合、それが理由で電気を止められてしまったりしたら、困りますよね。
日本の自由化の制度では万一会社が潰れた場合でも、消費者保護の観点から、電気が止められることはありません。ただし、一時的ですが、ちょっと割高の電気料金を払ってもらうことにはなります。それも、新しい電力会社を選んでもらうまでの一時の話になります。
更に、いろいろ事情があって、新しい電力会社を決められない場合、旧来の地域電力会社と契約をしなおすことができます。
ですから、契約中の会社が仮に潰れたとしても、一瞬たりとも停電になることはありません。
Q3.それぞれの会社で停電しないでも、いろんな会社がいると全体が停電しやすくなるのでは?
自由化後も消費者の手元までの「送電」を担当する「送電会社」が電力のネットワークの管理と、停電への対応を行う。これは今と全く変わりません。
消費者がどの電力会社と契約しても、送電会社に払う、共通の料金(託送料金)が電気代に含められています。このお金は「送電会社」に支払われ、送電会社が責任をもって維持管理を行う仕組みとなっています。
このしくみは既に、企業・工場など向けとして60%の販売量が自由化され、約70社の新電力会社が参加し、問題なく運営されている現状と何ら変わらないため、電力自由化をしたことで停電が多くなるといった事態は考えにくいのです。
まとめ
いかがでしたか?ポイントをおさらいしてみましょう。
- 電気を流すしくみの関係で、ひとつの会社だけが停電することはない
- 契約している電力会社がつぶれてしまった場合も、電気が止められることはない
- 電線にはすでに様々な会社の電気が流れているので、2016年の全面自由化後も停電が増えるわけではない
電気という生活に重要なインフラがかかわる問題ですから、消費者が慎重に選びたくなるのは当然です。だからこそしくみやメリット・デメリットを理解して、無用な不安を持たずに、しっかりと電力会社をえらんでいきましょう。
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