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核のごみ最終処分場で北海道に動き、なぜ「究極の迷惑施設」誘致を検討するのか【エネルギー自由化コラム】

電力自由化ニュース

原発で使い終えた核燃料の最終処分場に、過疎地の地方自治体が応募を検討し始めています。過疎地では人口減少や高齢化に伴って、税収が減り地域経済が低迷しています。過疎化により地域存続が難しくなっていることが、応募の背景となっているようです。

原子力発電所の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補地選定に向けた国の文献調査に、北海道寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村商工会が興味を示しています。文献調査まで進むかどうかははっきりしませんが、「究極の迷惑施設」ともいえる核のごみの最終処分場誘致をなぜ、過疎地の地方自治体が検討するのでしょうか。

小泉元首相が最終処分場のない現状を講演で批判

「原発は世界中で稼働しているのに、最終処分場を建設しているのは北欧のフィンランドだけ。フィンランドは火山も地震もない国だが、地震大国の日本で最終処分場など造れると思えない」。小泉純一郎元首相は原発行政の問題点をこう指摘しました。

この日は小泉元首相が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟主催の講演会。講演は会場となった東京都品川区西五反田の城南信用金庫本店から全国にインターネットで配信されました。

日本では再処理で使用済み燃料からプルトニウムなどを取り出し、残った廃液をガラスで固めたあと、金属容器に封入して地下300メートル以上に最終処分されることになっていますが、その最終処分場がありません。小泉元首相はこの点に疑問を投げかけているのです。

自治体の応募なく、候補地が決まらず

再処理前の使用済み燃料は全国の原発の貯蔵プールに置かれています。電気事業連合会によると、貯蔵プールの容量は全国で2万1400トンですが、3月時点で約75%に当たる1万6060トンが埋まっています。

急いで最終処分場を確保しなければなりませんが、使用済み燃料には極めて高い放射性物質が含まれ、無害となるには数万年以上という気が遠くなる時間が必要です。このため、人の活動が及ばない地下深くに処分しようとしているのです。

しかし、最終処分場は放射性物質が漏れれば、その地域に住むことができなくなる可能性がある「究極の迷惑施設」です。全国の自治体から候補地を募っていますが、手を挙げるところがないのが現状です。

東洋町の応募取り消しで候補地選びは難航

最終処分場の公募は2002年から始まり、応募した自治体に対して最初の2年間で最大20億円が交付される仕組みも生まれました。

これを受け、高知県東洋町が2006年に応募しましたが、住民の反対運動が起きて町内を二分する対立に発展しました。推進派の田嶋裕起町長(当時)が住民に信を問うとして出直し町長選挙に打って出たところ、反対派の沢山保太郎町長(当時)が誕生し、応募を取り消しています。

その後、応募する自治体がないまま、候補地選びが難航しました。そこで、国は2017年、最終処分に好ましいと推計されるか、そうでないかを色分けした科学的特性マップを公表しました。さらに、自治体からの応募を待つだけでなく、国が自治体に調査を申し入れできる仕組みも整備しました。

候補地調査は第1段階で最大20億円が自治体に

最終処分場の調査は3段階に分けて進められます。第1段階が文献調査で、論文などを基に過去の地震や火山の活動状況について調べます。期間は2年程度。応募した自治体には最大20億円が交付されます。

第2段階が概要調査です。実際に現地でボーリング調査して地層を調べます。期間は4年程度。自治体には最大70億円が交付されます。第3段階が精密調査。14年程度をかけて掘削した地層を分析し、最終結論を出します。

しかし、応募してくる自治体がなく、国が調査を申し入れることもありませんでした。そんな中、ようやく寿都町と神恵内村で動きが出てきたのです。ともに過疎地の自治体です。

高レベル放射性廃棄物最終処分場選定の流れ

●第1段階 文献調査(2年程度)
地質データや論文などから地層を把握
交付金最大20億円
●第2段階 概要調査(4年程度)
ボーリングで地質調査
交付金最大70億円
●第3段階 精密調査(14年程度)
掘削した地層を分析
出典:経済産業省資料から筆者作成

予算の1割前後しか自前の財源でまかなえず

寿都町は片岡春雄町長が応募を検討する意向を明らかにしました。かつてニシン漁で栄えた町ですが、人口は約2900人。ニシンはほとんど獲れなくなり、年間の税収は2億円ほどで、予算の1割強しか自前の財源でまかなえない厳しい財政です。

急激な人口減少と高齢化の進行に苦しむ中、新型コロナウイルスの感染拡大で町内の事業所が大打撃を受けました。そこで、文献調査に応募し、交付金を得ようと考えたわけです。このままでは地域の存続が難しくなるという危機感が背景に見えます。

神恵内村は村商工会が誘致を目指す請願を村議会に出しました。寿都町と同様に漁業が基幹産業で、人口は約800人。年間の税収は約1億円で、予算の1割も自前の財源でまかなえません。人口減少と高齢化、新型コロナの影響に頭を痛めている点は寿都町と同じです。

村商工会は最終処分場の誘致で地域経済の活性化を図る考えを示していますが、村議会は国などの説明会を開いたあとで判断するとして、請願書を継続審査としました。

寿都町と神恵内村の概要

 寿都町神恵内村
人口2903人825人
面積95.25平方キロ147.80平方キロ
高齢化率40.2%43.0%
年間税収約2億円約1億円
財政力指数0.130.09
主産業漁業漁業
特産品イクラ、ホッケなどウニ、ホタテなど
出典:寿都町、神恵内村、北海道の資料から筆者作成(注)人口は7月末、高齢化率は2019年1月1日現在の住民基本台帳調査から

東洋町は財政危機回避で文献調査に応募

文献調査に応募したときの東洋町もよく似た状況でした。東洋町は高知県の東端に位置し、経済面では東側に隣接する徳島県海部郡と深い関係にあります。人口減少に危機感を募らせる中、平成の大合併で隣接する海部郡の自治体との合併を模索しましたが、実現せずに単独で存続する道を選ばざるを得ませんでした。

しかし、税収は人口減少で先細りする一方です。応募した当時の田嶋町長は自著の「誰も知らなかった小さな町の『原子力戦争』」(ワック)で「財政危機を回避するために調査に応募した」と記しています。

地方創生が失敗し、過疎地で集落が消滅

過疎町村がここまで追い込まれた背景に見えるのは、国の過疎対策の失敗です。日本全体が人口減少に向かう中、過疎地が壊滅的な状況に追い込まれることは早くから分かっていました。それなのに、国は有効な対策を打ち出せないまま、手をこまねいてきました。しかも、小泉政権時代には地方交付税や国庫補助金を削減し、自治体財政を悪化させました。

安倍政権になって地方創生が看板政策として掲げられ、ようやく東京一極集中の是正に向けた本格的な人口減少対策がスタートしました。年間1000億円規模の関連交付金が2015年度から毎年、自治体に投入されたほか、中央省庁や民間企業本社機能の地方移転、東京23区内にある大学の定員抑制、地方移住の推進など矢継ぎ早に政策が繰り出されました。

しかし、中央省庁の地方移転が京都市へ移る文化庁だけとなるなど、大半の政策が失敗に終わりました。その結果、2020年に東京圏の人口流出入を均衡させるという目標は断念に追い込まれました。その間、過疎地では集落の消滅が続いています。

過度の競争が自治体間の分断を促進

地方創生の施策内容に自治体間の競争をあおるものが多いことも、問題の種になりました。過疎地を島根県海士町や岡山県西粟倉村、徳島県神山町など地方創生が始まる前から独自の対策を進めてきた少数の勝ち組と、それ以外の負け組に分断してしまったのです。

勝ち組は移住者の獲得やサテライトオフィスの誘致で地域が活気づきつつありますが、負け組はやることなすことがうまくいかず、じり貧状態に陥っています。寿都町と神恵内村もそんな負け組自治体の1つです。

寿都町と神恵内村商工会からすると、わらをもつかむ思いで最終処分場応募の検討を始めたはずです。過疎地が存続できるだけの財源措置を国がせず、過度に自助努力を求めた悲しい結果だといえそうです。

高田泰(政治ジャーナリスト)

関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆している。
高田泰(政治ジャーナリスト)
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