夏の煮込み料理は食中毒に気を付けて!調理・保存時の注意点を守って食中毒を予防しよう
この記事の目次
煮込み料理はおいしく、一度に大量に作れるため忙しい方にも便利ですが、食中毒を起こしやすい調理方法だってことをご存知ですか?
煮込み料理は食中毒を起こす原因となる細菌に、好条件の環境をつくってしまうんです。一旦鍋の中で細菌が増えてしまうと、料理がすべて台無しになってしまいます!
食中毒の原因となる細菌の特徴を紹介し、食中毒を予防するための調理や保存の注意点についてまとめました。
- 更新日
- 2024年5月2日
怖い食中毒!多湿の夏はとくに気を付けて!
「2日目のカレーを堪能しよう」と鍋の蓋を開けた途端に、プ~ンと匂う嫌な臭い。そんな経験はありませんか?
とくに気温と湿度の高くなる梅雨や夏の時期は、食中毒を引き起こす細菌の働きも活発になる時期。そんな細菌が鍋の中で繁殖してしまったら、もう鍋丸々一つ分の料理を処分するしかありません!
煮込み料理で失敗して損をしないために、また家族を食中毒から守るためにも、食中毒の原因や仕組みを理解しておきましょう。
食中毒の約40%は、細菌が原因
食中毒とは、有毒な化学物質やフグなどの自然毒、有毒な細菌が繁殖した食べ物をとることによって引き起こされる病気の総称で、下痢や嘔吐、発熱などの症状が現れます。
体力のない子供やお年寄りなどは入院治療が必要となる怖い病気で、命に危険が及ぶこともあるんですよ。
食品にかかわる健康障害というと、健康食品による事例をみかけますが、食中毒による健康障害は多く、毎年発生する食中毒は、ウイルスや細菌が大きな原因のひとつといわれています。
食中毒を引き起こす代表的な細菌をいくつか紹介します。
- カンピロバクター
- にわとり・牛などの家畜や、ペット・野鳥・野生動物など多くの動物に存在しますが、少量で人へも感染します。人や動物の腸管内でしか増殖せず、乾燥に弱く、通常の加熱調理で死滅します。
- 腸管出血性大腸菌O157
- 大腸菌は人や動物の腸管に存在し通常は無害ですが、腸管出血性大腸菌O157は、人に対して病原性のある大腸菌のひとつです。牛などの家畜に存在している場合、糞便に汚染された食肉からの二次汚染が原因となる可能性があります。食品を通じて体内に入ったO157が、大腸で増殖してベロ毒素を作り、出血性の大腸炎を引き起こします。
- ウエルシュ菌
- 人や動物の腸管、土・水中などの自然界に存在します。酸素を嫌う嫌気性の菌で、熱に強く高温でも死滅せず、料理の作り置きなどの時に増殖する細菌で、カレーなどの酸素の少ない大量の煮込み料理などを腐敗させます。
- 黄色ブドウ球菌
- 人の喉や鼻、動物の皮膚や腸管のほか、ホコリの中にも存在します。食べ物の中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素を発生させます。菌自体は熱に弱いですが、毒素は100℃で20分加熱しても無毒化されません。酸素のない状態でも増殖し、多少の塩分があっても毒素をつくります。
- 腸炎ビブリオ
- 塩分を好む菌で、沿岸の海水中や海泥中に存在し、15℃以上の水温になると活発になりますが、水道水などの真水の中では増殖しません。海水中に腸炎ビブリオが多い時期に獲れる魚介類に多く付着しており、比較的速く増殖するのが特徴です。
- サルモネラ菌
- 鶏・牛・豚などの動物の腸管や、河川・下水などの自然界に存在します。少量でも感染し、高熱が出る症状が特徴です。
- セレウス菌
- 土・水・ほこりなどの自然界や、農畜水産物などに存在します。熱に強く、126℃90分でも失活しません。下痢型とおう吐型の2つのタイプの症状があり、国内ではおう吐型が多くみられます。
- ボツリヌス菌
- 土・海・湖・川などの泥砂中に存在しています。熱に強く、酸素を嫌う嫌気性で低酸素状態で増殖をし、毒素を発生させます。ボツリヌス毒素は、現在知られている自然界の毒素の中では最強といわれており、神経症状が現れるのが特徴で、重症になると呼吸麻痺を引き起こし死亡にまで至ります。
じっくり加熱する煮込み料理でも、食中毒には気を付けよう!
食中毒の予防で注意したいのは、「煮込み料理は何時間も加熱をしているから、食中毒の心配はない。」という思い込みです。確かに熱に弱い細菌の場合、75℃以上の加熱を1分続けると死滅するケースがほとんどですが、熱に強く煮込み料理で繁殖しやすい細菌もいるんですよ。
ウエルシュ菌は熱に強い細菌
食中毒を引き起こす細菌のなかでも、芽胞を形成するタイプのウエルシュ菌は、酸素の少ない環境を好みます。また熱に強く、なんと100℃の加熱を1~6時間続けても死滅しないんです!食材を大量に調理するところで発生し、一度に多くの患者数が出るため「給食病」ともいわれています。
- 大量調理された食品
- 前日に加熱調理し、室内に2時間以上放置された食品
- 食肉・魚肉・野菜の加熱調理をした食品
菌はほとんど無味無臭のため、食後すぐには感染したことに気づかず、病院の閉まった夜半から苦しみだすという場合もあります。厚生労働省によると、ウエルシュ菌の食中毒の患者数は2023年で1,097名と非常に多いんです。
煮込み料理の食中毒、予防するためのポイント
一般生菌数とは食品の品質を評価する指標のひとつです。一般的には生菌数が多くても、食中毒を引き起こす細菌がなければ食中毒は起こりませんが、菌がたくさん存在すると、その中に食中毒の細菌も存在する確率も高くなります。とくに5月後半~9月は、気温が高く湿気が多い時期なので、食品中に存在する細菌が繁殖しやすく、食中毒が起こりやすくなるのです!
細菌が繁殖しないよう、調理時の注意点や正しい保存方法をおさえておけば、煮込み料理で起こりやすい食中毒は予防できます。ウエルシュ菌を例に、調理時・保存時のポイントをみていきましょう。
煮込み料理を調理する時
ウエルシュ菌は、酸素を嫌い、熱に強い菌なので、菌が増殖しないよう清潔な調理をするようにし、調理後はなるべく速やかに食べることを心がけましょう。
しっかりと食物・手洗いの洗浄をし衛生管理を徹底するのはもちろん、ウエルシュ菌の特徴を把握して、調理を行うことが大切です。
- 衛生管理を徹底する
- 調理前は必ず手洗いし、料理に使う菜箸などの調理器具も洗って使用する。
- 野菜はよく水洗いをして泥を落とす。
- 料理は直接味見をせず、必ず小皿に取り分けて味見をする。
- しっかり加熱する
- 野菜や肉などの食材は、スープや煮汁が十分に沸騰してから入れる。
- 酸素が触れていない部分はウエルシュ菌が繁殖しやすくなるため、よくかき混ぜながら中心部まで空気が触れるようにして加熱する。
- 必要量だけを調理する
- ー度に大量の調理を行わず、できるだけ少ない量で当日食べる分だけを調理するようにする。
- 料理ができたら時間をおかずに、早めに食べる。
保温調理器を使って調理する時
ところがこの保温調理器での調理方法には、ウエルシュ菌にとって好条件な環境が揃ってしまっているんです!
- 酸素の少ない環境で増殖する
- 保温調理器内は密封されていて、酸素が少なくなっているため、酸素を嫌うウエルシュ菌の繁殖に好条件!
- 発育温度は20℃~50℃、至適発育温度は43℃~46℃と熱に強い
- 保温調理器内がウエルシュ菌に最適な温度で長時間保たれるため、熱に強いウエルシュ菌の繁殖に好条件!
ウエルシュ菌の繁殖を防ぐ調理方法を知って、保温調理器でかしこく節約調理をしましょう。
煮込み料理を保存する時
菌を繁殖させずに保存をするポイントをおさえておきましょう。
- 鍋は調理・再加熱する時以外は使用しない
- 前日調理した煮込み料理を鍋のまま一晩放置しない。
- 一旦鍋から食卓に出して残った食材を、鍋に戻さない。
- 調理後は早めに保存する
- 広めのタッパーに広げるなど速やかに粗熱を取り、ウエルシュ菌の繁殖が抑えられる10℃以下になるよう、冷蔵庫で保管をする。
- 小分けにして保存する。小分けにすると酸素に触れる部分が増え、ウエルシュ菌の繁殖を防ぐ効果があります。
保存した煮込み料理は、必ず加熱して!
保存した煮込み料理は必ず加熱して食べましょう。レンジでチンする場合でも、75℃以上が1分以上続くよう、長めに加熱をしてください。なお煮込み料理を加熱する時は、空気に触れるようよくかき回して、中心部まで十分に火を通しましょう。
夏の煮込み料理、調理と保存時の注意点を守って食中毒を予防!
煮込み料理を大量に作れば、毎日の調理にかかる電気・ガス代の光熱費を削減することができ便利ですよね。
でもうっかり食中毒を起こしてしまうと、料理を廃棄しなければならず、食材を無駄にしてしまいます。また食中毒で体調を崩すと、病院へ通ったり、仕事を休んだりすることになり、家計へも大きな負担がかかります。
食中毒を予防するための調理時・保存時のポイントをしっかりおさえて、煮込み料理を活用し、光熱費もかしこく節約しましょう!
ガス代を節約できる調理のコツについて、さらに詳しくは以下の記事で紹介しています。
電力会社・ガス会社を切り替えて、さらに光熱費を節約!
煮込み料理で食材を一度に大量調理することで、光熱費を節約する方法もひとつですが、電力会社・ガス会社の切り替えをすれば、電気・ガス代を安くすることができますよ。
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