湿度100パーセントはあり得る?―湿度のメカニズムとは―
今回は、湿度100パーセントについてお話します。
湿度100%とはどのような状態?
そもそも、湿度100%とはどういう状態なのでしょうか。
結論から言うと、湿度が100%になるとそれ以上水が蒸発しない状態となります。詳しくは以下で説明しますが、湿度とは空気中にどれくらい水分が存在するかを数値化したものです。
「湿度100%=水中」って本当?
さて、湿度100%という状況になると、決まって聞こえてくるのが……
雨ですよ。湿度100%。水中ですよ。湿気で髪の毛がMOREMOREMOREですよ。
— Kyota. (@Kyo_Talon) March 14, 2016
湿度90〜100%ってほぼ水中だよね? https://t.co/LS4QwOsMkA
— 海老名芳明 (@yoshiakiebina) March 18, 2016
というような、「湿度100%=水中」という声です。結論から言うと、これは間違いです。そもそも「湿度」とは……
湿度とは「ある気体中に含まれる水蒸気の質量またはその割合。」と定義します。
出典:第一科学//技術情報 – 湿度のあれこれ (1)湿度の表し方
言い換えれば、【空気中】にどれくらいの水蒸気が含まれているかを示すのが湿度です。ということは、水中には空気は存在しませんから、「水中の湿度」という概念自体成立し得ないのです。ですから、「湿度100%=水中」なんてこともあり得ません。そもそも「湿度100%=水中」が正しいのなら、えら呼吸できない哺乳類などは皆おぼれて死んでしまいますよね。
そもそも湿度はどのように決まる?
さて、そもそも湿度とはどのようなメカニズムで決まるものなのでしょうか。確か中学校の理科でやったはずですよね。ここでおさらいしてみましょう。
湿度とは
しつこいようですが、そもそも湿度とはどう定義されているのでしょうか。そこで今度は気象庁のホームページを見てみると……
普通は相対湿度のこと。相対湿度は水蒸気量とそのときの気温における飽和水蒸気量との比を百分率で表したもの。
どうやら、ポイントとなるのは「水蒸気」のようです。ここで中学校の理科をおさらいしてみましょう。
飽和水蒸気量
湿度が決まるのに重要なのが、「飽和水蒸気量」です。まずは、気象庁のホームページに出てきた「飽和水蒸気量」についておさらいしましょう。
飽和水蒸気量とは、1㎥の空気中に存在できる水蒸気量のことです。空気が含める水蒸気の量には限りがあり、気温によってその量は左右されます。
例えば、気温20℃の空気の飽和水蒸気量は17.3g/㎥とされています。これはつまり、気温が20℃の場合、1㎥の空気中には最大で17.3gの水蒸気を含むことができる、ということを表しています。ということは、20℃で湿度が50%の場合、空気1㎥中には8.65gの水蒸気が含まれているのです。
露点
さて、空気中に含むことのできる水蒸気には限りがあると書きました。上で書いたように、20℃の空気中には1㎥あたり最大で17.3gの水蒸気を含むことができます。ところでこの飽和水蒸気量は、グラフをご覧になればわかるように、気温が下がれば下がるほど値が小さくなっていくという性質があります。
例えば、気温20℃・湿度50%という日があるとします。この場合は空気1㎥中に含まれている水蒸気量は8.65gですね。ここから、水蒸気量は変わらずに気温が8℃まで下がったとすると、湿度はどうなるでしょうか。
気温8℃の飽和水蒸気量は8.28g/㎥ですから、水蒸気の一部(0.37g)が空気中に含めなくなってしまいます。これ以上水蒸気を含むことができない、すなわち「水蒸気量=飽和水蒸気量」となる気温のことを「露点」といいます。8℃の例の場合、水蒸気量(8.65g)>飽和水蒸気量(8.28g)ですから、理論上は湿度は100%になっている上、水蒸気の一部は水滴となって目に見えるようになっています。皆さんもご覧になったことはあると思います。霧です。
湿度100%に近づいてジメジメしたら?―除湿の方法―
さて、湿度が100%目前になるほどにジメジメしてきたら不快ですよね。最後に除湿の方法をまとめましょう。
- 換気する
- 空気がこもってしまうと湿度が上がってムシムシしてしまいます。もしかすると外気のほうが湿度が低いこともあるかもしれません。ひとまず窓を開ける、換気扇を使う等で換気してみましょう。
- 新聞紙を広げてみる
- 新聞紙は表面がデコボコしているので湿気を吸収してくれる性質があります。お世辞にも見栄えは良いとは言えませんが、新聞紙を広げて床に置いてみましょう。また、部屋だけでなくクローゼットや押し入れ、下駄箱などに置くのもよいでしょう。
- 重曹を置いてみる
- 重曹も湿気を吸い取ってくれます。口の広いカップやグラス等に入れて置いてみましょう。湿気を吸うと固まってポロポロしてきます。湿気た重曹は掃除に使えば無駄がありません。
- 除湿機をかける
- 湿度が100%に近づくくらいですから、小手先のテクニックは通用しないかもしれません。湿度が下がらない場合は、素直に除湿機を使いましょう。ただし、除湿機の中には送風口から熱風が出てくるものもあり、夏場の使用には向いていない場合もあります。
- エアコンの除湿機能を使う
- エアコンの除湿機能は優れものです。斯く言う筆者も、夏場にジメジメしてきたら除湿機能を使っています。スイッチを付けて10分もしないうちに室内が快適な湿度になります。
まとめ
今回は、湿度100パーセントについて見てまいりました。
水分がそれ以上蒸発しない状態のことをいいます。
「湿度100%=水中」は間違いです。
- 水蒸気量とそのときの気温における飽和水蒸気量との比を百分率で表したものです。
- 1㎥中に含むことのできる水蒸気量が飽和水蒸気量のことです。
- 気温が露点以下になると空気中の水蒸気の一部が水滴となって現れます。
換気する、新聞紙を置く、エアコンの除湿機能を使う等、場面や生活スタイルに合った除湿をしましょう。
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