今さら聞けない!でも知りたい!「FIT電気」とはどんな電気?
この記事の目次
一般家庭でも電力の購入先が選べる電力小売り全面自由化の開始から半年を迎えようとしています。さまざまな料金メニューが提供される中で、FIT電気を特色とした「FIT電気プラン」もでてきていますが、FIT電気って、なんとなくわかりづらいですよね。今回はFIT電気について少し詳しく紹介します。
年間平均34,352円節約できます!
エネチェンジ電力比較診断の3人世帯を選択したシミュレーション結果で、電気代節約額1位に表示されたプランの年間節約額の平均値です。節約額はギフト券などの特典金額も含まれています(シミュレーション期間/2024年7月1日~2024年9月30日)
そもそもですが、FITって何?
- FITという制度に基づき、交付金を得ている再生可能エネルギー電源による電気
FIT電気について調べると、多少の言葉の違いはあっても、このような説明がでてくるのではないでしょうか。うーん、そうはいわれても……。そもそもFITって何なのでしょう。
FIT(フィット)は「Feed-in Tariff」の略!
FIT制度は、なぜ始まったの?
なぜそのような制度が開始されたのかと言えば、再生可能エネルギーの普及を加速させるためです。日本のエネルギーを取り巻く問題として、地球温暖化対策、エネルギーの自給率の向上が主に挙げられます。これらの課題を解決するためのひとつの方策として重要になっていたのが、再生可能エネルギーの比率を高めることでした。また東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、原子力発電に代わる電源としての期待もあったんです。
費用面でもハードルが高い再生可能エネルギーの導入
もともと、再生可能エネルギーを増やすための施策は始まっても、なかなか導入は進みませんでした。2012年度の電源別発電電力量構成をみると、再生可能エネルギーの比率は1.6%、石炭・LNG(液化天然ガス)・石油などを燃料とする火力発電は88.4%です。普及しなかった理由はいろいろありますが、そのひとつとして費用がありました。再生可能エネルギーの発電設備は建設や維持にお金がかかるため、従来の発電方式に対する競争力という点では劣っていたからです。費用が高いから導入は進まない、導入が進まないから費用は下がらない……。このループを断つため、費用面で優遇しようというのがFIT制度なんですね。対象となる再生可能エネルギーは太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスです。
参照:2013年5月17日電気事業連合会発表資料
FIT制度の仕組みは?具体的にどんな制度?
FIT制度の仕組みはこうです。FITでは、再生可能エネルギー発電所から作られた電気はすべて、電力会社(小売り電気事業者)が買い取ります。再生可能エネルギーの種類により、買い取り価格、買い取り期間は異なりますが、いずれにしても、買い取り価格は、再生可能エネルギー以外の発電方式(火力など)に比べると高めに設定されます。
ちなみに2016年度に買い取りに要した費用は約2兆3000億円で、世界のトヨタ自動車の2016年度純利益(2兆3130億円)に匹敵する額です。
参照:トヨタ | 投資家情報
その2兆円、アナタも払っているんです
再生可能エネルギーが増えるのはいいとしても、買い取りに使った莫大な金額がどう生み出されているのか、気になるところですよね。直接買い取るのは電力会社ですが、電力会社が自腹で払っているわけではありません。
これが買い取りに使われている費用の財源です。電気を使っている私たち一人一人のお財布の中から、毎月毎月電気料金の上乗せ分として支払っているんですよ。今年度でいえば使用電力量1kW時あたり2円25銭。一般家庭の平均とされる300kWhの電気を使う家庭の場合には2.25円×300kWh=675円が、再生可能エネルギーを支援するために使われていることになります。
国民の負担をさげるため、2017年4月にFIT制度が改正されます
毎月600円程度という金額、みなさんはどのように感じますか?この国民負担額、制度開始から比較するとなんと10倍以上に跳ね上がっているんです。
- 制度が始まった当初:月額66円
- 2016年9月時点:月額675円
こういった状況をうけて、2017年4月1日に制度改正が行われます。改正の目的は以下の2つ。
- FITにより太陽光の導入は急速に拡大する一方、他の再生可能エネルギーは一向に普及していないという現状を是正する
- 賦課金の伸びを抑制する
私たちもお金を払っている……となると、国にもしっかりと動いてほしいものですよね。FIT制度の今後の動向についても、気にしておきましょう。
FIT電気と再生可能エネルギーは、違うの?
FIT電気やFIT制度については、理解できましたか?さらにも一歩知識を深めるために、FIT電気と再生可能エネルギーの違いについて、簡単に触れておきましょう。
FIT電気を扱っている電力会社は、電源構成を公開しています。電源構成というのは、どの発電で作られた電気かを示す資料です。例として、みんな電力の電源構成をみてみましょう。
実は、同じ太陽光でもFIT制度を利用しているものと、制度を利用していない太陽光は、分けて表記する必要があるんです。
簡単にFIT電気と再生可能エネルギーの違いを表にしてみました。
項目 | 再生可能エネルギー | FIT電気 |
---|---|---|
発電方法 | 太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス | 太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス |
FIT制度の利用 | なし | あり |
電源構成での表示方法 | 発電方法を明記 | FIT電気(発電方法)と表記 例:FIT電気(太陽光) |
環境価値 | 自分で選んで購入時にお金を払う | 契約している電力会社にかかわらず、電気を使っている人は全員『再エネ賦課金』として請求されている |
FIT電気も同じ太陽光発電なのですが……FIT制度を利用しているということは、私たちはすでに再エネ賦課金を払っているので、その会社の環境価値に対してもお金を支払い済という認識になるのです。事前徴収みたいなイメージでしょうか。すでにお金も払って評価しているのに、電気を買う時に、またもう1回お金を払う……というのは2重取りですよね?だから、FIT電気については電気を販売する際に「環境にいい」「クリーンな」という表現をしてはいけないのです。CO2排出量も、「火力発電などを含めた全国平均の電気のCO2排出量」と記載されるんですよ。
この違いは複雑で、エネルギー業界に精通した人でも、なかなかうまく説明ができません(笑)少しでもイメージをつかんでもらえると嬉しいです!ちなみに電気の質は同じです!
FIT電気まとめ
FIT制度とFIT電気について説明してきました。まだちょっとややこしいですよね。最後に、これだけは覚えておいてほしいところをおさらいしましょう。
- FIT電気はFIT制度を利用して買い取られた再生可能エネルギーです
- FIT電気の買取額は、再エネ賦課金という名目で私たち皆が毎月支払っています
いかがでしたか?電力会社を選びをしているときに、FIT電気という単語と出会ったら、この2つをぜひ思い出してください。エネチェンジ電力比較では、FIT電気や再生可能エネルギーを含む電気料金プランを簡単に検索することもできますよ。